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32章 封印の珠

ウオウルフがなぜ、源たちを受け入れ、共生しようとしはじめたのか、前長から話を聞いてやっと源は理解できた。

そして、ウオウルフが、コボルトに滅ぼされたとしても、この土地を守ろうとした理由も狼王の意思を受け継いでいたからだと納得させられたのだった。


だが、狼王は、4000年も前の狼で、その存在は何も証拠になるものはなく、神話級の話だということだった。その狼王からこの洞窟を守るようにと言われ、従い続けてきたことを信じてきたが、洞窟には何も守るものがないと前長は言う。


前長に今までのいきさつを話してもらう中、愛が、洞窟内の壁に文字が書かれていることを発見した。


『源。前長様の後ろに、文字のようなものがあります』


『文字?』



前長に確認してみた。


「話の途中すみません。前長の後ろに、文字が書かれているようですね」


「これですか。これは太古の失われた文字だと言われています。申し訳ないですが、だれも、この文字の意味は分かりません」


「少し見させてもらっていいですか?」


「どうぞ」


源は、その文字をみるなり、驚いた。


なぜなら、それは英語だったからだ。


その文字は、こう書かれていた。


《Love the Lord your God with all your heart and with all your soul and with all your mind and with all your strength》


神?ロードは主のことじゃなかったっけ?えっと・・・心と魂、精神・・・?


『源。これを訳すと、

《心を尽くし、思いを尽くし、知性を尽くし、力を尽くして、あなたの神である主を愛せよ》です』


それを聞いて

「マルコの福音書12章30節!?」


と源が、驚きながら、小さくつぶやいた。


「この文字の意味がお分かりになるのですか?」


前長は、源がその文字を理解できたかもしれないことが、驚くことだったように、質問してきた。


しまった・・・また、つい口走ってしまった・・・どうしようか・・・この聖書の聖句は、クリスチャンならだれでも知っているものだからつい口が・・・。こどもたちに暗記させる言葉の有名な聖句でもある。ただ、それは現世の記憶があることを証明してしまうことになる。説明することはできない。困った・・・。少し考える時間がほしい。


「すみません。ちょっと待ってもらえますか?少しだけ頭を整理させてください」


なぜ、ウオウルフの守る洞窟の中に、聖書の聖句、それも英語が書かれているんだ・・・?英語は古代の失われた文字だとも言っていたな。英語や日本語が使われているのは、分かる。ここのひとたちは、もともと拉致などされて送られてきた日本人だと思われるからだ。日本人なら英語が出来る人も多い。


それはいいが・・・なぜ聖書だということだ。ローの村も聖書の伝道者の書が伝えられていた。これは一神教の龍王が残したというが、よくよく考えると、龍王は、聖書を暗記していたというのか?

いくらクリスチャンであっても、聖書を暗記している人などほとんど皆無だろう。

どうやって残すことに成功したのか。

やはり、この聖書にまつわる伝承などは、あいつらの仕様だということが濃厚だ。

あいつらなら、普通に聖書を見開きして、打ち込めばいいからだ。


でも、本当に分からないのは、おれと同じ同姓同名のさらに天使族が、救世主だというものだ。


あいつらが、そんなことをわざわざするだろうか・・・。そして、あいつらが、仮想世界でも聖書を広めようとする理由がまったく分からない。


でも、トータルリコールという映画の内容で、その人を主人公にした、夢のような仮想世界を味あわせるというものがあった。その人が主人公になったようにひとりひとりに提供できるサービスだ。

もし、この世界も、ひとりひとりが、主人公として、個別のサーバーのようにされているとしたら、どうなんだろうか。


それなら、俺はクリスチャンだから、俺が主人公として納得できる聖書が土台の世界になっていてもおかしくもないし、ロー村とウオウルフというどちらも、隠された聖書の伝承にこうもたやすく出会うということにも納得がいく。


でも、そうならものすごく膨大なデーターになってしまう・・・。ここは現実とほとんど変わらないほどのリアリティがあるだけに余計ありえないと思える・・・。42年でそこまで発展できるものだろうか・・・。


もし一人一人を主人公にした個別サーバーなら、俺以外は、すべてプログラムであり、データーだということになる?

ひとりもこの世界には、同じ人間はいないことになる。俺が主人公として楽しめる世界だからだ。

そして、拉致された他の人たちも、それぞれが主人公としての違う仮想世界を味わっていることになるが、それをひとりひとり再現するほどの莫大な情報など管理できるとは、到底思えない・・・。しかも、俺の質問にも違和感なく答えるプログラムだぞ・・・。


また、疑問なのは、ロックは人間だという少しだけ記憶があることだ。これは、おれと同じ拉致された人という証拠じゃないのか?


ダメだ・・・どう考えても、矛盾にぶつかる・・・。


そして、また伝説の狼王も、聖書の一文を残したということになる・・・。


一文だけなら、クリスチャンなら覚えている箇所は、覚えている。それは納得できるが・・・、狼王も、俺のように記憶があったというのか?


