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72章 新しい土地

源は、その用途に従って、レジェンドの者たちに、装備を与えていった。カーボンナノチューブの装備は、作るのにとても時間がかかったが、それでも、レジェンドの安定的な平和に役立つのならと、時間を惜しんで作り続けた。ウオウルフの70匹の装備も、タークと同じように、カーボンナノチューブで作り続けている。


何といっても、カーボン製の鎖帷子くさりかたびらだ。これは本当に優れものだった。服を着ているぐらい軽くて薄いのに、鉄と同じ強度だからだ。


それだけではなく、レジェンドの防衛強化も試みた。


フィーネルの時に作ったボウガンをヒントに、ビックボウという強力で巨大なボウガンをカーボンナノチューブの素材を使って作ってみた。

源のリトシスの効果を反映した投石攻撃とまではいかないが、とても威力のある兵器を手に入れ、レジェンドの防衛に使うことにした。

その大きさから持ち運びには不向きだったが、壁の上からなどの防衛には役立つ。

ロックの背中には、そのビックボウの中型のものをすべてカーボンナノチューブで作ったものを与え、空への攻撃もロックは出来るようになった。


フィーネルとは違って、ビックボウを構えて狙わなければいけないので、時間がややかかるが、威力はフィーネルのボウガンの比ではない。

また、投石機も作った。大きな岩を外に向かって飛ばす兵器だ。

もし、レジェンドのまわりを多くの兵で囲まれたとしたら、役立つ兵器になる。油や火薬を付けた玉を投げることもできる。


カーボン製の小さなボウガンも、一家に一台渡すようにした。

フィーネルの武器と同じなので、鉄の鎧も打ち抜けてしまう。そして、何よりも軽くて持ち運びが簡単だ。


戦わない人たちにも、はがねで作った軽装の防具を用意した。こどもにも、等しくだ。

鋼は、鉄の強化したものなので、簡単に制作することができる。カーボンナノチューブでは、さすがに、みなのものは作ることはできないからだ。

鋼の装備は、比重もあるが、なるべく工夫して軽装にして、安全を確保できるようにした。粘土をこねるように簡単に作れるので、まだレジェンドにはいない3000人分の軽装装備まで用意した。


そうこうしている間に、150人の男性たちが、1000棟の家を完成させてくれた。


これで、ボルフ王国にまだ住んでいる農民兵の家族を呼ぶことができる。


源は、ボルフ王国にいって、3000人の人々を迎えに行った。

農民兵の家族たちは、まだかまだかと待ち望んでいたからか、セルフィの姿をみると、もの凄く大声援で歓迎してくれた。

源は、みなにグラファイロープをしっかりと物や人に括り付けるように命じて、一斉に、空をに浮かした。

すると、3000人と3000人が持つ荷物が一斉に宙を浮き始めたことに全員が驚いていたが、出発することにした。


100km/h以上で飛ぶことも出来たが、途中で、グラファイロープをほどいて、落ちるような人や物があるといけないので、30km/hの速度で、なるべく抵抗飛行をして、時間をかけて移動していった。


8時間以上も時間をかけて、途中休憩を何度もしながら、レジェンドに連れて行った。時間をかけたが空から直線的に移動するだけに、馬やビックボアよりも断然早く着くことができた。


みなは、空を飛んだという驚愕の事実に驚きながらレジェンドに入って行くことになった。


人々は、はじめてレジェンドを目にして、自然と調和したようで、それでいて綺麗に並ぶ建物をみて、どうしていいのか分からないように、立ちつくした。


「俺たちも壁の中で生活してもいいのか?」といった声が広がっていた。


源は、指示を出した。


「みなさん、中央にある巨大な建物、教会に集まってください」と言うと、源と同じ言葉を伝言係が、続けて、言い広める。


そして、3000人の農民たちは、中央にある教会の中に入り、自由な場所で座りはじめた。

5000人が入る規模で造られた教会の建物の中は、大きなステージが前にあり、そこに司祭様が毎週メッセージをすることになる。

そのメッセージする場所の中央には、円柱のようなガラスで造られた透明の部屋があり、そこに、入ってメッセージをしてもらう。これは、源が考えた拡声器だった。


スマホを音楽を鳴らしながら、ガラスのコップに入れると、音が反射して、音量が大きくなるように、人がそのガラスの丸い部屋に入れば、その薄いガラスが音を反射して、小さな声でも、大きく響くようになっているのだ。

