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第10話『運命の輪がグルグル回る』



 三人の姫君がタロトス王国にそれぞれお忍びで来ていた頃。



 場所はグラブレシア王国。

 陽が落ちてから、ワドリス王女がいない事に気づいた城の者達が騒動となる。

 マジシアの元に駆け付けた兵士の話を聞き、魔法学校の女校長は王女がどこにいるのかすぐに気付いた。

「タロトス王国にいるはずだ! 面倒になる前に迎えに行くぞ!」



 場所はハートノア帝国。

 陽が落ちてから、カプノア皇女がいない事に気づいた城の者達が騒動となる。

 皇女がいない事を兵士に報告されたエルペラ皇帝は、皇女がどこにいるのかすぐに気付いた。

「タロトス王国にいる、迎えに行け」



 場所はダイヤク王国。

 陽が落ちてから、コイフィ王女が何処にもいない事に気づいた城の者達。

 第二王女ペンティクルがすぐに魔法を使い、地の振動からコイフィ王女の居場所を探し当てた。

「姉様はタロトス王国に行ったようです! 私が迎えに行きます!」




 そして当のタロトス王国。

 王子の私室で、フールレ王子、騎士長ナイツ、ペイジス大臣、そして四人の女中が顔を突き合わせる。

 王女を部屋で待たせている以上、長い話し合いはできない。

 制限時間を五分と決めて、考えうる限りの作戦を大雑把に決めた。


 最後にフールレ王子が一堂に宣言する。

「いいか、今回の危機を乗り越えるにはお前たち全員の力が必要だ!」

 危機的な状況な上に、短いブリーフィングしかやれない状況。王子の顔は焦燥の汗をかいていた。

 しかし、決してその端正な顔をゆがめない。



「姫達がいなくなれば、きっとそれぞれの国の者達が探しに来る!」


「魔法使いの魔法は12時に解けなければならない、なぜならそこから先は大人の時間だからだ! 姫を大切に思うならば、確実にその時間までには迎えが来る! 国境警備の兵士達にも、もし迎えの者が他国から来たなら一秒も止めずに素通りさせろと、馬で連絡させている!」


「ここで作戦を失敗すれば、この私の命、この国の終焉、四大国の戦争につながりかねない!」


「失敗は許されない! 間違いを犯せば、その結果が己の罰として、爆弾に火をつけた者としてその罪を背負い続けなければならなくなる事を忘れるな!」


 その言葉を聞いた王子の配下達は、一斉に口を開いた。

「「「「「「その爆弾を準備したあんたが言うな!!」」」」」」






 陽が落ちて、夜の闇が訪れたタロトス王国。

 城に在中する魔法使いの魔力により、しばらく薄く照らし続ける魔法のランプが、城中で照らされた。

 もっとも四大国に比べれば、圧倒的に少ない魔法使いの人数。イベントの無い日は、城はぼんやりとした照明の中で、城の中にいる者達はそれぞれの仕事をこなしていた。

 


 そんなぼんやりと明るい城の中。

 ワドリス王女が待っていた部屋に、フールレ王子が訪れたのであった。


「フールレ王子!」

「ああ、ワドリス王女。久しぶりだな。息災だったかな?」

 微笑の王子は、かるく手を挙げながら、ワドリス王女に近づく。

 王子を見た王女は、明るい笑みを浮かべた。だが、その笑顔はすぐに消えて、皮肉気な微笑となる。

「あら? 王子に心配されるほど、私は弱い女では無くてよ?」


 プライド高きその有様は、まさに強者としての貫禄があった。

 だがそんな表情の裏で、ワドリスは己自身を嘆いていた。

(ああああ、どうして私はいつもこうなの!? 元気だったか? いいえ、あなたの事を考えて夜も眠れず熱に苦しんでおりました。あなたも足の怪我はどうでしょうか? もしも不安が無いならば、あの時に踊れなかったワルツでも一緒にどうでしょうか? 私は王子と踊れるように何度も練習したのですよ? 踊り方を知っているなら教えてください、知らないならば教えましょう。もしも足のケガの直りが悪いならば、私が魔法で見てあげましょうか? フールレ王子は今日も輝いていらっしゃいます。両親の事、国の事、苦しい事があるならば私に打ち明けてほしい。この身にかけて、その全てと戦い支える覚悟はできているのです。代わりに私を抱きしめて、この身を支えてほしいのです)


(直接に会って言いたい事、聞きたい事、たくさんあるのに、どうして私はいつもこんなふうに……)



 自らの性格を、表情に出さずに悲しむワドリス王女。

 王子はその手を取り、軽く口づけをした。

「ワドリス王女。許してほしい」


「あなたが私の為にこの国に訪れた事、とても嬉しく思っている」

「いえ、それは」

「私に会いに来てくれたのではないのか?」


 王女は少し沈黙し、それに答えようとしない。

 実際には王子に側に寄られ手を取られ、手に口づけをされて頭の中が興奮でショートしていた。


 そんな王女に、王子は爽やかに微笑む。

「どんな理由があれど、あなたがこうして私の前に現れた事がとても嬉しいのだ。だというのに私はあなたをこんな小さな部屋に押し込んでしまっている」


 タロトス城の他の部屋に比べれば、見られる客間ではあれど、いくつもある部屋の一つに過ぎない個室。

「ワドリス王女」

 フールレ王子は息が届くほどに、王女に顔を近づける。王女は顔を赤くした。

「な、なにかしりゃ!?」(噛んだ、死にたい!)


