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Chapter 21  奇襲

 日が傾きだした頃。平原のど真ん中で全ての馬車が停止し、全員が馬車から降りる。そして、アネモネが注視する上空のある一点を全兵が見上げていた。

 その時が来た。音もなく一瞬にして、見つめていたその位置に何者かが現れる――

 左目にモノクルをつけたフクロウのような老人。両腕が翼となっており、右翼には黄金の杖が握られていた。

 

「鳥のような姿……。魔族の一種、魔鳥族で間違いありません。全軍、交戦に入ります!」


 盾を構え、武器であるメイスを掲げて、アネモネが宣言する。各々武器を構える。その中でただ一人、エルさんの動きだけが固まっていた。


「ただの魔鳥族じゃねぇぞアイツは……。軍師ソラス……魔王の右腕にして、『四護』の1人だ!」

「まさか......あれが、無敵の権化と伝えられる『四護』……!?」

 

 絶句するアネモネ。『四護』。その言葉に平原に立つ全員が硬直する。

 空中で静止し続ける軍師ソラス。ただ静かにその黄金の杖を天高く掲げる――


魔粒弾ソルセルストーム


 杖の先から溢れだす魔力。その魔力は粒となり、平原一帯に豪雨のように降り注いだ。突然の攻撃に戸惑い、全員が土砂降りにあったかのように頭を守る。魔力の雨粒は馬車という馬車を破壊し尽くした。

 そう、馬車『だけ』を破壊した。無数にいる兵達には一粒も当たっていなかったのだ。その事実に気付いたエルさんの口から零れる――


「しまった……、もう奴の術中か」


 そして、血相を変えて、雨音に負けない大きさで叫んだ。


「みんなその場から動け! こいつは罠だ!」


 その声がみんなに耳に届いた時にはもう、遅かった。

 アルマ達勇者パーティ6人、アネモネ隊3人、そしてエルさんの足元が各々紫色に輝きだす。目を落とすと、そこには魔法陣が刻まれていた。

 雨音にかき消されるくらい、小さくソラスが呟く――


瞬間移動テレポート


 輝きを増す10の魔法陣。

 


 次の瞬間、その10人の姿かたちは綺麗サッパリなくなっていた――

 

 

 その直後、魔粒弾ソルセルストームがピタッと降り止んだ。現状を確認する兵士たち。自分たちの主と幹部を倒した戦士たちがいなくなっていたことでパニックとなった。

 狼狽える兵士たちを見下ろしながら、ソラスは自身の杖の先をなでる。


「ホッホッホッ。時刻、座標は想定通り。計算通りならオフィーディアが事を済ませるのも間に合うはず。さてと、あとは観察と参ろうかのう」


 そう残すと、ソラスも一瞬にして姿を消した――


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