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1話 転生したら女になりました。




皆様、ごきげんよう。


(わたくし)、ライ王国の公爵家令嬢のレイラ・サンチェスと申します。

サンチェス家は魔力が強く、代々の子息達は王家の側近として、そして特に魔力が強い子女は王家に嫁いだ方もいらっしゃるという高貴な家柄になります。


かく言う私も生まれ落ちた瞬間の魔力測定で純度の高い魔力数値が出たため、すぐにこの国の第一王子の婚約者と定められました。これはもう国王陛下がお決めになったのでよっぽどのことがないと覆すことはできません。


よっぽどのことがない限り‥‥‥。




「…って、そんなふざけたことあるかあああああ!!!!」


持っていた扇子を真っ二つにへし折る。


どうしてこうなった!?


なんで転生したら女になってるんだよ!!

だいたい、なんかあの女神様って胡散臭かったんだよなー。

まあ、まずは落ち着こう。俺が女神に要望した3つを改めて考える。


その1 美形にしろ → うん、美形だな。超美少女だよ。


その2 能力をチートレベルにする → たしかに魔力はかなり強いらしい。


その3 異性にモテたい → 俺が女になっているという事は男共にモテる。



「ふっざけんなー!! 確かに女にモテたいって言わなかった俺が悪いけどさー、でも、これってあんまりじゃないか!!」



人払いした部屋の中でのたうち回る。

男にモテるとかマジでごめんこうむりたい、俺は体は女でも心は男なんだよ!!

しかも、王子の婚約者とかもう勘弁してほしい。


後宮の女たちは王様の寵愛を巡って醜い争いとかするんだよな。前世で俺のおふくろがそういうドラマに嵌って見させられていたけど、食事に毒とかわざと転ばされたりとか……。

いや、無理無理!! ただでさえ男と結婚とか嫌なのに嫌がらせとかあり得ん!




「……こうなったら」


婚約者の王子にすべてぶちまけて、婚約を破棄してもらおう。

王子だって俺の中身が()男だって知ったら気持ちがいいもんじゃないだろうし、幸いおれはチートレベルの能力があるから公爵家を追い出されても女冒険者になるという道もある。


「お、なんだか光明が見えてきたぞ。こうなったら善は急げ言うしな、さっそくオウジサマに会って婚約を破棄してもらおう!」


さっそく、侍女のリンさんを呼んで王子様への面会を取り付けてもらおう。

部屋をノックする音に慌てて立ち上がった。ちょうどいい、さっそくリンさんにお願いしよう。


「入っていいわよ」


お嬢様言葉で返事をする。


「失礼します。お嬢様、クリストファー王子殿下がお見舞いでお越し頂いております」


「へ?」


「お嬢様…、やはりまだ体調が十分でないのなら、王子殿下にはお帰り頂いた方が‥‥」


「待って! だ、大丈夫っ、ちょっと驚いただけだから!」


「…そうですか。では、ご支度いたしましょう。パジャマ姿でお会いするのは失礼になります」


「そ、そうね! よろしく頼みます…」


「っ!? は、はい!」


リンさんは何故か驚いたように私を見ていたがそのまま何も言わず支度を始めた。

そうしてリンさんが選んできた真っ赤なドレスはゴテゴテでキラキラしていて趣味の悪そうなものだった。


「リンさん、これはちょっと…、もう少しシンプルなデザインの奴はないの?」


「はいっ!? お嬢様はいつもこういうものがお好きだったのでは…?」


「うーん、ちょっと趣味が変わったって言うか、あまりヒラヒラキラキラしたのでなければなんでもいい」


「わ、わかりました…」


リンさんは目を白黒させながらまた衣装室へと向かって行った。転生する前のレイラってどんだけ派手好きだったんだよ。元がいいんだからそんなに着飾らなくてもいいと思うけどなあ。


そうしてリンさんが持ってきたのは淡いピンク色のシンプルなデザインのドレスだった。さっきのより断然こっちだな。


着替えて髪を整えてもらう、そしてリンさんが口紅を塗ろうとしたのだがまたしても俺がそれを止める。


「いや、真っ赤な口紅じゃなくて薄いピンク色はない?それでいいよ」


女の子は真っ赤より少し色がついたかなというピンクの唇が俺好みだからな!


「は、はい!」


口紅を塗ってもらい支度が終わった。


「ありがとう」


令嬢らしく微笑むと今度こそ心底驚いたようにリンさんが目を見開いた。


「は、はじめてお礼を言われました…」


感動したように目に涙を浮かべている。

いやいや、どんだけ前のレイラは我儘なご令嬢だったんだよ。

これは、オウジサマもあまりレイラに対して心象はよくないだろうな。


うむ、いいではないか!

これで婚約破棄へ希望が持てるな。


「それでは、参りましょうか」


俺は婚約者の王子様に会うべく部屋を出た。



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