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学校で出される「読書感想文」の宿題に対する個人的な考察

作者: フィーカス

 とある先生が、「学校の読書感想文必要ないのでは?」という問いかけをしていました。読書感想文、苦手な人が多かったのではないでしょうか。

 私も読書感想文が苦手(そもそも読書が苦手)だったため、感想文はかなり苦労した覚えがあります。とりあえず適当に読んで、あらすじとか書いて、「すごいと思いました」「おもしろかったです」みたいな言葉を適当に並べていたような気がします。

 高校時代もありましたし、課題図書まで指定されていました。一体何の役に立つのかと思いながら書いていた思い出があります。


 学校の宿題で出される読書感想文、どんな役に立つのでしょうか。


【読書感想文のメリット】

1.読書により世界観が広がる

 最近読書をする人が少ないといいますが、本を読むということは、単純に自身の世界観を広げる役割があります。感想を書かずとも、小中学生の頃からとりあえず本を読む、ということは重要なことでしょう。


2.要約力がつく

 読書感想文は本を読んで、その本がどういう話だったのかをまとめる必要があります。この「読んでまとめる」という作業をすることにより、人の話や文章を自分なりに理解し、相手に伝えるという能力がつきます。


3.考える力がつく

 文章化する、ということはつまりは「考える」ということにもつながります。自分の思ったことや感じたことを文章化することにより、自分で考える力が身につきます。


4.文章力がつく

 相手に自分の考えを伝えるためには、きちんとした文章を書く必要があります。それらを鍛えるためにも、作文は有効な作業だといえます。


 このように、読書感想文という作業一つとっても、本を読む→自分の考えをまとめる→文章化するという作業が入るため、様々な能力が身につくと考えられます。

 しかし、何故このようなメリットがあるにも関わらず、「読書感想文は意味がない」という意見があるのでしょうか。


【読書感想文が意味をなさない理由】

1.出題している先生が読書感想文の意義を理解していない

 一番の原因としては、先生自身が何のために読書感想文を書かせるのか、理解していないのではないか、という点です。恐らく多くの人が考えることでしょう。

 今の教育現場においても、「何故それをやるのか」という意義を見出せずに「決まりだから」で思考が停止している先生が多いのではないかと思われます。教育者は、何故それをやるのかが理解できていなければ、教える意味が無くなってしまいますし、教育の効率も悪くなってしまいます。


2.読みたい本を選べない

 読書感想文を宿題にする際、「課題図書」が指定されていて、その本に対する感想文を書くということが一般的ではないかと思います。そうでなくても、「文芸作品でないとダメ」とか、「漫画や雑誌はダメ」とか、「ライトノベルはダメ」とか、そういった指定がされていることが多いと思います。

 自分の好きな本、読みたい本の感想を書くからこそ本心が書けるし、苦痛に感じないのではないかと思いますが、現状ではそうはなっていないようです。


3.肯定の意見しか受け付けない

 あくまで「読んだ本の感想」なのですから、「面白くない」「つまらない」「不快だった」という意見が出てもおかしくないはずです。ところが、そういった感想を書くとほぼ確実に書き直しをさせられます。

 読みたくもない本を読まされれば、当然つまらないと感じると思います。読んだ人の意見や感じたことを書くのが感想文のはずなのに、一体何を書かされているのでしょうか。肯定の意見しか書かせないのであれば、「書物褒めたたえ大会」とでも銘打てばよいのではないでしょうか。


4.強制でやらされる

 読書感想文は主に宿題で出されるため、書くことが強制されています。「出さない」という選択肢がありません。

 体育の授業が苦手な子が圧倒的に体育で不利になるように、本が苦手な人は読書感想文を書くのが圧倒的に不利になります。それでもやらなければならないのは、苦痛以外の何物でもないでしょう。


5.感想文を書く方も意義を理解していない

 読書感想文を「書かされる」方も、何のために書くのか恐らく分かっていないでしょう。とりあえずめんどくさいけどやらないといけないからやる、と考えて書いてしまっては、まったく意味がありません。


 結局のところ、何故読書感想文を書くのかの意義を理解せず、ただただ「決まりだから」でやってしまい、書く方も理解せずに適当な文章で終わらせてしまう。その結果、「まったく役に立たない宿題」が出来上がってしまうわけです。


【読書感想文を意義ある物にするためには?】

 上記のように、読書感想文が「まったく役に立たない宿題」と化してしまっているのは、非常にもったいないことです。

 ちゃんと勉強のために取り組めば様々な能力を引き出せるのに、これでは意味がありません。

 では、どうすれば読書感想文に取り組んでもらえるでしょうか。簡単に言えば、「意味をなさない理由」に書いていることと逆のことをすればいいわけです。


1.何故読書感想文を書くのか、書くとどんないいことがあるのかを説明する

 まずは先生たちが「何故読書感想文を書かせるのか」という意味を理解しなければなりません。そのうえで、児童・生徒たちに「読書感想文を書くとこういういいことがある」「読書は楽しい」といったことを教える必要があると思います。


2.読む本は自分たちで決めさせる

 さすがに漫画や雑誌はどうかと思いますが、きつい縛りを作らず、自由に本を選択できる環境を作る必要があるでしょう。逆に読む本に困った時には、先生からおすすめの本を提示するという方法が有効になると思います。


3.再提出をさせない

 感想はあくまで感想であり、思ったことをきちんと書かせることが目的です。いい加減すぎる内容も困りますが、少なくとも否定的な意見をつっぱねることはやめた方が良いと思います。


4.字数制限を決めない

 読む本によっては書きたいことが少なかったり、多くなったりすることがあると思います。また、書く側の文章能力や意欲によっても、どのくらいの量の感想文を書くかが変わってきます。

 最低原稿用紙1枚から、書ける人はたくさん書いて、書けない人は最低限、これで良いのではないでしょうか。


5.選択制にする

 小中学生で苦手なことが残るのはあまり良いことではないですが、苦手なことを得意にするよりも、得意なことを伸ばす方が効率的な場合が多いと思います。ですから、無理に読書感想文の提出をさせるのではなく、他の課題との選択制にしても良いと思います。


 大人になると、読書ならず自分の意見を述べなければならない場面が多々あります。そうなった時、「他の人の意見をまとめる能力」「自分の意見を発表する能力」が非常に重要となってきます。

 読書感想文は決して楽しくないわけではない。自分の意見を発表できる場である。そういったことを意識してもらえれば、少しは読書感想文について悪い印象はなくなるのではないかと思います。

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― 新着の感想 ―
[一言]  読ませていただきました。  そういえば、私も学校の読書感想文は苦手でした。  文中の通りに、ざーっと本のあらすじを書いて、大変、面白かったですとか良かったですというシメ方をやっていました。…
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