ありがとう星人
お日さま今日もありがとう。
明るい光をありがとう。
雨さん今日もありがとう。
命の水をありがとう。
「ようちゃん、おはよう。」とママの声。
顔を洗ってリビングに行くと、朝ごはんのいい匂い。
「今日も目が覚めて良かったね。」とママは笑う。
ぼくのママは『ありがとう星人』
誰にでも、何にでも「ありがとう」と言う。
嬉しいことにも「ありがとう」
悲しいことにも「ありがとう」
辛いことにも「ありがとう」
痛いことにも「ありがとう」
怒られたときも「ありがとう」
嫌なことをされたときも「ありがとう」
お礼を言うときも「ありがとう」
でも、ぼくにはわからない。
ママの「ありがとう」の意味がわからない。
「ありがとう」ってなんなんだ?
「ありがとう」ってどういう意味?
ぼくの頭の中は?でいっぱい。
そんなことを考えながら、
朝ごはんを食べていたら、
急にママがこう言った。
「今日はようちゃんとママの2人で、ありがとうをみつける旅をしよう!さぁ、朝ごはんを食べらたら出発だよ!」
「やったーーー!」
ぼくは一生懸命ご飯を食べた。
ぼくもママも準備万端!
「ありがとうをみつける旅、出発しんこーう!」
家の近くのバス停で、おばぁちゃんが重たそうな荷物を持って立っているよ。
ママはすかさず笑顔で声をかけた。
「おばぁちゃん、お荷物おもちしますよ。」
おばぁちゃんは笑顔でこう言った。
「悪いねぇ…ありがとねぇ。」
ぼくとママは目を合わせた。
ぼくは、一つめの『ありがとう』をゲットした。
バスに揺られていると、妊婦さんが乗ってきたよ。
ママはすかさず笑顔で声をかけた。
「どうぞ、ここの席に座ってください。」
妊婦さんは嬉しそうにこう言った。
「助かります、ありがとうございます。」
ぼくとママは目を合わせた。
ぼくは、二つめの『ありがとう』をゲットした。
バスを降りて公園に着くと、泣いている女の子がいたよ。
ママはすかさず笑顔で声をかけた。
「どうしたの?何か困っているの?」
女の子は泣きながらこう言った。
「パパとママが、いなくなっちゃったの〜。」
「それは困ったねぇ〜、じゃあ一緒に探そうか!」
とママが笑顔で言った。
女の子は泣くのをやめて、笑顔になった。
公園の受付に行くと、女の子のパパとママが待っていたよ。
その子のパパとママが、ぼくとママにこう言った。
「本当に助かりました。ありがとうございました。」
ママは笑顔でこう言った。
「パパとママに会えて良かったね。」
女の子も笑顔でこう言った。
「ありがとう!」
ぼくとママは目を合わせた。
ぼくは、三つめと四つめの『ありがとう』をゲットした。なんだか、心があったかくなってきた。
ぼくとママは、公園でおにぎりを食べたよ。
ママがおにぎりを食べようとすると、サッカーボールが飛んできたよ。
ママのおにぎりはポーンと遠くに飛んでいった!
「あーあー。」とぼくは言った。
でもママは笑っていた。
ママのところにサッカーボールの持ち主がやってきたよ。
「ごめんなさい…」
ママは笑ってこう言った。
「ナイスボール!いいキックを見せてくれて、ありがとう!サッカー頑張ってね!」
ボールの持ち主は、嬉しそうに笑ってこう言った。
「はい!ありがとうございます!」
ぼくとママは目を合わせた。
ぼくは、五つめの『ありがとう』をゲットした。
なんだか、心がほわほわした。
ほわほわした心で、ぼくとママは家に帰ったよ。
ぼくはママにこう言った。
「ぼくもママみたいな『ありがとう星人』になるよ!『ありがとう』って心がほわほわすることばだね。ぼくもみんなに、『ありがとう』って言うよ!」
ママはニッコリ笑ってうなづいた。
「ありがとうがたくさん見つかってよかっね。『ありがとう』は言う人も、言われる人も、心がほわほわすることばだよ。ようちゃんもみんなの心をほわほわさせる『ありがとう星人』になってね。」
しばらくすると、ガチャっと家のドアが開く音がしたよ。
「あーーー、パパだぁ!」
ぼくはパパを迎えに行って、パパに向かってこう言った。
「パパ今日もお仕事頑張ってくれて、ありがとう!」