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交渉タイム


「それじゃあ、二人だけで話し合いをはじめましょうか?」

警戒心マックスの彼をどう説得しよう…って考えいたら、レオナードの表情がガラリと変わる。

ガクガク震え、怯える表情がそこにはあった。


「どうか助けてください!貴方に従いますから…その腕輪は怖いんです。すでに首輪は着けています!これ以上はもう…」

泣きながら訴える青年。

私は何も答えず、近づき彼に着いている手枷と足枷を解いていく。


「え?」

戸惑う声が聞こえる。

私はさらに首輪に手をかけて外した。そうして、彼の耳元で囁いた。


「ねぇ、その演技は辞めてちょうだい。なんか貴方に似合わないから。

私は素の貴方と交渉がしたいの。」

彼から一歩離れてにこりと笑いかける。


一瞬の出来事だった。

レオナードは私を床に組み敷いていた。

三歳も上で男女差もある。しかも向こうは暗殺などのプロ…こりゃ、逃げられないな。


「っ、痛いなぁ。随分と積極的なのね?」

私が余裕ぶった表情で、楽しそうに言うと彼は力を強めた。


「黙れ。」

そこには先程までの弱そうな青年はいなかった。鋭く冷淡な瞳。

でも、これこそ私が知ってるレオナードだ。


「お前こそ、今までのは演技だったのか?どっちが本物か分からねぇ。

ってか、どうして首輪を外した?こうなると予想できただろう?」

淡々と問いかけてくる。

敵意とその殺気は怖いけれど、ここで引けない。


「どっちも本物の私だよ?さっきも言ったけれど、素の貴方と交渉がしたかったの。交渉するのにあんなものつけてたらフェアじゃないでしょ。」

「はっ!甘いね、お姫様。首輪がなくなったんだ、俺は交渉なんてしないでお前を殺して逃げればいい。」


そう言うと、彼は私の首に手をかけてきた。

楽しそうに笑いながら…


「それは無理ね。ここから出れる確率は10%くらい。出れたとしてもディアローズ家を敵に回す。あの二人と今の貴方が戦ったら100%負けると思うわ。」

視線だけが合い、長い沈黙が続く。


先に沈黙を破ったのはレオナードだった。

彼は私の首から手を離すとわたしの上からどき、床にどかっと座った。


「はぁ~、ちっ。少しでもびびんねえのかよ。人質にでもして逃げてやろうと思ったけど…その感じは無理そうだしな。

しかも、吸血鬼っていうからまさかとは思ったが、ディアローズ家かよ!あー、俺の運も尽きたか?」

頭をかきながら盛大にため息をつく…なんだかこんな口調悪い姿を見れるなんてね。


ゲームの中のレオナードというキャラは、すでにミリアーナの従者だった。

丁寧な口調がメインの完璧な従者。あぁ、でもヒロインと話すときだけ少し口調が崩れてたから、こっちが素なんだろうなぁ。

ミリアーナがヒロインの暗殺を命じた暗殺者こそ、レオナードだ。

彼はヒロインを殺そうとするも、敗れる。

そこでヒロインはレオナードが奴隷契約によって縛られていることを知り、解除のために尽力する。

なんだかんだあって、レオナードはヒロインに恋をする。

彼は俗に言うヤンデレキャラで愛が重い。

一歩ルートを間違えれば監禁エンドもありえる。…一部のファンにはこのエンドがすごく人気だったな。

そんなことを考えていて私が何も言わないでいると、彼が眉をひそめる。


「なんだよ?お前が素で話したいって言ったんだろ。ってか、交渉ってなに?奴隷契約でもして命じればいいだろ。なんでわざわざこんなことしてる。」

「私は奴隷は欲しくないの。私が欲しいのは協力者…あのクズな両親やオーナーのような人たちの罪を暴き、裁くためのね。」


レオナードが驚き目を見開く。

「はぁ?!お前あいつらの娘だろ?どうして…」

「あの人たちにとって、私は駒よ。正直、私からしてもあの人たちのこと親だとは思えないし…許せないの、ムカつくじゃん。同じ人をこうやって扱うなんて、全部ぶっ壊してやりたい。

それに私はね、普通に幸せになりたいの。そのために必要なことだから…そう、私の為なの結局はね。…でも、わたしひとりでは力が足りない。だからレオナード、あなたの力を貸してほしい。」


レオナードには嘘も演技も通用しないだろう。だから思ってる事をいう。

「勝算は?」

「いまは、五分五分。貴方が協力してくれるなら80%くらいかな?

奴隷契約はするけど、私は命令は書かない。あの人達を、裁くまででいい。その後は貴方の自由に生きてほしい。それまでは従者として私の傍で協力して欲しいの。お願いレオナード!」



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