表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
レファタリス  作者: めた'36
旅立ち
8/22

2-5,地下通路

2-5,地下通路

 その後タルフォ・ディーンで一泊した後に再び出発したアリシア一行。

 ちなみに大剣は買い取ってくれるところが見つからなかった。デカデカと刻まれたエズル・バシュタの紋章に、どの店も恐れをなしたのだ。

「下手したらエズル・バシュタに目ェ付けられるからな。ズ・トゥールの方は紋章も何も無かったからまだマシなものの……」

 四つ脚の『兵器』はノーマ・ズ・トゥールというらしい。

「く、詳しいですよねファノンさん……」

「まぁ色々あってな……そろそろ砂漠だ。キィの奴は大丈夫か?」

「お水はたっぷりあげておきました!」

 土なら良いのだが、森の一族は砂地から養分を吸い上げるのが極めて困難らしい。

 その為、砂漠の地下通路の情報が無ければ、キィちゃんにとっては生死に関わる旅になっていた可能性があった。

「で、その地下通路とやらは何処だ?」

「ちょっと待ってて下さいね……えー……っと……」

 アリシアが砂の海に目を凝らす。地下を視ようとしているのだ。

「あっ、ここ地盤が厚くて下まで視えませんごめんなさい」

「なら仕方ない。その地盤の下に通路を築いているのだろうな」

「確か砂漠に入ってすぐとの事なのでこの辺りにあるかと……」

「偽情報で無ければな」

 ファノンの言葉にアリシアが青ざめる。

「そ、そんな……」

「世の中善人ばかりじゃない。むしろ悪意のある奴の方が多いかも知れん」

「う、うう……」

 頭を抱えてしまうアリシア。

「何、次から気を付ければ良いだけの話だ。あまり気に病むな」

「はい………。……あれ?」

「……キィ!」

 マフラーに包まれたアリシアの首元からキィちゃんが飛び出した。

 そのままちょこちょこと一方向へ進んで行く。

「ちょっ、キィちゃん危ないよ!? 戻って!」

「……キィ! キィ!」

 尚も進み続けるキィちゃん。

 慌てて追い掛けるアリシアの前に、井戸を半分にして横倒しにした様な穴が見えて来た。

「…! あれ…! あれじゃ…ないですか!?」

「善人の方だったみたいだな」

 キィちゃんはそのまま穴の中にちょちょちょちょ、と入って行く。

 アリシア達も足を踏み入れるが、外の日差しが猛烈な分、影になっている穴の中が余計に暗く思えた。

「灯りが要る。このまま進むのは危険だ」

「私の『目』なら一応見える事は見えますよ。あ、待ってキィちゃん!」

「やっぱり地味に便利だなその能力……」

 アリシアの追いかけた先で、キィちゃんが足を止める。そして壁際に前脚でちょい、と触れた。

 接触した部分から緑色の燐光が輝き、たちまち通路内の壁中に不思議な模様を描きながら広がった。

「え……何、これ……」

 その光にアリシアは見覚えがあった。

 森の中で落下した先の地下遺跡の燐光と同じ色をしていた。

「成程な、そういう事か」

「キィ!」

「どう……いう事、ですか?」

「元々森の一族の造った遺跡を再利用した物だったみたいだな。おそらくキィは遺跡に残留していた思念波に引き寄せられたんだろう」

「森の一族の……?」

 では森の地下にあった遺跡も森の一族のものであろうか。あそこは森の地下だったが、ここは草一つ生えない不毛の地である。

 何故こんなところに遺跡が?

「大方予想はつくが、まずはここを抜けるとしよう」

「そ、そうですね……キィちゃんすごいなぁ……」

「キィ!」

 アリシアの腕に抱えられながら、満足げに鳴くキィちゃん。

「巡礼者の方達はどうしているんでしょうね」

「事前に灯りになるものを持ってくるんだろう」

 薄ぼんやりした灯りの中、松明によって付いたと思われる煤が、壁際に点々と見て取れた。

 燐光は森の地下遺跡と同じく淡いものであったが、光っている範囲が広かったので灯りとしては充分だった。

 とはいえ、それでも目が慣れるまで多少掛かったが。

 ふと、通路の奥の方から小刻みに何か甲高い音が聴こえた気がした。

「何……?」

「気を付けろよ……すんなり通してくれるとは思えん」

 音は次第にはっきりし、近づいて来た。

「こいつは…!」

 ファノンが眉を顰める。

 壁際に寄り掛かり、通路の奥を見ながらぽややんとしていたアリシアの目が、音の主を捉えた。

 それは壁を走って来た。まるで虫か何かの様に。

 気付いた時には、マズい、と感じて壁から離れようとしていたアリシアの眼前まで迫っていた。

 四肢が剣状になった、『四つ脚』、ノーマ・ズ・トゥールである。壁に脚を突き刺しながら移動している様だ。

 このままでは壁際から離れ切れていないアリシアの身体も突き刺して行くだろう。

 が、


 ――ダンッ!!――

 次の瞬間、ノーマ・ズ・トゥールの身体が壁面に縫い付けられた。

 ファノンの手から放たれたノーマ・デイバの大剣によって、である。

 昆虫標本の様になってガチャガチャと足掻くノーマ・ズ・トゥール。

「またバラして売っ払ってやろうか……?」

 ファノンが暴力的な笑みを浮かべる。その様子に流石のアリシアも背筋がゾッとした。

「よ……、っと!」

 ファノンは突き立てた大剣の刃の部分が頭部に向く様に大剣を捻じ込みながら無理矢理回転させ、

「柔い柔い」

 レバーを下ろす様に突き刺した部分を支点にして頭部方向に両断した。赤黒い体液が飛び散る。

「ビンゴ! ……そろそろ本体の収納場所変えて来るかも知れんな」

 ファノンにだけ聴こえる声でカスタバルが言う。

「確かに、このままワンパターンで来るとも思えんな……」

 ファノンはいざという時の為に、またノーマ・ズ・トゥールの脚を解体し、テープ状の革紐でぐるぐる巻いて一纏めにした。

「他に反応はあるか?」

「今の所は大丈夫みたいだな」

 しばらく進むと、前方から燐光とは違う灯りが見えて来た。

「あっ、出口じゃないですか!?」

「待て、油断して先走るな」

「あ、はい……」

 飽くまでファノンは注意深く進む。

 …のだが、特にエンカウント無しで出口に辿り着いた。

 地上の陽射しに目が眩む。

 目が慣れて来ると、少し先に大規模な町と、その中心に聳え立つ大霊廟エズル・バシュタが見えた。

「大きすぎて距離感が混乱しますねー」

「無駄にデカいからな。もっと小型化出来たと思うんだが……」

 またファノンが意味のわからない事を言う。

 とりあえず一行は目の前の町、イシュト=ナーフへ向かう事にした。

特に何も考えずに書いてる気がする。実際そうであった。

まとまるかなあ、これ…

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