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TS幼女の転生秘録  作者: 自堕落天狗
第1章 故郷での話 ~ オレが売られるまで ~
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【後日談】なーばすメルちゃん

※【後日談】について

後日談は本編終了後の世界での出来事が書かれます。

「ハァ〜イ♡ メルちゃ〜ん♡ 調子どうよ〜……ってあれ。どうしたの?」


「あぁ雅か……」


「……そんなテーブルに突っ伏しちゃって、いつもの覇気が無いぞ。何かあったの?」


 まだまだ冬真っ只中だからか、雅が開けた扉から冷気が入り込んでくる。

 オレは雅に早く扉を閉めるように指示してから、またテーブルに顔を埋めた。


 あ゛〜っ……憂鬱だ……。


「なんでも、姐さんは昔のことを思い出してナーバスになってるみたいですよ」


 隣でお茶を淹れている我が家の侍女? であるレナが、オレの気持ちを代弁してくれるように言う。


「あぁちゃんと原稿は書いてくれてるんだねー感心感心」


 カチーン!

 こいつ、オレがどんだけ悲しい気持ちになっているかわかりもしないで!


「なぁーにが感心だ! オレが売られたときのことなんも知らないくせに!」


「まぁまぁ興奮しなさんなって。可愛い顔が台無しよ?」


 顔を上げて睨むも、オレの対面に腰掛けた雅はズズズッとお茶を飲みながら軽い調子で返してくる。

 こいつは本当に……オレの気持ちも知らないで。


「ってか売られたときの~ってことはメルちゃんが村を出たところまでは書けたんだ。進捗遅くない?」


「うっせぇなぁ……オレだって忙しいんだよ。工房にも行かなくちゃいけないし」


「まぁ締め切りとかは設けてないからねー。とりあえず書いてくれればいいよ、ちゃんと出すもの出すし」


 レナがオレの分も淹れてくれたお茶を飲みながら雅と話す。

 暖かいお茶が身体に染み渡っていくと、ふぅと一呼吸置けば少し溜飲が下がった。


「そういえばあたし、メルちゃんと初めて会ったのってメルちゃんが奴隷落ちしたあとだったもんなぁ」


「私も姐さんが奴隷だったなんて当時知りませんでしたし、実はちょっと気になってます。あとは旦那様との馴れ初めとか」


 しみじみとした口調で雅とレナが言う。

 あぁ確かにこの二人と出会ったのはもっと先だからなぁ。雅のほうが先だけど。


「おまえらなぁ……普通、売られたとか奴隷になったとか、そういう話を聞いたら察して話題を変えるだろ」


「まぁメルちゃんじゃなければそうするけどねー」


「私は奴隷だったって知りませんでしたしセーフ」


 はぁ……全くこいつらは。

 オレは呆れた表情をしながら頭をボリボリかいて馬鹿二人をどんよりした目で見つめてやる。


「それはそうと、村を出たってことはもうちょっとしたらあたしと出会うところか?」


 そんなオレに気付いたのか、雅がちょっと話題を変えてきた。


「いや……まだそこまでいかないな」


 オレは昔のことを思い出しながら雅に言う。

 雅に会う前に、あいつ………おっさんに会ってるからなぁ。


「メルちゃんくどいよー! はやくあたしと出会う感動的な場面のところまで書き進めてよー!」


 椅子に座っている雅が足をパタパタばたつかせて文句を言ってくる。


「うっさいわ百合キチ。んなこといったってオレの今までの記録だぜ? だったら仕方ないだろ」


「…………あんまり余計な文章ばかり書いてたら原稿料の見直しを……」


「そんなことしたらオレ、書いてやんねぇからな?」


「んもう、冗談に決まってるじゃないメルちゃん! 機嫌直して、ね?」


 そういってオレの手を握って大げさなリアクションをとる。

 こいつの行動は読めないからな。下手に突っかかると何しでかしたもんかわかったもんじゃない。


「まぁそれはいいとして、雅は何しに来たんだ? ってかお前うちに来すぎだろ」


「メルちゃんに会いに来るのに、理由がいるかい?」


「必要だろ」


「そうかなぁ」


 そう言ってへらへらと笑う雅。

 こいつはいつもこんな調子だ。もう少し何か深く考えて行動するってことを知らないのか。


「それはさておき、実はついこの間あの行商人のおじさんに頼まれものを渡されてねー。それを持ってきたのよ」


 持っていた鞄から何やら書類を取り出す雅。

 おぉちゃんとした理由があるじゃないか、しかも結構重要な。


「本当にちゃんと来た理由があったんだな。んで、おっさん元気にしてたか?」


「そりゃいつも通りだったわ………あの人と話すと無駄知識が付いて為になるわ……」


「あぁそりゃいつも通りだな。安心したわ」


 オレは雅から受け取った書類に目を通す。

 そこには去年の夏頃に、おっさんに依頼した、今オレが住んでいる地域に生えていたキノコについて、事細かに記載されていた。


 それを読み進めながら、やっぱおっさんに依頼して良かったな、なんて思いながらも次の原稿で書くおっさんとの出会いについて、思い出しながら、オレは少しぬるくなったお茶を一飲みしたのだった。


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