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14話 モンスターが あらわれた!



綺麗に整備された石畳の坂道が頂上の方へ続いている。道のすぐ側には木々が生い茂り、時たま鳥の声やカサカサと何かが動く音が聞こえてきた。そして木々の間から吹いてくる風も心地よい。ハイキングの気分で歩くにはうってつけの場所ともいるのだが……。


「レイラ嬢、大丈夫ですか? 」


「ふーっふー、だ、だいじょうぶ、です」


山の頂上をめざして30分くらい歩いてきたところだが、私の歩くペースがだんだんと遅くなってきていた。

普段から運動をしてこなかった事と先ほどから我慢していた足の痛みがひどくなってきたせいもあった。王子が息切れしている私に気を使って声をかけてくる。

くそー、こんなことなら軽い運動をしとくべきだった。


「ちょうど半分の所まで登ってるし、ここいらで少し休もうぜ」


「そうですね。水分補給もしといたほうがいいでしょう」


マークの提案にウィリアムも頷いた。

近くに休憩スペースがあったのでそこで休むことにした。


備え付けられていた椅子にそれぞれ座って水を飲んでいたら王子が話しかけてきた。


「レイラ嬢、もしかしたら靴擦れしてませんか?」


ズバリと言われて動揺してしまった。実は用意してもらった靴のサイズが微妙に合わなかったらしくさっきから親指の付け根がジンジンと痛みだしていた。


「そんなことは‥‥‥ 「ちょっと失礼しますね」 あ!」


王子は否定する前に私の前でかがんでするりと靴を脱がせてしまった。

痛みがある場所は擦れたように赤くなっていた。


「これは痛そうですね」


「本当だ。お前、こんなんで歩いてたのかよ」


「こんなにひどくなる前に一言おしゃればよかったのに……」


王子の後ろから二人も痛まし気に覗いている。


「だ、大丈夫ですわ! これくらいはなんともありません」


「先ほどから歩き方が変だったのでもしかしたらと思ったのですが、それならそうと早く言ってください」


いつも私に対して無関心の塊のような王子がわずかに怒っているように思えた。


「そんなに気になさならくても神殿まであと少しなので大丈夫です」



王子はどうか知らないが後ろの2人は神殿に行くのを楽しみにしていた。

それを私のせいで遅くなるのは悪い気がしたのだ。私も楽しみだし早くつきたかった。


「応急処置くらいしかできませんが足を私の膝に乗せててください」


王子はそう言うとポケットからハンカチを取り出して水筒の水で少し湿らして赤くなっている部分を丁寧に包むように結んで痛くならないようにゆっくりと靴を履かせた。

熱くなった足が水を含んだハンカチのおかげで冷やされだいぶ良くなった。ハンカチもクッション代わりになってさっきよりだいぶましになっている。


「クリストファー殿下、ありがとうございます。だいぶ良くなりました」


立ち上がると痛みも和らいでこれなら十分歩けそうだ。


「皆様、もう大丈夫ですわ。神殿へ向かいましょう!」



「なあ、ウィル。俺ら化かされてんじゃないのか? あのレイラが騒がないなんておかしい」


「ですよね…。以前はちょっとした切り傷でも大騒ぎしていたのに」


何やら後ろでマークとウィリアムが話しているが気にしないことにした。





そして頂上へと私達が再び歩き出した時、それは起こった。


ドォオオーーーン!!!


山の上の方から何かが爆発したような音がした。その音の振動が足元にも伝わってくる。


「な、なんだ!?」


坂の上を見上げると木々の間から白い煙が立ち上っているのが見えた。


「なにかあったのでしょうか?」


ウィリアムが不安そうな顔で呟いた。


「そうですね、何かあった場合は身の安全を優先しろと言われてます。私達はこのまま山を下りた方がいいかもしれません」


王子はこんな時の場合も教えられていたのだろう。顔は少しこわばっているが冷静に判断した。



ギャオーーーン!!


山の上から何かの鳴き声が聞こえた。


「おい、あの鳴き声はワイバーンじゃねえか!?」


マークが青ざめた顔で言った。


「それならなおさら私達がいたら騎士達の足手まといになるでしょう。とにかく急いでもどりましょう」


王子の言葉に同意して来た道を戻ろうとしたその時。



ガザガサッ


坂の下の木の陰から緑色の角の生えたオークが3匹飛び出してきた。



「マジかよ……」


それが私がこの世界で初めて見たモンスターだった。


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