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12話 はじめてのおつかい的なやつ?




王宮に来てからひと月が経ってようやくここの生活にも慣れてきた。

当初、厳しい目で見ていた教師達(特にカミラ夫人とグレイソン伯爵)は私の真面目に学ぶ姿勢を見て驚いたようだが今ではだいぶ態度も軟化した様に思える。



グレイソン伯爵から借りた本を2日で読破してその内容も完璧に覚えていたことにグレイソン伯爵が驚愕していたのは面白かった。

まあ、これもあのクソ女神のチート能力のおかげともいえるのだけどね。



カミラ夫人には、初歩のカーテシーからお茶会のマナーをカップを持つ指の角度まで叩き込まれた(これが一番きつい!)

あと、ついうっかり一人称を『俺』と言ったのを聞かれてしまい、般若のごとく怒られそれ以降『私』という単語を何百回と言わされたのには涙が出そうになった。それ以来、考え事をしても一人称は『私』になっている。………あの時の事は思い出したくないくらいトラウマだ。


グゥエルのじっちゃんとは、茶飲み仲間になった。

魔法の勉強はとっても楽しい!まだ実践はさせてもらえないけど基礎の魔法学は面白くて時間が経つのが早い。

しかもじっちゃんは、勇者と友達らしいのだ!!

なんでも今から10年前に魔王が復活したらしい。それを討伐するために結成された勇者一行の中にじっちゃんもいたそうだ。

その魔王討伐の話が面白くて沢山聞きたいのだけど、少しずつしか教えてくれない。


「では、その時役だった魔法式を書いてみなさい」


と課題を与えてくる。

なんだかのせられている気がするけどそれでも聞きたいからそれも苦にならなかった。




「そうじゃ、来週はクリストファー殿下とお主、それからネルソンとラッセルの坊主たちと『女神の試練』を受けてもらうことになった」


「『女神の試練』ですか?」


いつもの勉強後のお茶会でグゥエルのじっちゃんが思い出した様に言ってきた。


「そうじゃ、この国のしきたりでな女神の神殿がある山の頂上まで自力で行きそこで女神様に属性と加護を授けてもらうのじゃ」


おお!!

なんだかファンタジーっぽくなってきた!!


「自力でですか…」


「まあ、堅苦しく考えなくてもよいぞ。舗装された道を登っていくだけじゃ。まあ、ピクニック気分で考えるがよい」


「そう…ですか」


一気にほんわかな雰囲気になって間の抜けた返事をしてしまった。











♢♢♢♢♢♢♢



「ねえねえ、起きてる?」


「……また、あなたは性懲りもなく」


布団の中から王子が恨みがましい目で俺を睨んでいる。


「しょうがねえじゃねぇか! お前と会話できるのこの時間しかないんだからよー」


いつものごとく夜に王子の寝室に入り狸寝入りしている王子を叩き起こした。


「また、そんな言葉遣いしているとカミラ夫人に言いつけますよ」


「止めてくれ!!…っ! 止めて下さいませ。私、()()トラウマで今でも悪夢を見るのです!」


それだけあの時のカミラ夫人は怖かった………。


「は~……で? 今日は何の話ですか?」


「王子も聞いてるのでしょう? 『女神の試練』です」


「ああ、あれですか」


「王子だったら詳しい内容を知ってるじゃないかと、グゥエル卿はピクニック気分で行ってくれとかオッシャッテたんだけどやっぱり山には魔物とかいるんじゃないかと思って聞きにキマシタの」


「所々、変な敬語になるのが気になりますが……、まあ私も同じようなことしか言われていません。確かに山に魔物はいますが、当日は近衛騎士が山に待機して私達が無事に神殿まで着くように見守っているとのことですよ。魔物が出ても彼らが対応してくれるでしょう」


「ああ、なるほどな。ようは『はじめてのおつかい』をみんなで見守ってるって感じか」


「『はじめてのおつかい』?」


「ああ、前世でやってた番組でな子供にお使いを頼んでそれを全力で大人たちが見守るってやつ」


「ふ~ん、あなたの前世の話は興味がありますが私は眠いのでそろそろ寝ます。ちゃんと自分の部屋に戻ってくださいね」


王子はそう言って目を閉じるとすぐに寝息が聞こえてきた。


「まじで寝るの早っ!」


まあ、とりあえず神殿に行ってどんなスキルが付与されるのか今から楽しみだ!

ワクワクしながら自分の部屋へと戻って行った。




まさか、それが大事件になるなんてこの時の私は思いもしなかった。





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