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テンプレストーリー

はいどうもー。アルフ=オーメでーす。


この度は本作「テンプレストーリー」に触れていただき誠にありがとうございます。




このお話は「チビデブハゲブサイクキモオタ童貞ヒキニートコミュ障54歳」とかいう惑星直列にも程があるだろって奴が異世界転移して全スキル持ちの無双チートハーレムするっていう、テンプレ展開しかない小説と呼べるかどうかさえ怪しい代物です。あ、ちなみに転生前の出来事は省略してあります。見たくないでしょそんなの?




作者のバカ野郎が言うには「テンプレ要素ギガ盛り! お約束満載! 何もかも予想通りなため安心して読めます!」というのが売りらしいのね。


そんなんだからテンプレラノベが苦手だったり、嫌悪感を抱く人は戻って下さいね。お互い良い思いしないだろうし。




……ところで「お前は誰だ」って? ま、そりゃ聞きたくなるわな。


俺はアルフ=オーメ。この下らないラノベの登場人物の1人で、「第4の壁」って奴が理解できてこうやって突破ができるってのが特徴かな。知らない奴はヤフーかグーグル使って検索しろ。義務教育じゃねえんだからな。どういう形で主人公と関わるかは読めば分かると思うんでそれまでのお楽しみって事でいいかな?


んじゃあ後は本編で。






◇◇◇






クロードがこれから三年間お世話になる自分の部屋を開けたと思ったら中で美少女が着替えていた。




「なっ!? クロード! いきなり何なのよアンタ!」


「おおっ! 入学早々いいもん見れたわー」


「ふざけんなバカー!」




桃色の髪の少女は顔を真っ赤にしながら自慢の炎魔法で攻撃してくるが、彼は防御魔法で難なく防ぐ。




「ハハッ。怒った顔も可愛いね。じゃあな、チャオ」


「待ちなさいこの野郎!」




彼女が渾身の力で人間の頭ほどもある巨大な炎を打ち出す。クロードはそれをひょいとよけたが、何事かと様子を見るため覗きに来た青年にぶち当たってしまう。




「ぶげっ!」




青年は吹っ飛ばされて廊下をゴロゴロところがる。




「オイオイ大丈夫か」




クロードはとばっちりを受けた青年に軽く声をかける。




「な、何とか。にしてもお前本編開始一行目からラッキースケベとか早いにも程があるだろ」


「は、はぁ。何言ってんのかわかんないけど大丈夫そうだな。俺はクロード、お前は?」


「アルフ。アルフ=オーメだ。ところで505号室ってどっちか分かるか?」


「ああ。俺の部屋が506号室だから多分あっちだと思う」


「隣同士だな。まぁよろしく」






クロードが入った部屋の扉が部屋の主の手でバタン! と閉まるとドアには「507号室」と書かれてあった。




「507号室……? ああ、隣の部屋だったか」




「自分の部屋」を開けたのに着替えを覗く羽目になったのは部屋が一つずれてたからか。気を取り直して彼は自分の部屋へと入っていった。








翌朝、クロードが目を覚ますと入り口のドアに手紙が挟まっていた。






「本日の昼休み、校舎裏の広場に来なさい。くれぐれも逃げない事。逃げたら臆病者だと一生ののしってやる。 マリアンヌ」




手紙にはそう書かれてあった。




「あーこりゃラブレターだな」




それに対して実に呑気な事を言うクロードだった。








昼休み




昼食を済ませたクロードはそのまま手紙で指定された広場へと向かう。いたのは既に十数人はいる生徒たち、その中にはアルフもいた。その輪の中央には、昨日着替えの場に出くわした桃色の髪の少がピリピリと殺気だっていた。




「よぉマリアンヌ、呼び出しなんかしてもしかして告白でもするんかい? まぁ自分でいうのもなんだが≪傾国≫スキル持ちの超美形だから一目ぼれってのも……」


「一目ぼれ!? ふっざけんじゃないわよ! これは決闘よ! 私の着替えを覗いた罰よ!」


「決闘? オーケーオーケー、剣でデートか。いいぜ、付き合うよ」


「その減らず口が二度ときけないようにしてやるんだから! 抜きなさい!」




言われるがまま彼は剣を抜く。と同時に彼女が跳んで一気に距離を詰め斬りかかる!


