Chapter 31 手合わせ
炎の剣を薙ぐ。それをソラスが魔力の刃で受け止める。
2度目の剣戟。それも涼しい顔で受け止めるソラス。しかし、魔力の刃は、綺麗に焼き切られていた――
「たった2度で魔杖カドゥケウスの刃が折られましたか……」
続く3撃目。ソラスの首を狙う一振りは、虚空を斬った。
「瞬間移動……!」
すぐさま辺りを見渡すアルマ。見つけるのに時間はかからなかった。
数十m程離れた位置に立つソラス。刃は止め、その黄金の杖をアルマに向けていた。
「魔粒弾」
無数の魔力球がアルマに襲い掛かる。豪雨のような魔弾。真っすぐ突き進むアルマ。避け、剣ではじき、搔い潜って、距離を詰める。弾が頬をかすめる。服が破ける。無数のかすり傷を負いながらも、アルマの剣はソラスを射程圏内に捉えた――
炎剣を叩きつける。響く高音。その一撃はソラスの前に張られた、透明な壁に阻まれていた。
「魔法盾」
薄壁の向こうに佇むソラス。アルマは構わず炎刃を押し付け続ける。昇る細煙。アルマの剣がそのシールドを焼き切ったのだ。
軽々と切断するその力に目を丸くするソラス。その顔目掛けてアルマが剣を振り抜く。黄金の杖で辛うじて受けたソラスを、力づくで思い切り洞窟の壁に叩きつけた。
巻きあがる砂埃。その中に写る影をアルマはしっかり捉えていた。はずだった。
1つの人影が2つに。2つの人影が4つに。4つの人影が8つに。アルマは目をこすった。しかし8つにしか見えなかった。
砂埃が晴れてゆく。露わになる正体。8つの影全てが、ソラスの姿をしていた。
「分身……!?」
8人のソラスが8つの杖を同時にアルマへと向ける――
「”ソルセル”」
8発の凶弾。全てを剣身で受けるアルマ。伝わる衝撃に違和感を感じた。
「明らかに軽すぎる……。本物は1つ、残りの7つは幻か!」
アルマはその手の炎の剣を高く掲げ、握る手に力を込める――
纏う焔の輝きがみるみる増していく。ただ光が強くなっていくだけ。8人のソラスは微動だにしていなかった。アルマの狙いは――
ソラスから伸びる影だった。
物理的な形を持たない幻に影が出来るハズないのだ。
影を持つソラスに向かって一直線に詰めるアルマ。反応が遅れるソラス。その燃え盛る炎剣の一振りは、モノクルを切断した――




