000 よくある世界のよくある話
~~人生とは自転車のようなものだ。倒れないようにするには走らなければならない。~~
この世界の誰かがこんな言葉を残したらしい。
全くもって素晴らしい言葉だと僕は思った。
だって、その自転車に乗れない人間は彼にとっては、
人間ではないからだ。
【あの世界を愛していたようだった?】作者;LeeR
僕は、西森楓。高校2年生。
僕は今、最高の青春を謳歌している…わけもなくぼっちを貫いていた。現に今、電車の中で一人、ドアの横でもたれながら窓の外を見て哲学にふけっている。
あぁ、俺何で生きてんだろ。
哲学の根源とも言えるそれに動きもしない頭でぼんやりと考え込んでいた。
僕の趣味はRPGのラノベを書くことだ。今までに50以上の作品を公開したほどである。殆どの作品は酷評を書かれたものや、そもそもレビューがないものばかりであった。
しかし、一つだけ作品化までした作品があった。
そのタイトルは「RPGかっこオルタナティブ」。
皮肉なことに、僕が初めて手がけた作品でもある。
ふざけたタイトルではあるが、そのおかげかたくさんの閲覧をしてもらえた。
あの頃の自分のネーミングセンスが今でも羨ましい。
通学のターニングポイントである、横浜駅が近づいてきた。
いつものようにダッシュで駆け下り、とっとと帰ろう。
家に帰れば、パソコンに囲まれた天国が待っているっ!!
気持ちをウキウキさせながら、いつもの3号車1番ドアの前で待つ。
電車が負の方向へと加速していく。
ついに止まった。
さぁ行くぞ!!
まるでコミケダッシュのような気持ちでドアが開く瞬間を待ち望む。
ドアが、開いた。
同時にダッシュする。
周りにはたくさんの人混み。夕暮れであれば珍しくはない。
そしていつもの階段をおり…て?
あれ?階段が…ない?
なぜだっ!?出るドアは間違えていないはずだ!
困惑を隠せずにはてなマークを浮かばせる。
そしてもう一つの衝撃の事実に気づいてしまった。
あれ?なんか周りの人変じゃね?
よく見ると獣人やドワーフっぽい奴らばっかりだった。
これは…その…いわゆる…
「異世界転移ってやつかあああああああああああああああああ!!!!!????」
叫ばずにはいられなかった。