が、相手はいともたやすくいなして防ぎきる。その後反撃を始めると……




「ぐっ!?」




一撃一撃がとてつもなく重い。ほんの数回斬撃を凌いだだけなのに何十回も受け止めたかのように腕がビリビリと痺れる。


そして放たれた特に鋭い一撃を防ごうとするが防ぎきれずに彼女は剣を放してしまう! 相棒が宙を舞いカランと音を立てて落ちた。




「うん。しゃあない。俺は≪筋力補正≫、≪剣適正≫、≪剣術≫スキルがどれもレベルMAXだからなぁ。で、まだやる?」


「ま、まだよ!」




勝気な少女は高度な呪文の詠唱を始める。




「炎の神よ、或る物を呼び寄せ給えと我は願う。それは煉獄を焼く無慈悲な炎、その名は……」


「お、おい! その呪文使っちまうとあいつが死んじまうぞ!」




詠唱の内容から使う魔法を察した群衆の一人であったアルフが声を上げるが、彼女はお構いなしに発動させる。




「インフェルノ!」




彼女の手から地獄の業火とも思える超高温の獄炎が放たれる! 業火で焼かれた彼は普通だったら最悪命にもかかわる致命傷を負っているはずだ。


だが炎が弱り、消えるとそこには無傷どころか服にも焦げ目一つついていないクロードが涼しい顔をして立っていた。




「なっ!? 何で!?」


「俺は≪魔法適正≫スキルもMAXなんだ。剣と魔法の二刀流さ。で、まだやるかい?」


「……」




奥の手を引っ張り出してもなおかすり傷一つ負わせられない相手を前に、彼女は地面に座り込んでしまった。




「負けたわ……私の負け」


「ま、頑張った方なんじゃないの?」


「……」




軽快に笑うクロードと対称的に彼女はうつむいたままだ。




「……責任とりなさい」


「責任?」


「私の家では異性に負けたらそいつと結婚しなくちゃいけないのよ! 責任とりなさい!」


「OKOK分かった、卒業後に両親に会いに行こうぜ。何だったら今度の休みの時でも良いぜ?」


「ふざけた事言うんじゃない! 真剣な話なのよ!?」




その後もマリアンヌは食ってかかるが、青年は軽くいなす。この日のクロードは終始上機嫌だったらしい。








別の日




クロードはアルフを誘って街へと買い物に出かけていた。




「買い物っつっても俺あんまカネないからなぁ」


「大丈夫、カネならいくらでも稼げるから」


「稼げる……? 「持ってる」じゃなくて?」


「ああ。これで」




そう言うとクロードは持っていたバイオリンを見せた。




「オイオイ、そんなんで本気で稼げると思ってんのか? 冗談きついぜ」




アルフが茶化すが気にせずクロードは準備をする。




「≪楽器適正≫、≪バイオリン演奏≫、それに≪魅了≫のスキルを組み合わせれば……こうだ」




彼が演奏を始めるとほぼ同時にその場にいた人間全員がくぎ付けになる。というか仕事を放り出してしまう。


演奏が進むにつれてその素晴らしさに心を大きく揺さぶられたのかすすり泣く声があちこちから聞こえてくる。


やがて演奏が終わると百人以上にまで膨れ上がった観衆たちが割れんばかりの拍手とバイオリンケース目がけてシャワーのように降り注ぐ銀貨や銅貨を送った。








「へへっ。金貨八枚か」




銀行で金貨に両替してもらった後、クロードはウキウキしながら、アルフは呆れながら街中を歩いていた。




「……いや、こんな展開が本当に読者に好まれるのかが心配。あまりにも安直すぎるだろ」


「相変わらず何言ってんのかわかんねなぁ……まぁいいや。今日は俺のおごりだ、何か買おうぜ」




市場を散策中、二人が奴隷少女と彼女を連れた商人とすれ違った瞬間、クロードは振り返る。




「前言撤回。決めた、あの子を買う」


「はい!?」




アルフがついてくる前に彼は動きだす。




「兄ちゃん、若いのに奴隷を買いたいなんて言うねぇ。金貨十枚あれば売ってやらんこともないぜ」


「金貨十枚か……足らんな」


「いや、ここからが本番だ」




クロードは≪交渉術≫と≪言いくるめ≫、≪口達者≫スキルをフルに活用し値切り交渉に臨む。


一時間もの間舌戦を繰り広げた結果、金貨七枚で購入できた。








「ご主人様、これは?」




自室へと帰ってきたクロードは少女を置いて調理室へ行き、そこで作った間食を持って戻ってきた。




「フライドポテトさ。ジャガイモを油で揚げた料理だ。食ってみろ」




言われるがまま彼女が口にした瞬間、眼がキラリ! と輝いた。




「すごい……! こんなおいしい食べ物初めて食べました! 本当に、本当においしいです! こんな食べ物があったなんて!」


「ハハッ、そうか。この程度の物だったら毎日出してやるよ」




上機嫌なクロードをアルフはある種冷めた目で見ていた。


『普通の人間を凄い人にしたければ周りの人間を劣ったものにすればいい』って言うけど奴隷に少し親切にした程度でちやほやしてくれるこの展開……お前は、そして読者は本当に満足してるのだろうか。アルフは心の中でぼやいた。






翌朝




「うあー……ご主人様、眠いです。もう朝?」


「ハハッ、だよなぁ。≪精力絶倫≫、≪性技≫スキルMAXはちょっと刺激が強すぎたか?」




男と女が同じ部屋にいる。となると当然行われるであろう行為の後、二人は目を覚ました。




「じゃあ俺は授業があるからお前は校内を適当にあるいて時間潰してきなよ」


「は、はい。ご主人様の御命令とあれば」




転生前では決して味わう事が無かった「世界から愛されている」という感覚はいつまでたっても色あせない。今度こそは最高の人生を歩んでやる。そう思いながらクロードは部屋を後にした。

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