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83章 出来ることを

源は、巨大物体で、1000人のレジェンドの戦士たちを無事に、帰還させることが出来た。

もちろん、戦うために連れてきたわけではなかったが、向こうが、突然攻撃をしかけてくるということもありえた。

誰一人として、欠けることなく、無事に協議を終ることができた。レジェンドの防衛は、ウオウルフたちにまかせていたので、あの状態からボルフ王国との戦いになっていたとしたら、退却するしか無かっただろう。黒い鎧を着て精強かのようにみえるが中身は、農民兵でしかない。まだまだ、本当の兵士の強さには至っていないからだ。


そして、その協議の内容を聞いていなかった。14人の主要メンバーにもその協議の内容を伝えた。

源と共に黒い鎧を着て着いてきていたのは、地区長の5人だった。そして、ロックも聞いていた。


その場にいなかった9人にもその結果を教えた。


歓喜の声が上がった。


「素晴らしいですぞ。セルフィ様!そんな許可が出たのですか!?」


「ああ。そうなんだ・・・。亡命者は受け入れることはできないけど、貧民地の発展させる全面的な許可を得たんだ」


「彼らは解っておりませんなー。セルフィ様がどれだけのことが出来るのかを・・・」


その言葉を聞いて、そうかと思った。もしかしたら、彼らの企みとは、もう発展できない貧民地の責任者を無理やり押し付け、発展が出来なかった場合、俺を糾弾しようとしているのかもしれないと思った。


ホラ見ろ。お前が関わっても、無理だっただろ。責任を取れ!と無理やり言おうとしているのかもしれないということだ。


だが、源には、レジェンドの発展とユダ村の発展に携わったことで、何が効果的で、何が効果的ではないのかが、解りかけていた。貧民地は森ではないが、開発発展させる色々なアイディアがある。貧民地を豊にすることは、俺なら出来ると思っていた。


それが策略だとするのなら、嬉しい策略だと思った。


彼らは知らないから、出来ないと思い込んだかもしれないのだ。


だが、話を聞いて浮かない顔をしていたのは、リタ・パームだった。


それ以外の人たちは、貧民地のものたちも助けられる許可を勝ち取り大成功したと大はしゃぎをしていたが、リタ・パームだけは、嬉しそうではない。


「リタさん。何か引っかかることでもありますか?」


「どういうことかしら・・・何だか、嫌な流れのような気がするの」


リリスは、リタのそのような感は、当たると思っていた。

前も、農民兵たちが戻って来て、貧民地の人たちは喜んでいたのに、リタだけは、浮かない顔をして、嫌な気がすると言っていた。そして、ピーターは死んだ。


リリスも考える。どうして、あのボルフ王国が、貧民地の発展をセルフィに全面的に許可したのだろう・・・でも、いくら考えても分からなかった。


リタは言った。


「ねー。セルフィ君。もし、あなたと話したボルフ王国国王の話が本当で、貧民地を本当は、豊かにしたいと思っていたのなら、今まで何もしてこなかったのは、なぜ?」


「今まで、国王は、何もしてこなかったのですか?」


「あれを何かしたというのなら、そうかもしれないけど、わたしはセルフィ君のように能力はないけれど、わたしのアイディアだけでも、貧民地を少しは発展させられたと思うわ。なのに、国のトップたちが、そんなことも考えられなかったの?」


リリスも言った。


「セルフィ。リタ叔母さんの勘は当たるのよ。何か企んでるはずよ」


ふたりの親子が、心配して、助言をしてくれているから、考えなければいけないが、源は少し疲れていた。20日間のユダ村への旅の後、急ピッチで、巨大物体を作り上げて、準備をしたからだ。思考があまりまわっていなかった。


「俺もどんな企みなのかを考えたんだ。おかしいってね。そして、確実に言えるのは、国王は嘘をついているってことだ」


リタは聞いた。

「嘘?」


愛がそう報告したから確実に嘘なのだとは説明できなかった。


「ごめん。確実というか、勘だけど、国王は、はじめから全部嘘をついていると思ったんだ」


リタは、さらに聞いた。

「その嘘で、何を狙っていると思うの?」


「俺も色々考えたんだけど、ボルフ王国は、俺を無料で雇って、その力を利用して、貧民地を豊かにさせて、儲けようと思っているのかもしれないってね

そして、その利益をボルフ王国がまたもらうわけだね

これは、彼らからすれば、策略かもしれないけど、別に俺は利益なんてどうでもいい

ただ、貧民地の農民たちが、少しでも豊かになってくれれば、それでいいんだ。だったら、利益が一致していると思わないかい?」


リリスは、それを聞いて、頷くが、リタは納得できないようだった。


「そして、さっき司祭様が言ったけど、もしかしたら、ボルフ王国の連中は、心から貧民地を豊かにすることはできないと思い込んでいて、その不可能なことを俺に押し付けて、最後は責任を押し付けようとしているのかもしれないってことだね」


リリスは言った。

「セルフィをそれで追い込もうとしているってことね」


「うん。でも、考えてごらんよ。俺はレジェンドでも数日で畑を増やして、壁を建てた。その不可能を可能にできるアイディアは、俺にはあるんだ。もし、貧民地を豊かにするという不可能を可能にしてしまったら、俺に責任をどういう理由にして押し付けて来るんだろうか」


リタは言った。


「彼らは、何でもしてくるわよ。あることないこと、善だろうと悪だろうと、何でも利用して、わたしたちを追い詰めて行くわ。あなたが例え成功しても、あなたを追い込もうとする何か作戦があるのかもしれないわ」


源は、リタの話を聞いて確かにと思った。


「リタさんのおっしゃる通りですね・・・貧民地のためにしたことが、逆に貧民地を追い込むことに利用され兼ねない・・・でも、やってみる価値はあると思いませんか?もし、貧民地でも利益が出ると彼らも分かったら、策略をやめて、農民たちを認め始めるかもしれませんよ」


リリスは言った。


「そうよ。やってみないと何もわからないわ。でも、やならければ、貧民地の人々は、生活できなくなっていくだけよ!何かをしないと、とてももたないわ」


そのリリスの言葉に、リタも頷いた。


「すみません。少し、頑張りすぎて疲れているようなので、わたしは、休ませてもらいますね。でも、みなさんも彼らの策略が何なのか少しでも思い当ったら、すぐに教えてください。お願いします」


そういって、源はセカンドロックハウスに戻って行った。


ロックは、源がそうやって休んでバランスを取ろうとするのを暗闇の遺跡でもみていたので、源らしいと思った。すこし、頭が煮詰まったら、我慢せずに、休めるのも、源のいいところだと思った。

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