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レオナードの過去


俺が五歳のときにそれは起こった。

田舎の小さな家だった。それでも両親がいて、姉さんがいて幸せだった。

暑い日のことだ。家族みんなで家の中にいた。

ばんっ!という大きな音。

扉を壊し家の中へと流れてくる人間たち…

父が前に出て、母が姉さんと俺を逃してくれた。

家から出るとき…俺の目に映ったのは血の色。

二人で逃げた。必死に逃げた。

追ってもしつこくて、姉さんが囮になって逃してくれた。

俺の命は生かされた…なんとしてでも逃げなければ。

三人の顔も思い出も、俺はぼんやりとしか思い出せない。


どんだけ歩いたのか、そんなのわからない。

ここがどこかも分からない。ボロボロで路地の裏で倒れた。

腹が減ってた。死が近づくのを感じた。

そんなとき、俺に救いの手を差し伸べてくれたのが、オヤジだった。

オヤジは闇ギルド「ローズ・マリー」のギルドマスターだ。

このギルドはおかしなとこだった。

闇ギルドでありながら正規のギルドたちにも認められていたし、暗殺なども依頼の内容次第でしか受けない。必要外の殺しは禁じられてた。

他の危険な闇ギルドをかることもあった。

世間から弾かれた者たちがあつまっていた。

居心地がよくて、誰もがギルドマスターであるオヤジを慕っていた。

オヤジという名は本人にそう呼べと言われた。

俺らは血は繋がってないが、同じ飯食って一緒に過ごす家族なんだからな!…って言ってた。

むずがゆいが心がほわほわして、この居場所が大好きだった。

俺はここで知識や教養、暗殺技術などいろんなことを学んだ。

だが、オヤジは俺を決して仕事には出さなかった。

子供はこんなことをしなくていい。そう言って手伝わせてくれないのだ。

早く大人になってオヤジ達の為になりたかった。

でも、それが叶うことはなかった。


そうだ。また、暑い日だった。

セミが鳴いてた。9歳の夏。

ギルドにたくさんの者たちが押し寄せてきた。

まるであの日の再来…

このギルドを疎ましく思う他の闇ギルドや売人たちが手を組んで襲ってきた。

このギルドの場所がなんでわかった?誰が…裏切った?

そんな中、オヤジは冷静に指揮を取る。俺のような子どもや若者を逃がせ、逃げろと言われた。

冗談じゃない!俺だって戦えるんだ!!

そうオヤジにいいよったがだめだった。

オヤジは二カッと俺に向けて笑いながら言う。


「レオー!生きてりゃなお前は幸せになれる。絶対だ。いつか、お前にとって命をかけてでも守りたい存在ってのができる…今の俺のようにな!そんな存在を、守れるように生きろ!

俺にとってここは大切な場所。俺の家族は一人も殺させねぇ!!」


その言葉をその表情を、そのたくましい背中をこの先一生忘れることはないだろう。

オヤジの言葉に周りの大人たちが続く。

俺は兄弟子に手を引かれて、逃げた。

また俺は、逃げることしかできない。

途中追ってと戦い逃げる中で、兄弟子とも離れてしまった。

死にたい…そう思ったが、俺は生きなければ。

…どんな手を使ってでも。


追手を巻いた俺は、暗殺者集団に属するようになった、

何もない俺にできるのはこれだったし、生きるには金が必要だ。

あれから少しして俺の耳にも、その情報は届いた。

ローズ・マリーギルドは解体。ギルドマスター…オヤジは、仲間たちを逃がすために一人、最後まで残り戦い、殺されたらしい。

ギルドマスター以外のメンバーは全員逃げ延びて、追手も追いつけてないらしい。

守りきったんだ…オヤジは全てをかけて。

俺はギルドの仲間を探したが見つからなかった。かわりにあの日攻めてきた、闇ギルドの奴らは何人か見つけて殺した。

俺が新しく所属した組織ではターゲットを殺す。殺さなければ自分が死ぬしかない。

そんなとこだった。俺は淡々と人を殺した。

悪人も…善人も殺した。初めて人を殺した日のことを今でも鮮明に覚えてる。

殺されないように必死だった。無我夢中で拙い技術で戦った。

ターゲットが動かなくなって、やっと冷静になれた。

辺りは赤黒く染まっていた。手のひらは鮮血に染まっている。

恐ろしくて美しかった。

昔、オヤジが殺しに魅せられるな。と言っていた意味を理解した。

俺以外誰も生きていない空間で、俺は笑った。

笑い声だけが響いた。

もう、後には引けない。

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