語らい
昼を過ぎた頃、今からでも先へ進むかどうするか、2人で考える。
少しでも早く森は出たいが、これからだとあまり進まない。
かといって、今日もここに留まると危険な気もする。
瘴気付きの結界は、初見でこそ効果があるように思う。
得体の知れないものが、2日もそこにあれば魔物達も何か仕掛けてくるかもしれない。
なのでこの場所から離れることにした。
「マヤ、ルナの背中乗る?」
先を歩くルナは振り返ってマヤを見た。
「え、いいの?疲れてない?昨日、あまり寝てないわよね?」
「大丈夫・・・飛ぶ方が歩くより楽」
・・・そうなんだ。
ルナはドラゴンだものね。人の形に変えられるだけで、本質はドラゴンなんだ。
でも、そうだとすると・・・
「ねえ、ルナ。もしこのまま森を出て、私と一緒に行くならドラゴンの姿になることは出来なくなるかもしれないわ。ずっと人の姿のままでいても、ルナはそれでいいの?」
マヤは急に不安になった。このままルナと一緒に行くことは出来るのだろうか?
ルナにはルナの人生がある。私といれば窮屈な思いをするんじゃないだろうか?
「マヤの家族になるのに、ルナは頑張って人の姿なった。ずっと一緒。ルナは人の姿でいる」
ルナは真剣な目でマヤを見つめた。
馬鹿なことを聞いてしまったと思った。島のみんなでルナを育てて来て、一番近くにいた私がルナの心を分かっていなかった。
ドラゴンは魔物という固定観念で、ルナを受け入れているようで受け入れていなかったのかもしれない。マヤとルナはお互いに、かけがえのない存在なのは変わりないのだが、2人は違う目線でお互いを見ていたのだった。
「有難う、ルナ。」
「うん」
そう言って一瞬でドラゴンの姿になる。
マヤを乗せたルナは大きく翼を広げ、大空を飛ぶ。
お互いの思いはそれぞれ・・・でも寄り添っていければそれでいい。