電気もなければ、マイクも無いので、こういった工夫をしなければ、大勢に話すことはできない。演劇のように大きな声で話すように司祭様に頼んだらいつ天国に行かれるかも分からないので、作ってみたのだ。

建物の壁も音が反射するように作られている。その壁の角度は、愛が計算して設計した通りに作った。ガラススペースの中ではなくても、ステージの上で、パンっと手を叩くだけでも、かなり響いた。


源は、そのガラススペースの部屋に入って、農民3000人に説明を行う。


ローグ・プレスに頼んでおいたのだが、くじ引きを1000枚作ってもらっていた。

源は、10個の箱の中に、その1000枚のくじを100枚に分けて、10箇所に人を立たせて、その箱を持たせた。


そして、家族ひとり代表者を決めてもらい、1000人がステージ前に集まる。そして、好きな列の好きな箱から、無造作に、くじをひいてもらい、席に戻ってもらった。


源は、説明を始めた。


「みなさん。ようこそレジェンドに来られました。わたしは、レジェンドの代表のセルフィです」


そう言うと、「セルフィ様ー!」という声があがる。

特にさくらを用意したわけではないのに、声を上げてくれるので、助かる。

バルト・ピレリリからの話やレジェンドまでの道のりの驚きから、理解力を増してくれているようだと源は思った。


静かになったところで話を続ける。


「わたしたちレジェンドは新しい住民であるみなさんを歓迎いたします。みなさんは、わたしをみるのは、今日、初めてかもしれませんが、みなさんのために命をかけて農民兵として、出兵したご家族は、わたしのことを少しは、目にしたと思います。

その時は、彼らはわたしの敵でしたが、生き残った人たちは、わたしたちと共に、一緒に戦ってくれたのです。

その時からみなさんの家族は、わたしの仲間になりました。みなさんも納得のうえで、レジェンドに来てくれたと信じています。


では、レジェンドでの注意事項をいくつかお話します。それに納得されない方で、やはりボルフ王国に戻りたいと思った方は、また送り届けますので、安心しくてください。


1、毎週、日曜日は、礼拝に出席して、レジェンドの村長である司祭様からメッセージによる情報をみなさんに与えますから、必ず出席してください。このメッセージの内容が、レジェンドの生きて行く指標になり、ルールになります。そして、毎週土曜日は、安息日になるので、すべての仕事はしてはいけません。休みを取ってください。


2、みなさんには、家族に1棟の家をレジェンドから提供させてもらいます。そして、みなさんの畑の土地も用意してあります。

今、みなさんの家族の代表者が、くじを引きましたが、そのくじには、ナンバーが書かれています。


例えば、『A-1』などです。


そして、外に建っていた家にも、同じように『A-1』などと壁に書かれてあるので、そのナンバーが、みなさんの家になります

そして、別の場所に、農業ができる土地があり、そこにも、家と同じナンバーが振り分けられています

その土地もみなさんのものになります

1家族につき、4aの広さの畑を用意していますので、お使いください


そして、AはA地区。BはB地区となり、レジェンドには、A~E地区まであり、最初の住人の地区はロー地区とウオウルフの洞窟になり、全体で7地区に分かれて、どれも上も下もありません神様の基でみなモンスターも人間も平等です。」

※4エーカーは、テニスコート2つ分の広さで、12~14人分の作物を育てることができる広さ


すると、人々からどよめきが起こったが、源は説明を続ける。


「3、みなさんには、それぞれみなさんの才能に合わせた仕事をしてもらいます

農業なら農業、戦士なら戦士、のちに地区長をみなさんから選んでもらいますが、その地区長に、自分の才能をみなさん提示してください

やりたい仕事をなるべく出来るように、レジェンドではサポートします

農業と兼業ということになるかもしれませんが、よろしくお願いします。


4、レジェンドでは、みなさんに勉強をしてもらいます。文字の読み書きは、みなさんすべてが出来るようになってもらいます。この教会は、毎週日曜日と土曜日以外は、学校という教育する場所として利用します。仕事と両立して勉強にも励んでください。


