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レファタリス  作者: めた'36
旅立ち
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2-2,旅立ち(後)

2-2,旅立ち(後)

 アリシアがファノンに追い付くのとほぼ同時に、付近の繁みから白い影が2体飛び出した。

「ッ!?」

 アリシア宅を襲ったのと同タイプの『兵器』であった。それぞれの手には紋章の刻まれた大剣が握られている。


――『彼ら』の目的は君の母上だけでは無い――

 先程の忠告を思い出した。

『兵器』らはアリシアの頭上から襲い掛かろうとしたが、

「ふん、雑兵が」

 ファノンが背の大剣を抜き、一閃。

『兵器』の片方が正中で両断された。

 パタタ、と血液の様な体液が飛び散る。

 もう一体がアリシアに迫る。

「アリシア様!」

 しかし、アリシアのマフラーの両端に握られている長剣で素早く何度も斬られて落ちた。

「あ、ありがと、ヴェリオン……!」

 が、それだけだった。細かくバラバラになっているものの、全ての部位が何事も無かったかの様に動いている。

「あ…せ、生物じゃないってこういう……!」

 たじろぐアリシア。

「動力源を断たねば倒せんぞ。……視えるか?」

 ファノンの言葉に、アリシアはバラバラになって尚動く『兵器』に目を凝らす。

 すると、その頭部だった部分の下方、人で言うと首の付け根辺り、の奥に固体とも液体とも言えない黒ずみかけた血の様な色をした脈打つ塊が視えた。

「ヴェリオン、その、首のこの辺!」

 アリシアが自身の身体で部位を指示すると、すかさずヴェリオンは『兵器』のそこを切り刻んだ。先の一体と同じ体液が吹き出し、動いていた全ての部位がその動きを止めた。

「ノーマ・デイバ程度何体来ようと同じ事! アリシアは渡さん!」

『兵器』はノーマ・デイバというらしい。……アリシアは渡さん?

「あの、ファノンさん……?」

「こいつらの次の目的はお前だ、アリシア。可能な限り守ってやるが、自衛も怠るなよ! って、ヴェリオンに言った方が良いのか?」

「! っは…、はい!」

 母に続いて自分が標的とは。エズル・バシュタは何がしたいのだ。

「五月蝿いぞカスタバル! 無駄口叩いてる暇あったら重心制御しっかりやれ!」

 以前にも聞いた、知らない名だ。ファノンは時折、一人で誰かと話している様な素振りを見せる。

 まあ、アリシアもマフラーと会話したりしているのだが。

「ん? ああ、お前達と似た様なもんだ。話すにしても後でな」

 アリシアの視線に気付いてファノンが言う。

 つまり、まだ終わってないという事なのだ。

 駆ける2人の前に再び白い影が飛び出した。

「! 雑兵と言ったら即対応か…!」

 そこには、先程ファノンが雑兵と言った『ノーマ・デイバ』とは違うものが居た。

 頭部の形状は似ているが、人型をしていない。

 四肢が剣状になっており、四つの切っ先で獣の様に動く。

 ノーマ・デイバとは比較にならない程素早く、アリシアの透視も追い付かない。

 ヴェリオンが2本の長剣を地面に突き立てた。

「ここは私が!」

 ヴェリオンは片端を伸ばし、四つ脚の『兵器』に絡みついた。

 自由を失った『兵器』の切っ先同士がぶつかり、カチャカチャと音を立てる。

「まあ視ずとも……」

 ファノンが大剣を振りかぶり、『兵器』に叩きつける様に振り下ろした。

 ノーマ・デイバの一体と同じ様に正中から真っ二つになり、四つ脚は動きを止めた。

「動力源は大体同じ位置にあると見て良い」

 切断面には弱々しく脈動を続ける塊があった。ファノンは戦い慣れていた。

「す、凄いですねファノンさん!」

「まあ『こいつら』とも付き合いが長いだけだ」

 面白くなさそうにファノンが言い捨てた。

「ここいらに居るのは片付いたか……」

 ファノンは再び歩を進める。その手には『兵器』の持っていた大剣が2本。

「懐の足しにはなりそうだ」

 売っ払う気満々の様である。

「そ、それでファノンさん、カスタ……さんって?」

 おずおずとアリシアが切り出した。

「ああ、こいつだよ。こいつ、というか中に『居る』」

大剣をコンコン叩きながらファノンが言う。

「ああ、ヴェリオンと似た様なってそういう……」

どうやらファノンの大剣の中にもアリシアのマフラーと同じ様に何者か……『カスタバル』……なる者が宿っているらしい。

「ただ、そっちのヴェリオンと違って、カスタバルの声は私にしか聴こえん」

「えー……」

「行動中に声がダダ漏れだと色々と問題がある可能性があるから、との事だ」

「あー……」

「私にも欲しい機能ですねぇ……」

「サリアにもやれた筈だが、時間が無かったか、とかそんなところだろう」

「それでカスタバルさんとはどういう関係なんですか?」

「サリアと同じような、旧友、だよ」

「はぁ…、あの、失礼ですがファノンさんって……」

 お幾つなんですか、と問おうとしたが足元から聞こえたキィキィという鳴き声に遮られた。

「え……?」

「おや……?」

 一体何なのかと足元を見ると、『森の一族』を手のひらサイズにした様な生物が鳴いていた。

「あー、さっき精神接続した奴から何処まで聞いてるか知らんが、『アレ』の幼体だな」

 まんまリトル森の一族だったらしい。

「こんな所に居ると危ないですよー?」

 アリシアがその生物を手に乗せ目の高さにまで持って来て話しかけるも、キィキィ鳴くだけで先程の様に視界が真っ白になる様な気配は全く無かった。

 幼いと力もまだ弱いのだろうか。だとすると余計に危険である。

「えええ……」

 困惑するアリシアをよそに、ファノンは先程倒した四つ脚の『兵器』に向かって行った。

 そして懐からナイフの様な物を取り出すと、四つ脚を解体し始めた。

「フ……ファノンさん!? 何してるんですか!?」

「いや…コイツも無駄にならない様にしようかと、な……」

 見ると、四肢の剣状の部分をキレイに切り取っていた。

「素材はノーマ・デイバの大剣と同じだから、アレが売れるならコレも売れる」

「売れ……るんですか?」

「イシュト=ナーフはエズル・バシュタのお膝元だから下手に流すと足がつく危険性が高いが……途中に村か町でもあれば……売れるんじゃないか? 多分」

「多分って……」

「で、お前は? どうするんだ、アリシア」

 森の一族の幼体を指すファノン。

「この子は……私が保護します!」

「あー、そう言うと思ってたよ。ただ私は諸事情で手を出せない」

「そうですか……でも、この子、何食べるんだろう……」

「日光の当たる所で脚部を土に埋めておけば育つ筈だ。あと水な」

「『森の一族』って言うくらいだからか、何だか植物みたいですね」

「まぁ半分は植物だな。私も詳しくは知らんが」

 アリシアは再びその幼体を手に乗せると、にっこり微笑んで、

「えーっと、あなたの名前はー、『キィちゃん』!」

 と言った。

「キィキィ鳴くからか、何とも安直だな」

 当の『キィちゃん』は後脚で立ち上がって、何処か嬉しそうにキィキィ鳴いていた。

 こうして、アリシア一行にガラクタの様な荷物と、小さな仲間が増えたのであった。

(後)って付いてんのにまだ旅立ちきれてないこの感じ!

そのクセインベントリはどんどん膨らんで行く。

それとここから先考えてないので(またか)

お察し下さい。(?)

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