鍛冶師見習代理補佐
「で、あんたが私の担当する転移者かい?」
なんか俺の前には白い服を着たドムのような体型の昔は若かったであろう女性が座っている。
「これからカウセリングして、あんたにあった職業を選んでもらう。一度選んだら変えられないからしっかり選ぶんだよ。」
察しのいい読者の皆様ならもうお気づきであろう。俺は今、異世界転移で神様からチートを受け取る手続きの真っ最中。元の世界に未練はあるが、そんなことを気にしている場合ではない。今、この瞬間が俺の将来を決める!!
「おう、面白そうなことしてるじゃねーか。よし、お前にはさっき拾ったこいつをやろう!」
突如、サングラスをかけた若いにーちゃんが乱入し、勢いよく俺に叩きつけたそれは、俺の体にしっかりと張り付いた。
「あ、あなたは、大宇宙神様!!」
オバちゃん女神が叫ぶ!
だ・大宇宙神だってー!?やっぱ偉いの?
「大宇宙神は全ての銀河群をまとめる神中の神!我ら末端女神など彼からすればゴミも同然!そんなお方がなぜこんなところへ!!」
なんかオバちゃん女神のキャラが変わってる気がするが、そんなことより大宇宙神だ。これは俺にとんでもないチートを与えてくれる予感!!
「たまたま近くを通ったからだけど。そんなことより転移の手続き続けなくていいの?」
「はっ、そうでした。この空間に普通の魂をとどめていられる時間は有限!急いで職業を選んでもらわないと・・・、あら?」
残念、スーパーチートはもらえないようだ。しかし、オバちゃん女神の様子が何やらおかしいぞ?
「すでに職業が張り付いてる。これは『鍛冶師見習代理補佐』・・・?職業製作中にあまりにもゴミな職が出来上がったから廃棄処分にされたはずのゴミが張り付いてる!?先ほどの大宇宙神様が張り付けたアレですか・・・」
「おう、どうした。」
「大宇宙神様、先ほど大宇宙神様が張り付けた職業がゴミ中ゴミでして、さらに私の権限でははがすこともできず・・・。」
「なんだよ、追加で職を張り付ければいいだろ?」
「申し訳ございません、この魂が行く世界ではシステム的に職業は一人一つ、複数張り付けることはできないのです。」
「どれ、俺が二枚目を張り付けてやろう」
ペシッ
「ダメか、弾かれるな。仕方ない、今度ははがしてみよう。そーれ!」
メリメリメリメリ
「ぎゃぁぁぁぁぁ、いたいいいいいいいい、しぬううううう!!!」
「ちっ、しっかり張り付いてやがる。俺でもはがせねぇ。こうなったら俺の持つパワー全てを動員して、無理やり職業をねじ込んでくれる!大盤振る舞いだ、ありったけの職業を詰め込んでやるぜ!」
大宇宙神の左手からほとばしる何かが俺の体を固定、右手にはなにやら光り輝く力が集まっている感じに!
「死ねえぇぇぇぇぇ!!」
なんか違う掛け声とともに大宇宙神の右手に集まってたものが俺の体にねじ込まれる!!
「いやああああ!!入ってくる!無理やり大きいのが入ってくる!こわれちゃううううう、らめえええええええええ!!!」
「大宇宙神様、ダメです、そいつの魂が壊れます!」
「大丈夫だ!全力で魂も強化しながらやっている!どうだ、追加の職業は付与されたか!」
「大宇宙神様、鍛冶師見習代理補佐だけです・・・。」
「・・・。あきらめよう」
こうして俺は鍛冶師見習代理補佐というチートを手に入れたのだった。