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21話 勇者様と聖女様に会いに行きました



翌日、すっかり元気なった私は勇者様と聖女様に助けてもらったお礼を言う為、まだ私の体調が万全じゃないと渋るクリスに頼みこんで会わせてもらうことになった。

お礼は早く言った方がいいし、それを機にお近づきになっておきたいという下心も少しあった。


二人は、今は王宮の客室に滞在しているとのことで確認するといつでも来てもいいとのことでさっそくクリスと一緒に会いに行くことになった。


「もう体の方は大丈夫ですか?」


「ええ、すっかり良くなりましたわ」


「それはよかったですが、少しでも体調が悪くなったらすぐに言ってください」


心配そうに私を見ているクリスにエスコートされて廊下を歩いているとその先にウィリアムとマークが立っていた。二人は私達を見ると小走りに走ってきた。


「レイラ嬢! お体は大丈夫なのですか?」


「昨日、目が覚めたって聞いたけど無理してないだろうな?」


二人もよほど心配していたのかそれぞれ私に話しかけてきた。


「お二人ともご心配おかけしましたわ。でも私はこの通り元気ですわ」


「それはよかった」


「だが具合が悪くなったらすぐに言うんだぞ」


元気そうな私を見てウィリアムとマークは少し安心したようだ。


「ウィリアムとマークも勇者様と聖女様にお礼が言いたいとのことだったのでそれなら皆で一緒に行った方がいいだろうと思いましてここへ呼んだのです」


クリスが私にそう話した。


「なるほど、そういうことだったのですね。それでは皆様で行きましょう」


そうして私達4人は勇者様達がいる客間へと向かったのだった。






+++++++++++++++



「おう! 嬢ちゃん、元気そうじゃねえか」


客間についたら勇者様は私の顔を見てニカッと笑った。出会ったときの無精ひげは綺麗に剃られ髪も短く整えられている。白いカッターシャツに黒のズボン姿は普通の貴族の青年に見える。


「本当によかったわ。目を覚まさないと聞いたときは心配したのだけど」


聖女様も勇者様の隣に座って安心したような顔で私を見ていた。聖女様は淡い紫色のシンプルなドレスを着て髪は三つ編み解いてそのまま肩へと流していた。こうして見るとまるでお姫様のように綺麗だ。


「勇者様、聖女様もあの時は助けて下さりありがとうございました。私達がこうして無事に帰れたのもお二人のおかげでございます」


そう言って頭を深く下げた。ウィリアムとマークも後ろで慌てて私と同じように頭を下げた。


「私からも礼を言う」


クリスもそう言って頭を下げた。


「おう、堅苦しいことは抜きにしようや。ま、たまたま俺達が通りかかっただけだ。お前たちの運がよかったんだろうよ」


「そうですね。これも女神ノルン様も思し召し、あなた方はまだ死ぬ運命ではななかったという事です」


聖女様も勇者様の言葉に頷き優しく微笑んだ。


「さあさあ、堅苦しいことは抜きで茶でも飲んでいきな。ああ、そうだ。ちゃんとした自己紹介がまだだったな、俺はギルって名前だ」


「私はセイラと言いますわ」


勇者様と聖女様がそれぞれ名乗った。


「私は、レイラ・サンチェスと申します」


クリスに目で合図され私から名乗りカーテシーをした。


「はは! なんだ嬢ちゃん。最初に見た時と全然、雰囲気が違うな! 今はまるで借りてきた猫みたいだぜ」


そう言えば、あの時は命の危険が迫ってたから言葉遣いや態度が相当悪かった。それを今更ながらに思い出して気恥ずかしくなり顔がカァッと熱くなった。


「もう! ギルったら、女の子を揶揄ったらダメでしょう! ごめんなさいね、悪い人ではないだけど少し無神経なところがあるの」


「い、いえ! 私は大丈夫ですのでっ」


セイラ様に頭を下げられて慌てて気にしていないと告げる。その後はウィリアムとマークも順番に名前を名乗った。


「ところで、あなた達は『女神の試練』の途中で魔物騒ぎに巻き込まれたのだったのよね?」


「はい、そうですが。それについては後日、日を改めて再び行うと国王陛下にもお伝えしています」


セイラ様の問いにクリスが答えた。


「そのことだけどね。私達がこの国に戻ってきたのは女神様の信託があったからなの。そして明日、女神様が私を依り代にして降臨されこの国に啓示を授けることになったのだけど、昨夜の夢で再び女神様がお出ましになって『女神の試練を途中で断念せざるおえなかった4人の子供たちに我、自ら加護を与えることにする』とお告げになられたの」


「「「ええっ!?」」」


思わず声が出てしまった。かろうじて声を上げなかったクリスも目を丸くしている。


「私もこんなこと初めてなのだけど、もしかしたら女神様があなた達の事を見ていてご加護を授けることにしたのかもね。これはとても名誉な事よ」


「すげえな~、お前達。他の奴に自慢できるぜ!!」


ガハハハッとギル様が豪快に笑っているが、自慢どころではない。

女神様から直接、加護を貰えるなんて! やはりチート級の何かが与えられるに違いない。



ふっふっふっ、これは明日が楽しみだぜ!!



レイラはすでに明日の女神からの加護の事で頭がいっぱいになった。

『女神』という言葉に若干の引っかかりを感じつつも…‥‥。






*************************

現在短編も書いています。もしよかったら読んでみて下さい(^^♪

「断罪イベントの真っ最中ですが後方彼氏面している王子様が気になってそれどころじゃない」


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