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Chapter 7  偶然の出会い

「剣の手入れ用具ってどこで売っているんだろう? 武具とか取り扱っているところかな」


 港町ヒリアムの市場をキョロキョロしながら歩くアルマ。長距離移動で完全にダウンしたスピナーを背負っていた。

 時を遡ること10分前。ヒリアムに到着して、まず手分けして旅に必要な物の買い出しに行くことに決めた一同。ガーネットとプラム先生チームが物資、ディーアとライムチームが食料、そしてアルマはスピナーのお守りを担当することとなったのだ。買い物の帰りをスピナーと待つだけでも良かったが、アルマ自身欲しいものがあったので、トレーニングがてらスピナーを担いで、市場に繰り出したという訳だ。

 左右の出店を見渡しながら、目当てのものを探して、市場の奥へ奥へと進む。剣や槍、弓矢など様々な武器が目につく。

 貰った恩に報いて、この『青紅』を使い続けると決めている。が、形あるものはいつか壊れる。『青紅』が壊れた時、自分はどんな剣を使うのだろうか。

 次の得物を探す、そんなことにならないように手入れは入念にしたい。……手入れ用具って砥石や布のようなものをイメージしているが、合っているの……か? 


ドンッ!


「痛っ……!」


 胸元より下に何かがぶつかる感触。そして跳ね飛ばした感覚。視線を下におろすアルマ。

 フードを深く被り、暗い色の外套に身を包んだ姿。腰には矢が何十本も入った矢筒を下げている。見た目で性別は分からないが、身長と声からして女の子だろうか。その子が尻もちをついていた。


「ご、ごめん。大丈夫? 怪我無い?」


 差し出す手をその子はしっかり掴む。ゆっくり引っ張り、その子の身体を起こす。その時――


パサッ


 フードが脱げ、素顔が顕になる。朱色のツインテールに翠と紅のオッドアイ。そして、平行に鋭く長い――


「その耳……」

「だ、大丈夫です!」


 素早くフードを被り直して顔を隠す女の子。あっという間に走り去ってしまった。

 アルマは呆気に取られ、ただ立ち尽くしていた。


「『エルフ』だなアイツ」


 アルマの耳元すぐ側から聞こえる声。


「あ、スピナー起きたんだ」

 背中からスピナーを下ろす。


「それで『エルフ』って?」


 エルフ。森に住んでいて、長寿で小柄な妖精のような種族。創作ではそんな生き物として描かれている。おそらく同じような特徴だろう。アルマはそう思っていた。


「森を転々と移動して、住処を変える遊牧の民だ。人間の3倍は生きる寿命と長い耳が特徴。並外れた弓の腕と高い魔力を持つ、通称『森のギャング』だ。エルフのテリトリーに踏み込んで、生きて帰れた奴はいないとまで言われている」


 ――合っているけど、なんか違くない? 聞く限り、儚さとは対極の獰猛な危険生物としか思えない。


「……だが、妙だ。エルフは自分の魔力を矢の形に変えて、弓で放つ戦い方をする。つまり、エルフに矢は必要ない。でも、アイツは矢を持ち歩いていた。……ん? アルマ、そこに落ちているの何だ?」

 

 スピナーが示す所、さっきまであの子がいた場所に、木で作られた小さな何かが落ちていた。

 それを拾い上げて確認するアルマ。


「お守り……かな? さっきの子の忘れ物だと思う」

「届ける……のは無理か。もう見えないし、行き先も分からん。残念だが、放置するしかないな」


「逃げて行った方向の森調べれば、エルフの村が見つかるんじゃねーか? モグモグ」


 落とし物の扱いに頭を悩ませるアルマとスピナー。2人に声をかけたのは、大量の魚の串焼きを持ったディーアとライムであった。


「2人にもオータムパイクの塩焼きあげる」


 串に刺した焼き魚を2人に渡すライム。


「見ていたのか、お前等」

「食べ歩き中に偶然見つけてな! で、どうする? 行くなら付き合うぜ! エルフの村ってのも気になるしな!」


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