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62章 水系マナ

【62章 水系マナ】


ウオウルフたち4匹は、それぞれ相棒のところに向かった。ウオウルフが、「ウオン。ウオン」と2回吠えると、相棒は、理解して、ウオウルフの背中に乗る。ウオウルフたちは、自分たちのボックスの前にいくと、相棒を下ろして、速やかに、装備を整えた。


そして、相棒は、2本のロープを持ち、ウオウルフが前に進むと、木で出来たウィングソードの鞘が取れて、そのまま集合地点まで走って行った。


源やロックよりも明らかに早く、ウオウルフたちは、準備をして、待っていた。


「はやい・・・!」


ウオウルフたちは、笑みを浮かべていた。練習の成果が出ているようだと源は思った。まさか俺よりも早く準備をしてくるとは思わなかった・・・。


ウオウルフ4匹。源とロック。そして、ボルアで、ウオウルフの洞窟に入って行く。そして、前長に説明して、源は、声に出す。


「心を尽くし、思いを尽くし、知性を尽くし、力を尽くして、あなたの神である主を愛せよ」


すると、壁が光りはじめ、上へと壁がスライドしはじめ、開いていく。

それをみて、ロックやウオウルフ3匹とボルアが、驚きの声をあげる。


そして、光る通路をそのまま進んでいくと広場に入り、大量の財宝が現れた。


「な・・・何ですか!?これは!」とボルアが、叫ぶ。ロックも驚いていた。


「狼王が残してくれた財宝だよ。レジェンドの場所をここにした理由のひとつは、この財宝もここにあって、それを守るのにも、適していると考えたからなんだ。もちろん、このことは、ここだけの話にしておいてくれよ。大勢が知れば外にも、もれて、レジェンドを標的にしてくる輩も出てくるからな」


ボルアは、つぶやくように言う。


「なるほど・・・」


この財宝を知らなかった者たちは、その大量の財宝に圧倒される。


「さー。封印の珠は、神殿の中、中央の場所の壁にはめ込まれている。取りに行こう」


みんなは、神殿の中央へと向かっていく。


前と変わらず、青い封印の珠は、壁にはめ込まれていた。


そして、源は、みんなの顔をみて、話す。

「いいかい。これを取ったら、強いモンスターが現れると思われる。もしかしたら、神殿の外に出ることもできなくなるかもしれない。混乱しないように、それぞれが、集中して、対処するんだ。ボルアは、支援だから、みんなで守るんだよ」


それにみなが頷く。


「3秒で取るぞ。3・2・1」


源は、青い封印の珠を壁からガゴッと取った。


みんなは、身構える。どのようなモンスターが、現れるのかは、まったく分からない。それぞれを守るように、円陣になり、後ろに隙をみせない。


神殿の内部のどこからモンスターが出てくるのか分からないので、まわりをキョロキョロ見まわして、集中する。


「どこだ。どこから来る・・・」と小声で源が言う。


音にも注意を払う。


だが、なかなかモンスターは、出てこない。

『愛。モンスターの情報はないか?』


『ありません。源。音・振動・視認・匂いなどあらゆる情報からも、反応がありません』


すべての感覚を持ってしても、察知できないモンスターなどいるのか?と源は思った。


そんなものがいたら、危険すぎる・・・


源は、みんなに注意する。

「みんな注意しろ。俺の感覚すべてでも、察知できないぞ」


その言葉に緊張して、みな体を強張らせるが、数分絶っても何の変化もない。


ボルアは、言った。


「これって、モンスターが、いないってことなんじゃないんですか?」


え!?モンスターがいない?


『源。モンスターは、いないようですね』


・・・。


「いないかも・・・ね・・・」


何のトラップもないのか!!??と源は心で叫ぶ。


「よし・・・じゃー・・・そのまま、神殿を出よう。でも、油断しないように」


そういって、みんな外に出ようとするが、源は、体裁を気にし、さっきとは違って何でもいいから出てくれと願う。だが、神殿の外に簡単に出ることができた。


ロックは言った。


「普通に神殿の外に出てこれたし!」


「いや・・・だって、普通モンスターが出てくると思うよね?」


ウオガウは、前長が言っていたように、狼王がトラップを残すわけがないという言葉通りだと首を振る。


源は、念を入れてみんなに準備させただけに、すごい損をしたような気分なった。こんなオチもあるのかと思わされた。こういった時には、少し苦労して手に入れられた方がいいんじゃない?と思うのだが、この仮想世界では、こういうこともあると学んだ。


「それじゃー。このメンバーの誰かに、封印の珠を解いてもらう。誰がいいものか・・・」


ボルアは、言った。


「その封印の珠は、青色です。青色は、水系のマナで、攻撃系マナだと思われます。わたしは支援ですし、ロック様は、マナというよりもスキルだと思われます。ですから、セルフィ様が、解かれるべきでしょう」


