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Chapter 20  到着

 修道院裏手。多数の魔族が討ち捨てられていた。そんな中、修道院義勇兵たちは空のある一点を見上げる。

 修道院の屋根より高い位置で空中で静止する存在。その両の腕は大きな翼、その両の脚はがっしりした(あし)、その顔の中心には立派な(くちばし)。人型の鳥類といって差し支えない生き物が義勇兵を見下ろしていた。

 各々一斉に魔法を放つ義勇兵。空中を自由自在に飛び回るそれに掠める事すら叶わなかった。


「あれが最後の魔族だ。ちゃんと当てろ!」


 魔力の切れているスピナーが口が悪いながらも鼓舞する。ガーネットはため息をついた後、彼に悪態をつく。


「あなたがまじめに魔法を教えないのが悪いのではなくて?」

「こいつ等が俺に教わる気がないのが悪い」


 一向に当たらない。攻撃を止めてしまう修道院義勇兵。この体たらくを魔族は高らかに嘲笑った。


「ファスファスファス。所詮人間には、偉大なるグリムフォード様の右腕にして魔鳥族の、このエリファスに攻撃を当てる事なんか出来ないのでありファス」

「ファスファス……? ちょっと何言っているか分かりかねますわ」

「偉大なるグリムフォードならさっき死んだ。お前もさっさと降りてきて唐揚げになって死ね」


 首をかしげるガーネット。首を斬るようなジェスチャーの後、サムズダウンを突きつけるスピナー。

 エリファスは空中で静止したまま両脚を折り曲げ、翼で全身を包むように丸くなる。その身体を覆うように風の膜が渦を巻き、やがて姿が見えなくなる程、厚い疾風の球体と化した。


「グリムフォード様の遺志を継ぐのはこのエリファスファス。今この場で全員殺し、その手柄で幹部の座を受け継がせて貰いファス!」


 ヒュンヒュンと空を斬る音が強くなり、風の渦の勢いが一層増す。

 

「"サンダー"!」


 杖の先から電撃を放射するシャガ。しかし、その雷は風の膜を撫でるだけで中心のエリファスまで届かなかった。

 さらに勢いが増す球体。この溜め込んだ風の勢いを解き放てば、無数に飛び散る風魔法が辺り一帯の形あるもの全てをズタズタにするだろう。

 

「伏せろ!」


 全員即座に伏せる。

 その時――、伏せている兵の合間を縫うように、目にも留まらぬ速度で誰かが地面を駆け抜けた。エリファスの真下に到達し、垂直に跳躍。魔族の頭上を蹴り上げ、片足を天に向ける。地に伏せる義勇兵が認識できてからここまで僅か数秒。エリファスが気づいたのは頭上を飛び越えられた後だった。

 眼鏡をかけ、長いポニーテールを携えた白い髪、白いシャツに黒い上着、黒のショートパンツの女性。

 天空に飛び上がった彼女は、掲げた脚を振り下ろす――

 障子のように容易く切り裂かれる疾風の球体。脳天に直撃するかかと。エリファスは物凄い速度で地面に叩きつけられた。あまりの勢いに砂ぼこりが巻き起こり、地面は窪んだ。羽根一つ動かさず地面にべったり横たわる最後の魔族。その頭部を埋めるように女性は両足を揃えて静かに着地した。


「ぶい」


 表情に乏しいものの、無邪気にピースをする女性。それを見た義勇兵全員が声を揃える。


「先生!!」


 一斉に囲むみんな。抱きつく者、泣き出す者、安堵する者、多種多様だった。そんな彼らの頭を先生はほのかに優しい顔でなでなでする。


「プラム先生」

「スピナー、ガーネット。今の状況、教えて」


 人をかき分けてスピナーとガーネットの元へ近づくプラム。


「魔王軍幹部のグリムフォードが攻めてきたのですわ。力及ばず死人を出してしまいましたが……」

「大多数が生き残れた。元凶もブチのめした」

「グリムフォード、倒したの? すごいすごい」


 撫でようとするプラム。しかし、スピナーはその手を払いのける。


「まだ終わってねェ、新手が来やがった。今ディーア達が足止めしている」

「誰、来たの?」

「確か……、クロニスとか言っていた」


 名前を聞くなり血相を変える。それはもう、常用している無表情の仮面が外れるくらいには。プラムは喰い付くように声を上げる。


「それはダメ。今すぐ案内して……!」


 その叫びにその場の全員の身体が一瞬硬直する。ガーネットとスピナーも目を丸くしていた。


「先生のそんな表情初めて見ましたわ……!」

「……何者なんだクロニスって」


 その問いにプラムは焦りを内心に隠し、まるで授業のような語りを始めた。


「魔王軍は無数の一般兵と12の幹部、そして4人の大幹部で構成されてる、という話はしたね。その大幹部、別名【四護】。クロニスはその四護の一人なの」


 喰い付くように聞き入る義勇兵たち。プラムは続ける。


「幹部は戦死によって何十人も入れ替わった。でも……」


 表情を僅かに曇らせる。


「四護は誰一人として変わってない。四護は無敗の称号と言っていいの」


 固まるように静まり返る人々。ガーネットの口から言葉が漏れ出る。


「無敗……」

「ディーアは強い子。けど、相手がクロニスなら万に一つも勝ち目はない。早く助けないと」

「分かった、俺が案内する。俺もあの阿保が馬鹿してないか気になるからな」


 スピナーとプラムは横並びで広場の方向へ駆けだした。少し走ったところでスピナーはピタッと止まり、後ろを向くと義勇兵に声を飛ばした。


「お前らは修道院の中の奴ら全員連れて、村の外へ逃げとけ!」


 それだけ残し、また猛スピードで走り出す。並走するプラムが問いかける。


「今の指示、この状況で最適だと思う。はなまる」

「残念だが俺の指示じゃない、アルマの指示だ」


 少し間を間を空けて、先生は首をかしげる。


「……あるま?」

えっとですね。今現在、リアルが非常に忙しい状況なので、しばらく投稿を控えます。

2月ごろには投稿を再開します。


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