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Chapter 4  魔王軍集結

 太陽が真上に登り、地上は明るく照らされる。しかし、そんな光も地の底の建造物には届かない。

 無駄に広い部屋の真ん中に呼吸素材をふんだんに使ったテーブル。ただ1人、赤髪の男が椅子に腰かけ、机の上に足を乗せ、部屋の天井に浮かぶ巨大なオブジェを見上げる。

 中サイズの球体が4つ、小サイズの球体が11つ。衛星のように、中心に大きな球体の周りに楕円を描いていた。

 男が指を鳴らす。中心の大球が輝き出し、それに呼応するように、9の小球、1の中球が放光を始める。


「いつものは大体いるなァ。じゃあ、始めるぜ、魔王軍定例会議」


 男の名はネーヴ。魔王軍を統率する魔王その人である。小水晶の先にいるのは、グリムフォードを除く幹部。中水晶の先には、最高幹部にあたる四護。

 姿は見えずとも、魔王軍の中核を為す者たちが揃い踏みしていた。


「まず1つ目。まァた性懲りもなく指輪の勇者が現れた。ツラは会議前に送ったからそれを見ろ」


 小水晶の瞬きに合わせ、部屋に様々な声が響く。


「どう見てもただの雑魚だろ! 場所教えろ、このマギルド様がぶち殺したるわ!」

「懲りねぇなぁ! オマエッチ、ちょっと前ナントカ拳姫とかいう指輪の勇者に半殺しにされて、オレッチに介抱されたの忘れたんですかぁ~?」

「ワガハイにも手柄を寄こすのである」

「アタシも参戦するっス!」


「……口を慎みなさい。魔王様の御前よ」


 オフィーディアの重く冷たい一言に、小水晶の瞬きがピタっと止まった。


「テメェらが何をしようが勝手だが……、今この場にグリムがいねェ意味は考えた上で、事は起こせ」


 先ほどまでの騒がしさとは打って変わり、呼吸音すら聞こえない程の静けさ。水晶の向こうで驚愕する様子が伝わってくる。


「次、宴会でルークの奴が話した内容。アレの裏付けが取れた。人間側にそんなモンがあるとは到底思えねェが、マジであるらしい」


 どの玉も激しく光らず、沈黙の空間が広がる。ただ、魔王だけが話をし続ける。


「今後の予定だが……、魔王軍はこれから戦力を蓄える期間に入る。侵攻したくとも、オレが兵を貸すことは基本的にねェと思え。何か事を起こしたい時はテメェらの持ち前の戦力で何とかしろ」

「たとえ、指輪の勇者を見つけたとしても、魔王様がお力添えしてくださることはない、ということかしら?」

「そういうことだ。会議は以上。解散、全員失せろ」


 次々と宙に浮かぶ球体の光が消え失せ、瞬く間にブラックアウトしてゆく。ネーヴの合図で最後の大球の光が落ちた直後、その部屋の扉がゆっくりと開いた。


「お疲れ様です、陛下。そろそろ昼食のお時間ですが、お召し上がりになりますか?」

「ああ、持ってきてくれ。クロニス」

「承知致しました。すぐにお持ちします」


 すぐさま静かに閉められる扉。通信による会議も終わり、物音ひとつしない部屋にただ一人たたずむネーヴ。その不敵な笑い声だけが空間に響く。


「この窮屈な生活から解放されるのも、もうすぐか……。人間も魔族もオレの手のひらの上で何百年も踊り続けてくれたなァ。……特にオマエ、いつまでバカみてェに踊り続けるつもりだァ?」


 椅子から立ち上がり、壁際まで歩くネーヴ。そして、部屋の壁に優しく触れる――


「なぁ、アネキ……!」


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