表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/6

002 よくある迷子とよくある父親

迷子の女の子と手を繋いで街を歩く。この街ホントでけぇなぁ…。

僕はロリコンでは無いが、リアルでは童貞を貫いているので、女という生物と触れ合っているというのは、その、まぁ、ドキドキしないことも無い。

2人の静寂を彼女が破った。

「私、ミルシー。」

ビクッとしてしまったが、すぐに自分の愚かさを恥じた。

自己紹介を忘れていたのである。

ぼっちだったことが完全に露呈した瞬間であった。

急いでこちらも返答する。

「自己紹介がまだだったね。僕はカエデ!よろしくね!ミルシーちゃん」

この口調でしゃべるの地味に疲れるんだよな…

言ったあとに思った。何だよ。よろしくって。テンプレで返すと自分の言葉が制御出来ないらしい。

「うん…よろし…く?」

少し疑問形で返されたが返答してくれて嬉しかった。

僕らはそのまま街を進んでいった。

二分くらい歩いていると

「ミルシー!ミルシー!いるなら返事してくれー!」

と大声で叫ぶ大男がいた。Oh...So big...

190cmくらいで横にも大きく、なんというか相撲できるノッポ?みたいで少々気味悪かったが、ミルシーを必死に探しているあたり、立派な父親に見えた。

「パパー!!」

さっきまで泣きじゃくっていた女の子が笑顔になった。女の子の笑顔ほど可愛いものはないな。そう確信した。

「ミルシー!」

父親らしき人も笑顔を見せていた。

「パパ!この人がね、一緒にパパのこと探してくれたの!」

ありがとうその一言!!

その一言のおかげで俺はロリコン不審者(?)から正義の味方へとジョブチェンジできるのだ!

「君が我が娘を助けてくれたのか!ありがとう!!本当に…本当にありがとう!!」

心からの感謝だということが即座に受け取れた。

「いえいえ。困っている女の子を助けるのは当然のことですよ。」

ろくな会話ができない俺はテンプレでしか返さない。というか返せない。

「なにかお礼をさせてくれ!俺に出来ることなら何でもしよう!」

ん?今なんでもするって?

そんなリアルでも対人の会話では通用しないネタをいいそうになったが、なんとかこらえて、

「実は僕一文無しなんです…食べ物を少し分けてくれませんか?」

と答えた。泊まるところも欲しいところではあるが、とにかく食い物さえあれば野宿はできる。

だが泊まるところがあっても、飢え死ぬときは飢え死ぬ。人間は衣食住の食に大きく依存しているのである。

「おおいいぞ!うちは宿屋だからな!なんなら、好きに泊まっていってくれ!食い物に関しては豪華なものは出せないがな。一室だけ部屋を貸してあげよう。こんなことしかできなくてすまないな。うちは妻を若い頃になくしちまってな。」

「!?」

食と住確保だ~!!

って嬉しい気持ちがあったが、なんかその、最後の一文のせいで素直に喜べないのが少し悲しい。

「ありがとうございます!生活の場所もなくてどうしようか困っていたんです!」

お礼はしておかねば。

「良かった!ではうちに案内しよう。」

大男はそう言って自分についてくるように指示した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