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レファタリス  作者: めた'36
旅立ち
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2-3,ぐだぐだ

2-3,ぐだぐだ

「『可能な限り守ってやる』、ねぇ……『あの』ファノン様が随分とまあお優しくなられたもので」

「五月蝿いぞカスタバル! 無駄口叩いてる暇あったら重心制御しっかりやれ!」

「へいへい……どういう風の吹き回しなんだか……」

 ファノンは先程のやり取りを思い返していた。

『守ってやる』は本心から出た言葉だ。理由は判然としないが、何故かアリシアを放ってはおけない。

「(サリアの娘だから……ってだけでは無い様な……こんな感情、私は知らんぞ)」

 ファノンも内心困惑していた。

 大切な友人の子だから守ってやりたくなった?それだけでは無い。

 何か内から強く湧き上がる感情があったが、ファノンはそれが何なのか知らなかった。

 と、言うより、本来ならファノンには知る筈の無い感情だ。

 それに、アリシアと居ると不思議な安心感と充足感もある。

「(サリアの奴が何か仕掛けたか……? だとしても何をだ? 庇護欲を掻き立てるフェロモンか何かか?)」

 幾ら考えたところでファノンが答に至る事は無い。

「(……奴に直接聞いた方が早いか)」

 ファノンにはサリアを追う目的がよくわからなくなっていた。

「……さん、ファノンさん!」

 ここでようやく呼ばれている事に気付いた。

「……あん?」

「それ、一人で持って行くつもりですか?」

 アリシアの指すもの。それはファノンの片手にある回収した大剣と、もう片方の手にある先程解体した四つ脚の切っ先が突き出してボロボロになった雑嚢だった。持って歩くだけでガチャガチャと五月蝿い。

「別にこのくらいの重量なら問題無いが……」

「そうじゃなくて、穴だらけでもう袋が袋になってませんよ、それ」

 ガチャガチャガチャ……

「一応収まってはいるから今のところは大丈夫だろう」

 ガチャガチャ……ガチャ、ボドドッ

 駄目でした。

「あっ、カ、カスタバル! 補強用のテープか何かないかー!?」

「俺に言えば何でも出て来ると思うな」

「うう……重量は大丈夫、問題となるのは量……」

 地面に散らばったあれこれを見ながらファノンは考える。

「……捨てるか! ……捨てる……? これだけある資金源を捨てるなんてとんでもない!」

 捨てられない系女子だったらしい。

「あ、あの、まずは容れ物から何とかしませんと……」

 雑嚢は既にぼろ切れである。

「いざとなったら咥えてでも持って行く!」

 謎の根性であった。

 両手は大剣と四つ脚の四肢で塞がっており、落としたり拾ったりでその手には切り傷が沢山出来ていた。

「ちょっ、……ヴェリオン、お願い!」

「かしこまりました」

 アリシアの言葉に、ヴェリオンがマフラーの身体を伸ばし、雑多な荷物をぐるぐると包み始めた。

「お、おお……そうか、丈夫な風呂敷でもあれば良かったのか」

「ふろ……しき……? って何ですか?」

「敷いたり包んだり色々使える便利アイテムだ。……ヴェリオンでは少々幅が足りないかな? カスタバル、今から作れないか!?」

「無茶言うな」

 そんなこんなでぐだぐだしながら進んでいると、一行は森の端まで来ていた。

「そろそろ森を抜けるな」

「荷物どうするんですか?」

「近くに町でもあればいいんだが……」

ファノンは遠方を見渡し、

「……無いな」

「少し方角が変わりますが、確かこちらの方に小規模ながらもあったかと」

 ヴェリオンがマフラーの片端で横の方を指す。

「ああ、ヴェリオンたまに買い出しに行ってくれてたもんね」

 アリシアが懐かしげに言う。

「じゃあ一旦進路変更だな。荷物を売却し次第、元のルートに戻る」

「は…はい」

 アリシアは「この幼女頼りになるのかならないのかわからないなぁ……」と、内心思っていた。

 腕っ節は相当なものである。腕っ節は。

 が、変なところに妙に固執したり、無計画の行き当たりばったりだったりと、それ以外は結構残念な具合であった。

 四肢を軽く地面に埋めながら、キィちゃんが小さく「キィ……」と鳴いた。

 アリシアが微笑みながらキィちゃんを優しく撫でる。キィちゃんは心地良さそうにしている。

 気づけば、夜の帳が下りようとしていた。

 アリシアは長いため息をつく。

 これまでとはまた違った疲れを感じていた。

「こりゃあ今日はこの辺で野宿か……良くも悪くも見通しは良いが」

「つ……疲れました……」

「ああ、アリシアはゆっくり休め。私が番をする」

「え、ファノンさんも休んだ方が……」

「私は合間合間に適当に休息を取る。それで十分だ。」

 自分より幼い身で本当に大丈夫なのだろうか。

 そう思いながら、ヴェリオンに枕代わりになってもらい、アリシアは静かに目を閉じた。

オープンワールド系で重量オーバーして歩くの遅くなってるけど勿体無くて捨てられずに彼方の町までよろよろ辿り着いたりとかよくありました。

重いんだよドラゴンの骨!(露骨に特定可能)結構な値で売れるから序盤には有り難いしね…。

何かそんな感じだと思います!(?)

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