ルナの魔法
ドラゴンが人間の言葉をしゃべった!
マヤはそのことが信じられなかった。とてもうれしい・・・うれしいけれど変な感覚になってしまうのだ。
「ルナ、何でしゃべれるようになったの?」
マヤは、祖母のいない家のキッチンで、ルナとテーブルをはさんで、向かい合わせで座っている。
「マヤ、ルナハ、マホウ、ツカエルヨウニ、ナッタ。」
さらに信じられない事を言った!
ドラゴンが魔法・・・
ドラゴンブレスは文献を読んで知っている。口から火を噴くやつ。
ルナは魔法を使えると言った。しゃべることも魔法の1つ?
「・・・他の魔法は何かあるの?」
恐る恐る聞いてみる。
「アル。カラダ、オオキクシタリ、チイサクシタリ、デキル。」
「・・・・」
今、何て言った?
マヤはもう、何が何だか分からないといった様子でテーブルに肘をついて頭を抱えた。
「マヤ、ミテ。チイサクナルヨ。」
こちらの気持ちも気にせず、ルナは目の前で小さくなってしまった。
「コレガ、ゲンカイ。」
産まれた時と同じくらいのサイズ、50cmになったルナが、テーブルの上にちょこんと立って、こちらを見ている。
「・・・か、可愛い・・・」
思わず声が出てしまった。
それから2年後、ルナは人間の女の子に完全に変身出来るようになるのだが、それまでの過程は酷いものだった。
頭だけ人間、その下はドラゴンだったり、またその逆もありの、とんでもない状態を経て、ようやく完成するのであった。