「あなたがここに一人いる事、それを知ればどんな騒動になるかわからない、どんな危険が君に訪れるかわからない」

 その言葉に、王女は息をのんだ。

「そして、君と私が結婚を前提に愛し合っている事を、きっと君の国の者達は、そして君の両親は許しはしないだろう」

 そして王女は王子の真面目な声に、気持ちを落とす。


(そうですわ。私の国グラブレシアは大国、タロトスは小国。きっとお父様もお母様もお許しになりませんわ。ですからフールレ王子は、せめて自分が危機においても出来る男である事を示す方が先だと、そう前の手紙にも書いてあったのに、私は、身勝手に……)

 目に見えて落ち込むワドリス。


 実際にはワドリスがフールレと結婚すると宣言すれば、国王夫妻は止めるつもりはない。圧倒的な強さを誇る彼女を止められるとは両親も思っておらず、さらにフールレ王子と結婚してくれれば、そのままタロトス王国を吸収するつもりである。小国といえど王子である以上、身分にも問題があるとは思っていない。

 しかしフールレ王子が送った手紙に、婚約してもきっとワドリス王女の両親が反対するだろうという内容を書いており、ワドリス王女もその内容を信じていた。


 落ち込む王女。

 王子はその耳元で囁くように言った。

「ワドリス、あの時できなかった事をやらないか?」


 王子は王女の手と腰を取り、身を重ねた。

「お、王子? 何を?」

 体を合わせたまま動かない王子。

 最初は思考が止まっていたワドリス王女だったが、王子に顔を寄せられ抱きしめられて、徐々に赤くなっていく。

(え、え? ええ? えええ? まさかわたくし、このまま、朝まで!??)


「ダンスをしよう」

「ダンス?」

 ニコリと笑う王子、それに気の抜けた返事をしてしまう王女。そして王女は自分が何を考えていたのかを想い直し、真っ赤になって頭から煙を吹き出してしまった。

(わ、わたくし、何を考えて……はっ!?)


 王女は自分の恰好を思い出す。

 その身なりは高価な服ではあったが、それでも以前のドレスに比べれば地味な格好ではあった。

(あああ!? 私、忍び込むことばかり考えて、王子と会った時の服装を忘れていましたわ!?)


 せっかく愛する男と一緒に踊ると言うのに、身なりに気を遣わなかった自身に対してうなだれてしまうワドリス。

 踊りに気乗りでない王女に、王子は声をかける。

「どうかなさいましたか、王女?」

「わたくし、このような格好で……」

 その言葉に王子は理解し、頷いた。

「なるほど、以前のドレスに比べれば地味な服装だな」

「……っ!?」

「ですが、そのような服装のワドリス王女も新鮮……」



「これは朝まで楽しめるな」




 その言葉に驚き、顔を上げる王女。

 しかし目の前には優しく微笑む王子の顔だけがあった。


 ともにワルツを踊りながら、しかし王女は集中できない。


 今の今まで美しく着飾って来た女であるがゆえに、男の欲望の視線を受けた事は何度もあった。

 それと同じ視線が、かすかに王子から王女は感じたのである。

 困惑する王女、しかし目の前に共に踊る王子からは、そのようなものは感じなかった。

 だが王女は確かに、感じたのだった。


(ま、まさか)


(王子はやはり、わたくしをこの後、朝までそんな)


(私、何の覚悟もしておりませんわ!? そもそも嫁入り前の身でそのような事!?)


(でも、よくよく考えてみれば、男の下に変装して訪れる女って、完全にそれですわぁああ!??)


 王女は同じ、魔法学校に通う学徒から恋愛小説を借りた事がある。

 「不潔ですわ!?」と思いながらも、いつか王子と語り合う為に必要だと隠れて読んでいた。

 その内容を、男女のシーンを、深く思い出した。



(あわ、あわわわわわ!? わたくし、わたくしは、なんて、はしたない事をぉおおおおっ!??)




 踊りながら真っ赤になったり蒼白になったりするワドリス王女。

 そんな王女に微笑みながら、王子は内心に思った。


(チョロい!)


