Chapter 8 望まれぬ歓迎
太陽が頂点を少し過ぎた頃。アルマ、スピナー、ディーア、ライムの4人は港町ヒリアム近辺にある鬱蒼とした森の中をかき分けて進んでいた。全員、その手にオータムパイクの串焼きを持ち、いわゆる食べ歩きの状態で、森の散策をしていた。
「町での聞き込みによると、この森にあの子らしき人が入っていったらしいけど……、何か目印とかないのかな? 看板とか」
「台座に刺さった伝説の剣とか」
「その子の食べこぼしとか」
「そこ2名、真面目に探せ」
土が見えないほどに敷き詰められた落ち葉を踏み鳴らしながら、まだ見ぬエルフの村を求めて、木々の間を抜けてグングン奥へと進んでいく。
「ところでさ、エルフの村ってどんなのだと思う、オマエら?」
「人間側にはあまりない食べ物がある」
「全くブレねぇな、ライム。相棒とスピナーはどうよ?」
「僕は――」
「そもそも入れないだろ。どこかで見張りに見つかって、そいつにお守りを渡して帰る。村を見ることすらないと思っている」
怪訝な顔をし、両手でサムズダウンをかますディーア。
「なんだよ夢がねーな! 考えるくらいいいだろ、この石頭! 頑固者! ロマン廃絶主義者!」
「んだと、はったお――」
「危ない!」
突如、突っかかるスピナーを目掛けて、木々の隙間から高速で飛来してくる物体。それをライムが間一髪で大盾で防ぐ。
盾ではじき返し、地面に落ちた飛来物。それは淡い光を放つ矢。瞬きの隙にその矢は霧散し、影も形もなくなった。
「魔法力で形作られた矢……。どうやらお出ましのようだ」
アルマが剣を使って魔法を放つように、弓を使って魔法を放つ種族『エルフ』。周りは木々に囲まれ、どこにいるかは分からない。でも確かに、この周囲にエルフがいるのだ。
アルマはポケットから拾ったお守りを取り出した。そして、天高くそれを掲げた――
「エルフの女の子が港町ヒリアムでこのお守りを落としていったので、届けに来ました。こちらに攻撃の意思はありません。弓を収めて、姿を見せてください」
森の奥にもしっかり聞こえるよう、声を張り上げる。
訪れる沈黙。森からは返事、落ち葉を踏む音、葉っぱが揺れる音、何一つ聞こえてこなかった。
「聞こえなかった……のかな? それともエルフは言葉が違ったりするのかな?」
「同じはずだ。町であったエルフの言葉、同じだっただろ」
「確かにそうだっ――」
ヒュンッ!
「おらよッ!」
アルマの後頭部目掛けて放たれた魔法矢を、剣の一振りで叩き落とすディーア。
ヒュッ、ピシャン!
左方向から飛んできた矢をスピナーが”サンダー”で撃ち落とす。
「和解の意思なし。それどころか……」
「囲まれてんな、コレ。何人いるかも分かんね。どーする、相棒?」
「このお守りを返したいだけなんだけど……、こんなところで倒されるわけにはいかない。後方を突破して、ヒリアムに撤退するよ。全員、戦闘準備!」