分からない・・・。考えれば考えるほど、深みにはまっていきそうだ・・・。とにかく文字が読めてしまったことは、誤魔化そう。


「源様。大丈夫でしょうか?」



「え・・えぇ・・・大丈夫です。すみませんでした。この文字が読めるのか?という質問でしたね。読めるのですが・・・なぜ理解できるのかは分かりません。自然とこの文字の意味が分かるんです・・・」


「おおー。す・・・素晴らしい!」


前長も、ウオガウも、首を大きく振った。

納得してくれたみたいだ・・・よかった・・・とっさに誤魔化したが、不思議なことには、不思議ちゃんで誤魔化しが効くことを今知った・・・。説明しないほうが、納得できてしまうというやつだ・・・自分たちの中で、整理して納得することを考えているので、それが間違っていても頷いてしまうわけだ。


源は、本当は説明をきちんとしたいタイプだが、説明したくても、自分に記憶があることを教えられないのだからしょうがない。


「その文字の意味は、どういう意味なのでしょうか?」


どうしようか・・・言っちゃう?本当の意味を口で言っちゃうような、不思議ちゃんをやっていいのいか?うーん・・・この二人なら、なんとか誤魔化せそうだと思い、源は、日本語で言った。


「心を尽くし、思いを尽くし、知性を尽くし、力を尽くして、あなたの神である主を愛せよ」


源が、英語を訳して、日本語で話すと、突然、洞窟の壁が光出した。


ズズズズっという音がしたと思うと、洞窟の壁が、前に出てきた。その前に浮きだした壁、2m四方が、次は上へとスライドするように移動した。


すると、長い通路のような穴が続いていた。


「何だ!?」


源も驚いたが、さらに「ンガー」と口を開けて、すごい顔で驚いているのは、ウオウルフの二匹だ。

長年何もないと思っていたところに、突然、このような隠し通路があったと分ったのだから、かなりのショックなのだろう・・・。


「ウォン!ウウウオウン」


さすがの前長も、日本語ではいられなくなったらしい。ウオウルフの言葉で驚いているようだ。


二人は、驚いて、何か言い合っているようだった。


一体何が起こったのか、源は分からなかった。英語で書かれた聖書の聖句を日本語にして、口にすると、なぜか、光る通路が現れた・・・。


聖書の聖句を話したら開いた・・・?この仮想世界は、聖書をベースにした造りになっているのかと、また思えてきた。


でも、ニーナが言っていたのは、ほとんどが多神教を信じているということだった。龍王が造ったドラゴネル帝国でさえも、多神教だとも教えられた。


それに龍というのは、悪魔であり、サタンの代名詞蛇になる前のドラゴンのことだ。決して名前だけをみたら、龍王は聖書的な名前ではない。


だが、何か、源の知らない力が働いているのか?隠されたものに導かれるかのように次々と進んで行っているように感じるのは、錯覚なのだろうか・・・。偶然、この英語の聖句を訳して、日本語で話したら、開くなんてことが起こるのか?


その他のこともそうだが、俺は、ただ生きるために、出来る選択をしてきただけだ・・・。でも、その謎も、もしかしたら、この通路の先で分かるかもしれないと源は思った。



「とにかく、中がどうなっているのか、調べてみませんか?」


「わたしは、目が見えませぬ。通路が出てきたというのは本当でしょうか?」


あー。そうか、やっぱり目がみえないんだ・・・


さきほどの会話は、ウオガウに確認をしていたのだと分かった。


「本当ですよ。突然、壁が動き出して、通路が現れました。中を確認してみませんか?」


前長は、口を噤む。神聖な洞窟で新たなことが分かったことで、中に入っていいものか悩んでいるようだった。


「源様。どうかウオガウと行ってきてくださいませ。わたしはこのように動くことがもう出来ないのです」


「大丈夫ですよ。前長が動けないのなら、わたしが連れて行きますから」


そう源が言うと、前長の体を触って、無重力状態にした。


「おお」


と前長は驚いていた。


「前長は、ここを一番長く守られてきたのですから、あなたが、ここに入らなければ、誰も入れません」


そう源がいうと、前長も頷いて、ついていくことにした。


通路の中は、不思議な光で灯されていた。どんな仕組みで光っているのかは、分からなかった。


10mほども長い通路を抜けると、奥は物凄く広くなっていた。


その広間にあったのは、もの凄い数の金や銀、あらゆる宝石が、山積みになっていた財宝だった。


「何て量の財宝だ・・・」源がそういうと、前長は、それを感じ取ろうとするためか、鼻を鳴らして、嗅ごうとする。


「ウオン。ガウウガウウオン」


ウオガウが、その状況をどうやら伝えているようだ。



もしかすると、一国の財源ほどはあるのではないだろうかというほどの財宝が、いくつも山積みになっていた。


そして、その奥には、神殿のようなものがあった。

ロー村にあった神殿は、木材でつくられていたが、ここは岩で造られている。

その神殿の壁には、たぶん、狼王だと思われる狼の絵が描かれていた。

角は生えてはいないが、白毛の巨大な狼で、他の灰色の狼たちの上に描かれていた。

他の狼たちと比べると、一際ひときわ、大きいことが分かる。

その傍らには、白い2本脚で立っているかのような人狼のような絵も描かれている。


ウオガウは、洞窟の中の様子を目がみえない前長に話すと、前長は、涙を流して喜んだ。


さっきまで、狼王の証拠はないと言っていたのだから、そのような反応になってしまうのは、当然だろう。


1000年前の龍王が、伝道者の書をロー村に残し、狼王は、何の理由なのか分からないが、大量の宝石を隠した洞窟に聖書の聖句の合言葉を残した。その言葉がまるで鍵であるかのように使われていた。