 フールレ王子は、女口説きだけはやたらとやってきた男。

 ワドリス王女が上辺だけのプライドの、初心な女子である事など、お見通しであった。




 気絶寸前になったワドリス王女。

「メイドよ、すまないが来てくれ」

「はい!」

「少し休ませてやってくれ。また起きたら、呼びに来てくれ、頼んだぞ」

「わかりました」


 メイドはワドリス王女をソファに寝かせる。

 王女は横になりながら「フシュー」と声を出していた。


 フールレ王子は扉をゆっくりと開けて閉める。

 そして部屋の外に出ると同時に、走り出した。






 ノックをして部屋に入る。

「……どうぞ」

 扉を開き、フールレ王子は笑顔で挨拶をする。

「やあ、カプノア、久しぶり。またせたかな?」

 カプノアも微笑を浮かべて、王子を出迎えた。

「……ううん、メイドさんの話が面白くて」


 そのメイドは訪れた王子に頭を下げると、挨拶をして部屋を辞していった。

 その女中は、ハートノアからのスパイであった。

 互いに視線を合わせないが、確かに王子は「グッドラック」という言葉を聞いた気がした。



 部屋の中、二人きりになるフールレ王子とカプノア皇女。

 カプノアはゆっくりと立ち上がると、王子に抱き着いた。


「……フールレ王子」

「カプノア」

 小さな声で囁きながら、皇女は王子の体にすり寄る。

「……前に抱きしめてから、胸の高鳴りが止まりません。夜も眠れません。王子の事、忘れられません」

 王子も軽く抱き返しながら、カプノアの好きにさせる。



 そうして、しばらくしてからカプノアは小さな声で王子に聞いた。

「……王子」

「なんだい?」

「……さきほど、メイドから聞きました」



「……王子が最近、彫像に凝っているとは、本当ですか?」



「あ、ああ、本当だとも」

 王子はカプノアを撫でながら、答える。

「君もこの部屋に来る前に見ただろう、竜の彫像を」



「はんっ! あの程度?」

「え?」

 さきほどまでとは声色の違うカプノアの声。王子は驚く。


 カプノア皇女は王子に距離を取る、何事もなかったかのような表情だった。

「……王子、頼みたい事があります」

「え? ああ、なんだい?」


「あとで湖に来てください、本物の像を見せてあげます」

 カプノアはしっかりとした声で宣言し、部屋を出て行った。


 メイドからカプノアは氷像が得意で凝り性、さらにプライドが高いので、それをつつけばいいと言われていた王子。

 その結果は予想以上であり、カプノアは王子の為の氷像を作りに一人、湖に出かけた。


 王子は部屋に一人残された。

「あの子は、裏表激しいタイプだな」

 しっかりとカプノアの性格を王子は把握していた。





 走って部屋まで来た王子。扉をノックし、フールレ王子は中へと入る。

「おっそ~い!!」

 ぷんすかと、怒る小さな少女が部屋で待っていた。

「す、すまない、仕事が残っていた」

「愛するレディが待っているのに、仕事が大事!? 男として最低!!」


 ふんっと、顔をそっぽを向けて怒るコイフィ王女。

 王子は跪き、頭を下げる。

「すまない、王女よ」

「……」

「私にできる事なら何でもしよう、だから機嫌を直してくれ?」

「……なんでもぉ?」

「ああ」


「じゃあ、私の事を抱きかかえて撫でなさい」



 椅子に座った王子、その上に王子に後ろ向きで座ったコイフィは頭を撫でられていた。

 最初は怒っていたコイフィも、すぐに機嫌を直した。


「ふふん、これに懲りたら、女を待たせたらダ・メ・よ?」

「ああ、次からは気を付けるよ」

「王子様は女の扱いがまだまだね。これからは、私が教えてあげるから」

 にっこりと笑って、王子を振り返るコイフィ。

 王子も笑顔で返した。



「あ、そうだ!」

 しばらくして、コイフィはフールレ王子から飛び降り、向き合う。

「さっきまでここにいた、メイドさんから聞いたけど、この城、いろんな場所で物が壊れているんだって?」

「あ、ああ、そうだな。色々と古い城だからな」

「もー、駄目じゃない。この城はこの国の中心だよ? 物の清潔や手入れで、人柄を判断されるんだから?」

「そうだな、明日にでもすぐに修理に、取りかからせるよ」

 すると得意気に、コイフィ王女は告げる。

「私が直してあげるよ! 私、そういうの得意だから!!」


 小さな体を大きく張り、王子に「任せなさい」とコイフィ王女は言う。

 王子はすぐに首を振った。

「いやいや、はるばる遊びに来てくれたコイフィ王女に、そのような雑用を任せられない。それに修繕とはそこの者達がやるべき仕事だ、外の国の王女たる君に任せるわけにはいかない」

