よくある夜のよくいるゴブリン?
さて、またしても1人になってしまった。
ぼっちになる天性でも持ち合わせているようだ。
学校でなぜ1人なのかと言う理由は、初日から馴染めず、気がついたら周りがグループを形成していた、というごく単純なものだ。あちらから友達になるつもりは無さそうだし、こちらから行くとイジメの対象にもされかねない。「停滞」こそが最善の策だった。
暗闇の街を1人歩く。
なんだろう…胸がザワザワする。
ふと、後ろを向いてみるが後ろには誰もいなかった。
まぁ、何も無いよな。
そう思って、前を向くと、そこには醜い顔をした魔物が僕の顔の目の前にあった。
「ウワァァァァァァ!!!!」
人生で一番ビビった。
僕は後ずさって、5m程の間合いを取った。
その魔物はよく見るとゴブリンらしかった。
戦うのか!?
逃げるべきなのか!?
「そんなに驚かないでくださいよ。」
………は?
ゴブリンが喋った。
「私はゴブリンという種族で、人を驚かせることが趣味ですが、その…あなた驚きすぎてちょっと引いてます。」
え。いや。その。
「す、すいません……。」
頭にはてなマークを浮かべながら、とりあえず謝った。
「僕のこと食べたりしませんか?」
「は?」
何を言ってるんだこいつは。って顔されたけどそれはこっちのセリフだ。
「そんなのしたら住民権が無くなっちゃうじゃないですか。」
とゴブリンは続けた。
「もしかしてあなた。ヒューマですか?」
!?!?
まずい!この事を他人に知られるのはまずい!住民権がないと知られたらこいつに何されるか分かったもんじゃない。
「……違います。住民権持ってます……」
苦し紛れに嘘をついた。
「安心して下さい。役場まで私が案内しますよ。」
信用できない。
「信用できないならばマップを貸して差し上げましょうか?」
!?
確かにマップだけなら逃げることも出来るし、役場なのか他の人に確かめることも出来て信頼度は高い。
「それなら……」
とマップを受け取り、彼は礼儀をして去っていった。
なんだったんだ。あいつ。
マップを頼りに夜の街を1人で歩く。