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Chapter 6  港町ヒリアム

 アルマがレイズと名乗る青年と刃を交えてから、3日ほど経った。アルマ達はジャイアントタイガーのタマがひく虎車に乗って、西に向かって移動していた。目的地は港町ヒリアム、旅の物資の補給のためだ。ヒリアム近辺にかかっている橋を越えると、ようやく魔法国アリウィンに着くらしい。

 長い長い旅路の中、虎車の中ではあるゲームが行われていた。


「おっし! オレ、あーがり!」


 乱雑に重ねられた手のひらサイズのカードの上に、さらに2枚同じデザインのカードを放り投げる。

 

「次は私の番か。……やった、あがった」


 プラムが隣のライムからカードを1枚抜き取り、同じ柄のカードを2枚1組の山の上に優しく置いた。

 今プレイしているのは『ランド・カード』というカードを使ったゲーム『魔王退治』だ。『ランド・カード』は6種類のマークに1〜9の数字が割り当てられた54枚のカードに、魔王のカードを加えた計55枚のカードだ。4種類のマークに1〜13の数字が割り当てられた52枚のカードにジョーカーを加えた計53枚のカード『トランプ』によく似た物だ。そして『魔王退治』は同じ数字2枚組でカードを捨てていって、最後まで魔王のカードを持っていた人の負け。要するに『ババ抜き』だ。

 参加者は4人。ガーネットはタマの手綱を握り、スピナーは車酔いでダウンしているため未参加だ。

 あとカードを持っているのはアルマとライムの2人。アルマが2枚、ライムが1枚だ。

  

「一騎打ち。どっちかな……、こっち」


 ライムがアルマのカードを一枚抜きとる。アルマの手に残ったのは、魔王のカードだった。アルマ、これで3連敗である。


「まーたアルマの負けかぁ。ルール分かってないわけでもないし、表情に出てるわけでもないよな。別のゲームにすっか?」


 ランド・カードをかき集めて、慣れた手つきでよくシャッフルするディーア。そして、4人にカードを配り始めた。


「『六国旅行』とかどうだ? 最初に全部の5を出した後、順番に隣り合う数字を出していって、自分のカードを全部出し切った人の勝ちってやつ。まぁやれば分かるか」

「もうすぐヒリアムに着くよ」

「1ゲームくらいならイけるイける」


 聞いている限りおそらく、『七並べ』のようなゲームだろう。数字が1〜9だから真ん中は5になるらしい。

 配られた13枚のカードを手に取るアルマ。『アリウィンの5』『ルージュの5』計2枚の5が手元にある。隣で『グラフィコの5』を置くライムを真似て、5を並べていく。

 そして自身の手札を再度確認するアルマ。その内容に2、3度目をぱちくりした。

 『アリウィンの1』『グラフィコの1』『ファーローズの1』『ルージュの1』『ブッデスの1』『フレンプールの1』『アリウィンの9』『ファーローズの9』『ルージュの9』『ブッデスの9』『フレンプールの9』


 あの、端のカードしかないんだけど、これどうやって勝つの?


「見えましたわ! 港町ヒリアムですわ!」


 受け入れられない現実に何度も目をパチパチさせていると、虎車の運転席から弾むような声が聞こえてきた。やっと着いたという意味でも、負け確実のゲームをしなくて済んだという意味でも、アルマは安堵で胸をなでおろした。

 虎車から顔を出す。潮の香りが乗った風が顔全面に吹き付ける。進む先に見えたのは青い海に面する白い町、そして停泊する無数の船。海水浴には適さない気温だが、港町にふさわしい風景がそこに広がっていた。


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