ウオウルフは、マナを使わないと言っていた。オウガウなら使えないことはないと思うが、確かにマナの保有量が多いとは思えない。


「今は少しでも、レジェンドの全体レベルを上げるべきだろう。セルフィが一番、マナを活用できるはずだから、俺もお前が解くべきだと思う」


ロックからも言われて納得した。


「分かった。申し訳ないが、今回も俺が封印を解かせてもらう」


みんなも頷く。


源は、封印の珠を両手に持って、息を吹きかけた。


すると、封印の珠は、綺麗に青色に砕けていき、源の手に吸い込まれるかのように消えていった。


源は、何かを得たと感じた。


ロックは、源に聞く。


「一体、どんなマナなんだ?試してみてくれ」


だが、源は、前回、炎弾ファイアボールを試したが、大きすぎるほどだったので、今回は、あまり大きな効果にならないように、慎重にやろうとした。そして、手を上にかざして、試してみたが、何の変化もなかったので聞いた。


「あれ・・・?おかしいな。何も起こってないよね?」


ロックは答える。

「ああ。何も起こってない」


ボルアは、言った。

「マナ力を抑えすぎているのかもしれませんね」


「前回のこともあったから、確かにちょっと抑えてやってみたんだ」


「マナ力を上げてみてください」


そう言われて、源は、マナを徐々に注ぎ込んでいくイメージで、試していく。


だが、何の変化もない・・・。変化がないので、結構なマナ力を流したように思えるのだが、これといったことは起こらない。


「どうしてだ・・・」


ボルアは、言った。


「もしかすると、セルフィ様の種族能力は、火に特化していたのかもしれませんね。その逆の水系は、極端に低いのかもしれません」


「そうなのか・・・だったら、ボルアに封印を解いてもらったほうがよかったな・・・」


「鑑定スキルもないので、判断は難しいので、しょうがありません」


「ふぅー」と源は、ため息に似た息を吐く。せっかく、狼王が、残してくれた封印の珠を自分は無駄にしてしまったと思われるからだ。


「ごめん。ウオガウ。狼王の封印の珠を・・・俺は使えないのかもしれない・・・」


「いいいたしかたああありません。こここれも運命・・・」


「まーでも、こうやってみんなで、チームを組む練習にもなった。次からは、本番の遺跡になるかもしれない。次は心して挑もう」


と源が言うと、「おう」とロックが返事し、みんなも頷いた。


まだ、やるべきことは、沢山あるのだから、1つ1つクリアしていけばいい。今回は、無意味だったというクリアだと源は割り切った。


そして、前長にも結果を報告し、洞窟をみんなで出た。そして、自分たちの装備をはずしにいく。

だが、レジェンドの者たちがみな騒いでいた。源たちは、まわりを見渡し、何だろうとみんなをみる。ウオウルフたちは、全員、鎧を装備しはじめていた。

みなが慌てている。


『愛!敵か??』


『いえ、敵ではありません。源のマナに驚いて、混乱しているだけだと思われます』


『ん?俺のマナに驚いてる?』


源は、みんなをよく観察すると、上を指さしている人もいたり、上を見ている人もいたので、源も上をみると、上空が白色になっていることに気づいた。


黒色の高い20mの壁の上から、急に白色になって見える。注目しなければ、雲かとも思ったが、雲じゃない。何だ?と思い。源は、空を飛んで、白い物をみにいくと、それは、巨大な氷だった。


レジェンドの村の壁の外を600mも離れたところから巨大な氷が、丸く囲んでいる。レジェンドの半径200mの大きさの村が、半径800mもの氷にすっぽり入ってしまっているようになっていた。全長1.6kmにもなるほどの巨大な氷だ。


『愛。さっきこれが、俺のマナって言ったのか?』


『そうです。これは源が作り出した氷のマナだと思われます』


源は、そのまま上、巨大な球体のようになっている氷に手を触れて、リトシスで、軽くして、持ち上げ、空に飛ばすと、離れた土地に移動させ、置いた。自分はまだ、氷の中にいるので、眼の前の氷を殴りつけて割った。ものすごく分厚い5mぐらいの氷が割れて、外に出て、さらに上に飛んで、確認する。


緑の森の中に、突然、氷の山が出現しているかのような光景になっている。


「おいおい・・・俺は一体・・・何を作り出したんだ・・・」


これは司祭様に聞くしかないと思い。レジェンドに戻って、外に立っていた司祭様に質問した。


「あれは、わたしの新しいマナで造り出した氷みたいなのですが、どういったマナなのでしょうか?」


司祭様は、口をあけたまま、遠くに持っていった氷の山をみながら、ボケーとしていた。


源は、司祭様の前で手を振っると、司祭様は戻って来た。


「あ・・・あれは・・・・・・少し大きすぎる氷守アイスドームというマナかもしれませぬ」


「少しって普通は、どれぐらいの大きさなのですか?」


「あー普通は、ひとり、または複数を囲むぐらいの氷の大きさですじゃ」


司祭様は、とても優しい笑顔で答えてくれたが、今するべき表情とは、違っている気がする・・・。


アイスドームか・・・


『炎などの攻撃を氷でガードするようなマナだと思われます。源』


『俺は、村全体を氷でガードしてしまったということか』


『はい。そうなのだと思われます。源』


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