5、みなさんの安全のために、鋼で作った軽装の装備を与えます

子供用の装備もありますので、それらは家に置いてあるので使ってください。

また、みなさんの家には、身を守るための1個の小さいボウガンが置かれています

もし、敵が攻め込んできた時には、それで身を守ってください

もちろん、武器ですからこどもなどに簡単に触らせたり、危険がないように管理してください


レジェンドには、医療班がいますから、他のことでも何か怪我などをしたら、すぐに医療班にみてもらってください。


レジェンドでの簡単な説明は以上です。何かご質問はありますか?」


そういうと、大量の人たちが、手を挙げた。


だよね・・・聞きたいこと一杯あるよね・・・と源は思った。


「では、前にいる男性の方、メガホンを渡すので、それを口に付けてから、質問してください」


源は、係りの人に、首でうなずくと、その係りが、メガホンを持って、男性に渡した。


男性は、メガホンの大きな方を顔にはめるように、付けようとしたので、係りが、メガホンを逆にして、使い方を教える。男は、声が大きくなったのに少し驚いたが、質問をはじめる。


「家と農業の土地と文字の読み書き、情報、武具、治療環境を与えるということですが、わたしたちは、農民ですから、それらを払うお金はありません。そういう者たちは、どうすればいいのでしょうか?」


源は答える。


「レジェンドでは、それらはみな無料で提供します。そして、利益になったものは、まわりの方たちに分け与えて、共に生きていきます」


「無料で、情報や家や土地をもらえるのですか?」


「はい。無料です」

と、源が言うと、人々は騒めく。


「税は、どれだけ高いのでしょうか?」


「今のところ、税は考えていません。問題が起こり始めて、利益が必要になったら、レジェンドでも税で回収していこうとは思いますが、レジェンドは、はじまったばかりなので、税はありません」


また、人々は騒めき始めた。そして、他の人も質問をする。


「文字の読み書きの払うお金はいくらでしょうか?」


「さきほども言いましたが、無料です。レジェンドで提供するサービスの1つだと思ってください」


「こどもも連れて行ってもいいのでしょうか?」


「はい。レジェンドの者であれば、参加は自由です」


そんなことがあり得るのかといった声が広がているが、始まったばかりだからしょうがないだろと源は思う。


違う人にメガホンを渡して、源に質問をする。


「4aの土地は、ボルフ王国の時の3倍にもなる大きさですが、本当に提供してもらえるのでしょうか」


「シンダラード森林は、とても広い森ですから、もし、足りなくなれば、畑の場所は広げていきます。畑の管理はみなさんにやってもらわなければいけませんが、土地の提供だけは、約束できるでしょう」



「土地ももらって、その土地から取った作物は、自分たちの家族のためにすべて使ってもいいということですか?」


さっきも言ったけどなーと思いながらも、源は答える。


「はい。みなさんに与えた土地から出た作物は、みなさんの物です

ですが、まわりに生活が苦しくなったり、困っているような人がいたら、レジェンドの村人は家族だと思って助けてあげてください

食べ物がない人には、持っている人が食べ物を与えてあげてください


レジェンドは、みなさんに、家と畑と情報、その他いろいろを与えるので、そこから得たものは、他の人にも与えてください。そうやって、みんなで、助け合って共生して生きて行くのです


では、色々質問があるとは思いますが、レジェンドはこれからはじまる村ですから、みなさんと共に作って行くものです


生活をして、一緒に試行錯誤をしながら、進んでいきましょう。問題や疑問があれば、地区長に相談してください」


そういうと、なぜか、農民から盛大な声が教会中に響き渡った。


源は、先に外に出ようとすると、大勢の農民が、拍手をしたり、握手を求めてきた


なぜこんなに反応がいいのか、源には分からなかったが、のちに、司祭様やリタさんなどから、聞いて理解した。


国や領土、街などは多額の請求をして、規制を強化するものだということなのに、レジェンドでは、与えることばかりで、何も奪おうとしないことが、驚きだということだった。

農民には、土地だけを与えて、高い税をいるが普通だったのだ。


なのに、建物も土地も、さらには、情報まで、与えるというのを聞いて、あの反応になったというわけだった。


現世で経済なども勉強していた源には、発展をしようとする場合は税を設けないことが当然であると理解できるのだが、そんなことを言っても通じないと思って、詳しくはその理由は言わなかった


発展とともに、欲が膨らむと、犯罪が多発するので、税を高くしていくのは、当然の措置なのだが、まだ始まっていないところから、税を取っては発展の妨げになってしまうからだった


お小遣いを多く与えれば、こどもは使うが、お小遣いを少なくすれば、こどもの財布は硬くなる。これは大人も同じなのだ。

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