「外の国じゃないよ」


「私は王子と結婚するんだから」


 堂々と言うコイフィに、王子はしかし認めない。

「だが君は今日、私と共にあるために来たのだろう? そのような事で時間をつぶすわけには」

「王子」

 コイフィ王女は顔を赤らめながら、言った。


「だったら代わりに、夜中から朝までの王子の時間を頂戴」


「なに?」

 意味の分からない体を示す王子。

 コイフィ王女は赤くなった顔をごまかすように首を振った。

「じゃあ、私、城中を回って壊れた物を直すから、王子は適当に寛いでいて! 大丈夫、私は王子がどこにいても探知する魔法があるから、さっきまでメイドが話しかけてきて邪魔でつかえなかったけど。ともかく暖炉だろうが、水路だろうが、一時間もかからずに修理させてくるから! じゃあまた後でね!」


 早口でまくし立てた後、コイフィ王女は小さな体を走らせ部屋を出て行った。


 そんなコイフィ王女を見送りながら、王子は呟く。

「多分、一時間では無理だぞ。ナイツに頼んで城中のいろんなものを壊させにいかせたからな」

 一人になった王子は、部屋を出た。

「私を探知する魔法とはなんだか怖いな。しかし以前、詩人の時はバレなかったが? 魔法自体を使わなかったからかな?」




 王子が部屋を出てから数歩。ワドリス王女を見ていたメイドが飛んできた。

「ワドリス王女様が立ち直りました。今夜の覚悟を決めているようです」

「よしわかった。さきほどよりもさらに、夜の事を思わせる発言を繰り返してやろう」



 ワドリス王女をまた真っ赤にさせて倒れさせたフールレ王子、部屋を出るとメイドが飛んでくる。

「カプノア皇女様が湖に竜の氷像を完成させました。フールレ王子、わかっていますね?」

「ああ。どんな素晴らしい出来でも驚かず、『この程度か?』の表情を作ればいいのだな?」



 ムキになったカプノア皇女を置いて、湖から城に戻って来たフールレ王子の下にメイドが飛んでくる。

「コイフィ王女様が、明らかに最近、壊された物ばかりである事に、疑問を持っておられます」

「わかった。コイフィ王女の下に行き、修理してくれている事を誉め倒し、抱きしめて頭を撫でまわしてやればいいのだな?」




 こうしてフールレ王子は駆けずり回る。

 メイド四人と、大臣と騎士も裏で走り回る。

 特に事情を説明されていない、他の城で働く者達も走りまわさせられ、姫同士が会わないようにさせる。



 しかし繰り返すたびに、姫達は今の状況に少しずつ慣れ始め、王子と再会する回転率が上がって行く。

 最後には、もはや十分おきにフールレ王子は走り回る事になる。



 どんどんと姫が声をかけるのが上がるたびに、城の者達は息を切らせて汗だくとなっていった。


 特に中心人物たる王子は、もはや疲労感でフラフラとなって行く。

 ゼェゼェと咳込みながらも、必死に姫達に王子はくらいついていく。




 しかし二十回以上のローテーションにより、王子が通路で倒れ込んでしまった。


(もはや限界か!?)

 諦めが、王子の配下達の頭をよぎる。








 その時、数人の影が城に飛び込んで来た。


「ワドリス王女! マジシアだ! 国王に一言もなく他国を訪れるなど、どういうつもりだ!?」


「カプノア皇女様! 私はハートノアの兵団長です! お迎えに上がりました! また三十分後にはエルペラ皇帝閣下が直接、この城を訪れます! 相手国に事前の宣言無く皇室の者が、その兵団が、そして皇帝閣下が訪れる事が、どれだけ互いに緊張を生み出すかわかっておられるでしょう!? すぐにでも帰還し、皇帝閣下への下へ足を運びお答えの程をお願いいたします!!」


「お姉様! 一人でまた出かけるなんて王女の行動ではありません! 王女としての責任を持つと前に宣言していたじゃありませんか! しかもこんな夜更けに! とにかく一度、国にお帰りください! もし帰らないと答えるならば、このペンティクルがずっと付きまとう事を覚悟してもらいますよ!!」






 こうして三人の姫は渋々と、自国へと帰還する事になった。城の兵士達が色々と頑張ったおかげで、互いの顔を見る事無く帰らせる事に成功した。

 他国の者達は、フールレ王子に謝罪し、いずれ後日に何らかの形で補償する事を約束する。

 疲れ切っていたフールレ王子は特に気にした様子の無い笑顔で、それに受け答えし、去り行く姫とその者達を見送り続けた。



 しばらくして、自室へと戻ったフールレ王子は、疲労感で椅子に座り込む。


 そして音もなくガッツポーズをした。

 ナイツとペイジス、そして四人の女中達は、王子の悪運の強さにただただ驚くばかりだった。




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