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TS幼女の転生秘録  作者: 自堕落天狗
第1章 故郷での話 ~ オレが売られるまで ~
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赤ちゃんに生まれ変わりました


 ……暗いな。

 さっきまで真っ白い空間にいたのに、今度は真っ暗なところか。


 女神さまのゴッドハンドを見てから目の前が消し飛んでいったけど、あれからそんなに時間が経っていないと思うんだけどなぁ。

 ここはどこだろ。目も開けられないし、身体も思うように動かないほど締め付けられてる。


 ただ、あったかくて居心地の良いところだ。ずっとここにいたくなるような、そんな気持ちになってくる。

 すごく安心する……。とくんとくん、と規則正しいリズムがオレの心を暖めてくれる。


 ……………ん?

 まるで水の中のようなこの空間で、ただたゆたっていただけのオレの身体が……。

 なんかどんどん身体が運ばれてるような?

 ……ぎゅうぎゅうに締め付けられてるけど、苦しくないから不思議な感覚だ。


 ―――っておうおうおう! いきなり速くなったぞ! どこまで運ばれるんだ?!


 なすすべもなく運ばれていく感覚に抗うこともままならず、にゅるん、とした感覚を覚えたあと、突然オレは明るい光に照らされた。


 その途端、身体中を何か布で拭くような感覚。

 さっきまでゆったりまったりしていたのに突如襲われたことで、身をよじって逃れようとするも、それは叶わない。

 丁寧に身体の隅々まで拭かれていく。


 と、ここでオレは思い出した。


 あぁそうだ。あの女神さま言ってたな。転生させてやるって。


 真っ暗な暖かいところから出てきたということ。なんか身体が不自由なこと。

 明らかにオレと同じ大きさの手のようなものが身体中を這っていること。


 ははーん、察しがついたぞ。

 つまりあれか、これは赤ちゃんとしてオレは生まれ変わったってことだな?


 そう一人納得したことで、周囲に気を配る余裕が生まれた。

 耳を澄ましてみると、おそらく周りにいる人たちだろうか。喋る声が聞こえてくる。

 ただ、産まれたてだからか耳になにか詰まってるからかボソボソとした感じでしか聞こえない。


「――――、―――――――!」


「――――……」


「――――――――!」


「―――――! ――――――!」


 ……うん、何言ってんだかわかんないや! ちゃんと聞こえないし!

 さすがは異世界。やっぱりところ変われば言葉も変わる。

 ただ、確実に日本語ではないなコレ。


 いやぁオレもついに異世界デビューか。

 どうやらちゃんと前世の記憶も残っているみたいだし、いろんな作品を読んできたからこのあとすべきことは分かってるぞ。

 ふふっ……ちゃんと赤ちゃんのうちから魔法の練習、しておかないとな。

 それでゆくゆくは大魔法師とかになって、女の子をはべらせて優雅に暮らすんだ!


 ……そういや器も胸も小さい女神さまが言ってたけど、チート能力貰えなかったんだよなぁ……。

 それだけが悲しいところだけど、前世の記憶っていうある意味チート能力は失っていない。

 さすがにこれがなかったら厳しいところだったろうけど、逆を返せばほかの人より圧倒的に優位な状態ってことだ。


 成長するにつれてよく感じていたけど、小さいころにアレをしておけば良かったーとかこれ覚えておけば良かったーってことはゴマンとあった。

 その感覚を分かっているだけでもチートと言えるんじゃないか?

 ……うん、きっとそうだ。そうに違いない。

 決してチート能力貰えなかったから言い訳してるわけじゃないぞ!


「―――、―――――――!」


「――――――――――――――――――……―――――!」


 周りがざわざわしてるのはきっと産まれたことを喜んでいるんだろうなーと思っていたとき、口に何かやわらかい感触が。


 こ、これってもしかして……キスされてる!?

 異世界ってそういう風習あるのか!

 しかもこれディープなやつだぞ。なんか思いっきり吸い出してるみたいだし、こんなキスされたの初めて。


 ってか、これってファーストキスだよな。


 …………赤ちゃんだからセーフ。


 その後も、何度も何度もちゅーされては吸われ、またちゅーされる。


 んもう! 熱烈歓迎おおいにうれしいけど、そろそろ良いんじゃないかな!


「あーぶー!!」


 思わず反論の意を込め、声を出してみた。

 その途端、キスの嵐は止んだ。


「――――、―――――――――――――」


「――! ―――――――……!」


 おぉ伝わったぞ。さすがに産まれたばかりだからかちゃんと喋れないけど。


 それからオレは、何か暖かい液体の中に入れられ、身体を洗われたりしているうちに眠くなってきてしまい、そのまま眠りについた。



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