表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
TS幼女の転生秘録  作者: 自堕落天狗
第1章 故郷での話 ~ オレが売られるまで ~
12/55

息子は何処へ


「あ゛ーーーーっ!!」


「merutyanntomatte-!!」


「meru,tomare-!!」


 部屋中に響き渡る慟哭。

 追うように鳴り響く両親の叫び。

 それはさながら仲間を失った戦士を追悼する二重奏曲であった。


 こんにちわ皆さま。

 クソ女神に異世界転生させられたオレです。


 聞いてください皆さま。

 どうやらオレ、女の子に生まれ変わっていたようです。


「ま゛ーーーーっ!!」


「madaarudohaneterunoni,nanndekonokohakonnnanihaihaihayainnda!?」


「atasiniiwaretemowakaranaiwayo! fo-to,sottinimawatte!」


「wakatta!!」


 女になってるなんて聞いてねーぞクソ女神どーしてくれるんだ!

 オレの幼いころから前世知識チートでスタートダッシュ決めた人生のゴールはハーレムだったんだぞ!?

 それなのにスタートする前から前提が崩れ去っちまったじゃねーか!!


「う゛ぇーーーーっ!!」


 雄叫びをあげながら部屋中を動き回る。

 もうじっとなんかしてられるか畜生!!

 出てこいオレの戦友! 前世じゃ一度も戦ったことがなかったけど、お前はオレにとって必要なんだ!


「nanntehayanano!?」


「akannbougasiteiikoejanaizomattaku!!」


 お父さんとお母さんの間をすり抜けてピンボールのように部屋中を駆け巡る。

 2人が悪戦苦闘してるけどオレだってとても悲しいんだ。分かってほしい。


 ……さて、こうなった経緯について説明しよう。

 まず、オレはまだまだ生後数ヶ月程度の赤ちゃんだ。

 赤ちゃんだから、もちろんトイレに行けない。

 そうするとおしっこやうんちはどうする? ……そう、垂れ流すしかないな。

 まぁこれに関してはもう全然、これっぽっちも気にしていない。

 羞恥心なんてもの、限界いっぱいまで我慢したおしっこと一緒に流しちまった。


 それはおいといて、今日のことである。

 今日、オレはいつも通り、おしっこをした。

 そのとき、たまたま周囲にお母さんもいなかったみたいでな。

 ちょっと呼んでみたんだけどお母さんがやってこなかったから、その間におしっこで股間が蒸れちまったんだ。

 赤ちゃんってのは敏感肌でな、ほんの少し蒸れただけで痒くなってきちまったんだ。

 それで、こう……手を伸ばして股間を掻こうとした。


 そしたらな……いなかったんだよ。我が息子が。


 最初は理解できなかったさ。なんせオレは男だと思ってたからな。

 いや、男なんだけど、それは前世でも男だったからであって、今世でも当然男だと思ってたわけだよ。


 なんども股間をぺたぺた触ったさ。でも、いくら触っても何もない。

 頭が追い付かず、無心に股を叩いていたのに気付いたお母さんが、オレをベットから降ろしてパンツを交換してくれたんだが……もうそれからは一心不乱にハイハイさ。


 ってかやってから気付いたけどオレ、ハイハイできるようになってました。

 これが初ハイハイです。行動範囲が広がるぜやったね畜生!


「ま゛っ」


「yattotukamaetazo!」


 オレの息子を探す旅は、挟み撃ちにされあっけなくお父さんに抱きかかえられ終わった。

 お父さんの腕の中でウゴウゴともがくが、赤ちゃんと大人で腕力勝負なんて土台無理な話だ。

 あっけなくオレはベッドまで連れ戻されてしまった。


 ちくしょう! 離してくれ! オレは息子を探しにいかなくちゃいけないんだ!


「masaka,konnnanihayakuhaihaisihajimerunannte...」


「merutyanngaannnanioogoedasuno,atasihajimetekiittawa...」


 お父様、お母様、どうかオレに息子を下さい……このままだと、ハーレム作れないんです………。

 あーもう! このイライラを解消させるのにはアレしかない!


「んっ!!」


 オレはお母さんに向けて、精一杯手を伸ばした。


「...nanikasira」


「...harahettennjanaika?」


「ee-xtu,masaka.madaakatyannyo? konnnafuunimotometekurumononanokasira...」


 するすると洋服を脱いで、そのたわわに実った果実を準備してくれるお母さん。

 おぉ、伝わった伝わった。はようそれでオレを癒してくれ。


 ぷるん、と擬音が伝わってきて、その果実は顔をのぞかせてくれた。

 抱き寄せてもらい、オレはそれに口付けてペシペシとおっぱいの感触を楽しむ。


 はぁ……癒されるなぁ……。


「nonnderuwane」


「sikasitetukigaiyarasiina...」


「tte,anata! nanimitennnoyo,tyottoattiniittete!!」


 お母さんの声で、お父さんがスタコラと部屋から出ていく。

 どうせ授乳してるところをイヤらしい目つきで見てたんだろ! これは赤ちゃんだけに許された神聖な行いなんだ! 見世物じゃあないんだぜ!


 ふふーん、となんとなく勝ち誇った気分になりつつ、オレは与えられた母性の象徴をまったりと堪能した。


「...ara,arudomoosikkositeruwane.kaeteagenakya」


 ふと母性の象徴が離され、お母さんがオレの隣で今だすやすや寝ている兄弟に手を伸ばす。どうやら兄弟もおしっこしていたようだ。


 なんとはなしに兄弟の股間を見てみる。


 ………お前は男なのかよ! ずるいずるいずるい!!



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