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転生した勇者  作者: 早苗ナツキ
第二章 世界ギルド
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第05話  少女との出会い

久しぶり?……いや。気のせいさ!!

 街を出てから3日後、俺たちはドルドの街に到着した。途中、狼や猪に追いかけられたりしたがまぁ、大きな問題はない。


「うわぁ、ここがドルドの街かぁ」


 ジールが目を輝かせて言った。ドルドはかなり栄えた街だ、田舎育ちのジールが興奮するのも無理はない。


 中央都セルリアはこんなもんじゃないぞ。と言いたいところだが、ジールと共に育った俺が言うと明らかにおかしいのである。


「取り敢えず、泊まるところを探そうぜ」


「うん」


 俺たちはジールの両親から、2週間は暮らせるレベルのお金を貰っていた。本当にありがたい。


「お金を節約しなきゃいけないから一番安いところがいいな」


「えー、お金いっぱいあるんだからもっと高いところじゃダメなの?」


「ダメだ」


 こう言うのはキッパリ断らないとな。ジールとて10歳だ。贅沢したい気持ちもわかる。


「そっかぁ」


 まぁ、10歳にしては素直すぎかな。




 数十分街を歩いていると、いかにも安そうな宿屋をみつけた。見た感じだと、建てられてから50年くらいは経過していてるだろう古い建物だ。


 ……ゴクッ


 その外見から、思わず唾を飲む。


「い、行くぞ。ジール」


「う、うん」


 ガチャッ……


「し、失礼しま〜す」


 俺たちは恐る恐る中に入った。しかし、受付の場所には誰もいない。


「すいませーん!誰かいませんか!」


 大声で叫んでみる。ジールが止めろよと言わんばかりに腕を引っ張っているが、無視した。


 トン…トン…


 階段から足音がする。誰かが降りて来たみたいだ。

 そして、壁からヒョイっと顔だけ出てきた。


「い、いらっしゃいませー」


 なんと出て来たのはイカつい爺さんでもなく、うるさそうな婆さんでもない、なめらかな青髪の少女だった。年齢は多分14歳くらいの。


「こ、こんにちは!お金はあるんで、こちらに泊めていただくことは可能でしょうか!」


 元気よく聞いてみた。すると・・・


「あぁ、別に構いませんよ。部屋は2階にあるので好きに使ってください。お金は後払いで大丈夫ですので」


 あっさりと了承してくれたのである。


 俺たちは2階に上がり、べッドが2つある部屋を借りることにした。


「ふぅ、ようやく一息つけるな」


「そうだね。中は思ったより汚くないし、大丈夫そう」


「多分、この街に滞在できるのは4日程度だな」


「え、そんなに早いの?」


「あぁ、早めに行って色々下見が必要だろ?それに、ギリギリに出て時間に間に合わなかったら終わりだしな」


「たしかに……」


「さぁて、泊まる場所も見つかったし今日は街でも見に行くか!」


「あれ?特訓しないの?」


「たまには息抜きも必要だろ?」


「うん、まぁ。そうだね」


 俺たちは出掛けることを告げに階下へ行った。


「あのー!僕たち今から街に行って来ます!」


 結構な大声で言った。特に意味はない。


 すると店の主人である少女はビクッとして、


「も、もう少し小さい声で良いですよ!心臓に悪いです!」


 と言った。


 なんだ、意外と愛想のあるやつじゃ無いか。

 そう思いながら俺とジールは街に出かけて行った。



 ・・・



 宿屋に帰宅すると、夕飯が用意されていた。


「街の散策は楽しかったですか?夕飯を作っておきましたので冷めないうちにどうぞ!」


 少女が爽やかな顔で俺たちに言った。


「あ、ありがとうございます」


 そして俺たちは少女と共に食卓についた。机に並ばれていたのは、シチューだ。


「わぁ、いい匂い。いただきまーす」


 ジールが早々と食べ始める。全く純粋なやつだ。


「んん。すっごく美味しいです!」


 よほど美味しいのか、ジールは満面の笑みで少女に語りかけいた。


「あの、本当にいいんですか?頂いちゃって」


「当然です!あなた方は私のお客さんなんですから」


「あぁ、ありがとうございます」


 俺も用意してくれたシチューを食べ始めた。


 モグモグ……


 あ、美味いなこれ。


「とても美味しいです。本当に、」


 少女は微笑みながら、「そうですか」と言った。


「これ全部一人で作ったんですか?」


「えぇ、そうですよ」


「大変……ですよね」


「まぁ、たしかに時間はかかりますけど、それほど大変では無いですよ。仕事ですから!」


「なるほど……」


「ところで、なぜこの街に来たんですか?両親は一緒じゃ無いようですが……」


「あぁ、俺たちセルリアに用事があって……」


「セルリアに?そこに両親がいるとか?」


「いや、まぁ。……そんな感じですね」


「ふーん。こっからセルリアまではあんまり猛獣はいないと思いますが、気をつけてくださいね」


「あ、ありがとうございます」


 すると少女は笑顔で返してくれた。


 優しい人だな。





「「ごちそうさまでーす」」

 夕飯はあっという間に食べ終わった。



 最初は愛想の無い人かと思ってたが、とても親切で愛嬌のある人だったようだ。


 ご飯も食べ終わったことだし、俺は気になってることを尋ねてみた。


「あの、なんでこの宿を一人で経営してるんですか?」


「え、あぁ。そうですね」


 少女は少し考えてから話し始めた。


「私はもともと、ギルドで金導級魔導士をやってたんです」


「……え?」


 いやいや、いきなり問題発言だぞこれは。こんな少女が金導級?!魔導士の最高階級[大魔導士]の一個下だぞ?!


