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この世界を救うのは王国の神剣騎士、あるいは魔法の国の王子様  作者: 濱俊ごん太郎
第一章 二つの世界
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episode1 ライオット王国

 



 ライオット王国王国の中心部である都市【リアサルイ】に位置する『ライオット王国リアサルイ総合指令拠点』、通称『コマンドポイント』に併設されている、会議ホールに、一人の男の声が響く。



「なにか質問のあるものは」



 息をすることも許されない程の静寂の中、その会議は終わろうとしていた。



「では、これを持って、全国民代表者議会を終了する」



 その声を最後に、先程までの静寂が嘘だったかのように大勢の声がホールに響き渡る。

 この議会の役割は国民が意見を持ち出せる唯一の場であり、地方の代表者、また、軍事部や司法部の各代表者に上院会議での決定事項を伝達する場である。

 ライオット王国を分ける29の都市の代表者、首都であるリアサルイの代表者、司法院長、王国騎士団長、5名の神剣騎士、上院会議から3名が出席し、主に、上院会議からの招集により不定期に開催される。



 長年開かれてきた全国民代表者議会を締めくくったのは、上院会議のトップである《バルディア・ベネディウス》だ。王の弟である《サラーフ・ベネディウス》の死後、その嫡男にあたるバルディアは、若くして王国の重役を任されている。その行政における手腕は現王に負けず劣らずと言われていて、国民からの信頼も厚い。さらには神剣騎士に任命されており、火の剣を携え、なかなかに剣の腕も立つ。まぁ、一言で言うと天才ってやつである。国の行政も任せられて、戦っても強い、影でどれほど努力しているかわからないけれど、あの多忙のなかでそれほどまでの能力を身につけるとなると相当だ。



「いや〜、やっぱりバルはかっこいいよねぇ。わたし憧れちゃうなぁ」



 バルディアを羨望の目で見つめるのは、俺と同じ神剣騎士である《イリア・フェリル》だ。彼女もバルディアが火の剣を携えているように風の剣を携えている。



「イリア〜、それって身長がスラっとしてて憧れるってこと?イリアは今のままで十分可愛いからそのままでいいのに」




「そーゆーことじゃないですぅ。もう、ソフィって自分が身長高くて大人っぽいからって、そうやってからかってぇ〜。身長はいつか伸びるの!」



「え、イリアって私と同い年なんだから身長伸びるわけないじゃん。なにいってんのよ」



 イリアのつぶやきに答えたのは《ソフィア・エルニカ》だ。彼女もまた神剣騎士であり、水の剣を携えている。イリアの小柄で可愛らしい体型に対してソフィアは女性にしては高身長で、俺よりも少し低いくらいだ。たしか、この間身長を測った時に俺が178センチくらいだったから、175センチないくらいだろう。



 俺もバルディア、ソフィア、イリアと同様に光の剣という剣を王から貰い受けており、それを携えている。もう一人闇の剣を扱う神剣騎士がいるのだが、今日も会議にはでていなかったようだ。

 というのも、彼はあまり外に出たがらず、任務の時以外には大抵部屋に籠っているか、剣を振っているかだからだ。部屋で何をしているかは気になるところではあるが、聞いても教えてくれないので聞いていない。



 いま、俺たちは会議ホールを出て、会議ホールと王宮を繋いでいる連絡通路を歩いている。いまから王座のところまで行き、王の指示を仰ぐところだ。



 王国の大半の重要施設を収容しているコマンドポイントは、総合指令拠点の名に相応しく、この会議ホールをはじめとして、王宮や王国騎士団本部、司法院など、国の行政、立法、司法の中心となる施設が、密集している。

 なぜ、こんな戦争真っ只中に、こんな施設を堂々と建てることが出来るのかというと、コマンドポイントは最新の科学技術を惜しみなく使い、敷地内には、許可されたもの以外、蟻一匹たりとも入れないようになっているからだ。

 空からの攻撃に於いても、最新のレーダー技術で砲撃などを受けたとしてもその攻撃に対して、最善の対策が出来るような仕組みになっているという。まぁ、そこら辺のことは俺にはよくわからないのだが。



 リアサルイと言えば、なんといってもこの都市の広さだ。コマンドポイントを中心にして、東西南北に街が広がり、多くの住宅、ビル、娯楽施設が立ち並ぶ。その大きな街の全てがコマンドポイントの保護下に入っていると言うのだから驚きだ。



 ふと、疑問に思ったことがあるので聞いてみる。



「ソフィアさん、今日の任務ってなんでしょうね」




「レオン、昨日の話しっかり聞いてなかったでしょ。今日は休暇がもらえる日なはずよ。」




「わたしとソフィは街に買い物に行くつもりなんだけど、レオも一緒にどぉ〜?」




「いや、今日は遠慮しておきます。図書館に調べ物をしに行く予定があったんです。休暇ならゆっくり読めるし、俺は図書館にいってきます。」




「まったく、レオンってほんとストイックよね。少しはリフレッシュも必要だと思うわよ」




「お誘いもらえただけでも十分ですよ」




「また今度ソフィとお出掛けするときに誘うからその時は一緒にいこーね!」




「イリアさんってほんと何歳なんですか、その言い方ほんと幼い女の子ですよ…」




「もう、レオまでそんなこと言うのぉ。ひどいよぉ〜」




 神剣騎士に任命されてから約半年、神剣騎士っていっても王に直接使えていて、すこし特別な立場だけど、日常とかって普通なんだなってしみじみ思う俺であった。

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