「どうかしました?」


「あ、いや。なんでもないです。続きお願いします」


「あ、はい。……それで、この店は私の母が経営してたんですけど、2年前に突然行方不明になってしまったんです」


 行方不明……。

 俺の両親とも何か関係があるのかな……。いや、考えすぎか。


「それで、母の意思を継いでこの店を継続させてると?」


「はい。でも本当は引き継がなくても良かったんですけどね。曽祖父の代からあるこの宿屋も、母の代で終わらせる予定だったそうです」


「じゃあ、なんで引き継いだんですか?」


「ただ、私が母の意思を引き継ぎたかっただけです。それに……」


 少女は少し顔を暗くして言った。


「魔物と戦うのが、怖くなったんです……。いつ死ぬかもわからない前線で戦い続けるのはもう嫌になって」


 なるほどな。魔導士を引退するには丁度良かったって事なのだろう。冒険者は命懸けの職業だ。逃げ出す人もこれでもかと言うくらい見てきた。年齢的にも、この少女が逃げ出すのは無理もないだろう。


「本当、笑いものですよね。人々を守る役目の人が、怖くて逃げ出すなんて……」


 少女は苦笑いして言った。


 そんな事無いですよ。なんて都合のいい事は言ってあげられない。だが一つ言えるのはーー


「逃げる事は弱い事じゃ無いと思いますよ」


「……え?」


「逃げたい時は逃げたって良いじゃ無いですか。でも、自分の覚悟から逃げたらそれは本当の弱者です」


「自分の覚悟……ですか」


「俺とジールは世界ギルドを目指しています。それは興味でも指図でもありません。自分たちで覚悟して決めた事なんです。大切なものを奪われる悲しみから、皆んなを守るための覚悟です」


「あなたは一体……」


「俺はティア。ただの10歳児ですよ」


「あなたの生き方に文句なんて言いませんが、少しは自分を信じてもいいんじゃ無いですかね」

 俺は笑いながら少女に言うと、いつの間にか寝ているジールを起こす。


「うぇ?あれ?ここどこ?」


 どうやら寝ぼけている様だ。


「ジール、上行くぞ」


「ふぇ?」


 俺はジールの肩を持って階段を登る。


「あ、そうだ。そういえば名前なんて言うんですか?」


「あ、私の名前はラミラス・レンデントです」


「ラミラスさん。夕飯とても美味しかったです。ありがとうございました」


 俺はニッコリと笑って2階へ行ったのだった。




 翌日、何やら良い匂いがして目を覚ました。


 ……なんの匂いだ?ラミラスさんが朝ごはんを作っているのかな?


 そう思って下の階を覗くと、案の定朝食を作っていたようだ。すかさずジールを起こしに行く。


「ジール起きろ!ラミラスさんが朝ごはんを作ってくれてるみたいだ」


「ラミラスって誰?」

 ジールが眠そうにしながら言った。


 あぁ、そうか。コイツ昨日寝てたんだったな。

「まあいいから行くぞ」


 俺はジールと共に階下へ降りていった。



「「おはようございます」」


「おはようございます!朝食の準備がもうすぐ終わるので、そこに座って待っててください!」


 ラミラスさんは台所にある椅子を指して言った。

 俺たちは言われた通りに、ダイニングにある椅子に座る。


「ねぇ、ティア。今日は何の特訓をするの?」


 ジールが椅子に腰をかけながら言ってきた。


「まだ秘密さ」


「気になるなぁ」


 俺たちが会話をしていると、やがてラミラスさんが朝食を持ってきた。

「どうぞ!召し上がってください!」


「「ありがとうございます!」」


 元気よくお礼をし、俺とジールは朝食を食べ始めた。



 うん。やはりラミラスさんの料理は美味い。








 朝食を終え、俺たちは特訓に出かけた。


「どこで特訓やるの?」


 ジールが心配そうに聞いてきたが、全くもって問題ない。


「もうすぐ着くから大丈夫だ。」


 そう、昨日の息抜きはただ歩き回ってたわけではない。特訓できそうな場所を探してたのだ。


「さぁ、ついたぞ」


 俺が連れてきたのは、人気が少なく周りに民家がない広々とした空き地だった。特訓をするには絶好の場所だ。


「へぇ〜こんな所があったのかぁ」


 ジールが驚いた顔をして言った。


「それで、今日はなんの特訓をやるの?」


「まぁ、これを特訓と言えるのかはわからないが」


 俺はジールの方に振り返った。


「ジール、今から俺と戦え」


「……え?」




 それがティアの秘密にしていた特訓内容であった。

はいすいません真面目に書きます。

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