このふたりの王には、何か関係があると思いたくなる。時代がまったく違うので、関係していないと考えるのが、普通だが、ここは異世界。わざわざ聖書を共通に利用して、子孫たちに守らせたりしている理由もやはり何かあるとクリスチャンの源からすると、思いたくもなる。


聖書に精通していた王が偶然それぞれ、痕跡を残したのか、それとも、狼王のしていたことをマネて、龍王も同じように子孫に残したのか・・・謎が謎を呼んでまったく分からない。


何度も考えてしまうのは、なぜ俺の名前が龍王の予言に書かれていたかということだ。


聖書の共通点があることは、無理やり憶測は出来ても、個人的な名前や姿形を言い当てるなんてことは、預言者ぐらいなものだ。


この異世界にも神様が、預言者を遣わすということがありえるのだろうか?


少なくとも、俺にはまったく救世主だという自覚はない。

むしろ、現世で無残な目にあった敗北者だ。そういうことなら納得もできるが、救世主や世界を平和にするといったことに、自分が関与するとは思えない。進んでする理由もない。


自分のことを改めて考え出せば、愛との将来の夢を突然犯罪者たちに奪われた悲劇の脇役で、この世界も、あいつらが造ったただの仮想世界だと知っているのだ。実際の自分は脳と脊髄しかないというオマケ付きで、悲惨さのオンパレード。だから、進んでこの世界の救世主になろうなどとは思えない。


この異世界にも、考古学が好きな人間がいるのなら、そういった人に依頼してみるのも1つかもしれないと源は思った。


だが、自分はまずは生き残れる環境を作ることが優先だ。現実の悲惨なことを忘れるように、仮想世界に没頭したいということもある。そして、この世界で死ぬことは現実の世界の脳も死滅することにもなる。


色々な考えをよぎらせながら、狼王が残したと思われる謎の遺跡をまわるが、神殿の外に置かれた大量のざいほう以外は、特に目立ったものはなかった。


文字も書かれている形跡がない。

だが、もう1つ気になったのは、壁に埋まったラグビーボールの形をしたてのひらサイズの石だ。


これは源とロックがミステリアスバースとして生まれて、目覚めた場所にもあった石と色が違うが似ている。源が持っている石は、赤色だが、これは青色だという違いはあるが、同じものかもしれないと思った。


「ウオガウ。この石だけは絶対に触るなよ」


「そそそれは、ふふ封印の珠ですね・・・」


「封印の珠?」


「そそそのな中には、まままマナか、スキルが封じこ込められているのです・・・」


「マナとスキル?」


マナとは、聖書に出てくる神様がイスラエル人に与えた不思議な食べもののことだった。それを食べると体力が増え、生きていけることが出来たと聖書に書かれているが、この世界でいうマナとは何なのだろう?


すると前長が説明した。


「マナとは、不思議な能力のことです。その言い方は、場所によって違い、魔法と呼ばれたり、マナと呼ばれたり様々な言い方をされているのです。スキルは、身体能力などを主に向上させるようなものです。剣技やウオウルフなら牙突などもそのスキルには含まれます」


「なるほど、マナとは、魔法のことなのですね」


「そうです。そのマナに繋がる話ですが、世界には、遺跡というあらゆる生き物を生み出す場所があります」


「はい。わたしもそこで、ミステリアスバースとして生まれたと聞きましたから、それは知っています」


「その遺跡は、生き物だけではなく、マナとスキルが封印された珠も生み出し続けるのです」


なるほど、あの遺跡にあったラグビーボールのような形の石も、もしかしたら、そのマナやスキルが封印された珠だったのかもしれないのか。

あの珠は、確か今はロックハウスに置いてあるはずだと思い出す。

不思議な硬い石だったので取っておいたのだ。

その封印の珠を投げて、巨大サソリを倒したという・・・バチ当たりになってしまうのか?みたいなことも考えた。


「そのマナとは、どのような効果が封印されているのですか?」


「ありとあらゆる自然界に起こるものを操るのです。火や水もあれば、土や風といったものも操るマナもあります。わたしたちは、マナを持ったことがないので、詳しくは分かりませんが、確認されているマナやスキルはそれほど多くはないはずです」


封印の珠を手に入れるためには、巨大モンスターと戦わなければいけない。

ただの人間が簡単に手に入れられるものではないから、マナを持っている人も少ないということだろう。今のところ、源があった敵の中には、そのようなマナを使った攻撃をしてくるものはいなかった。もし、ボルフ王国やコボルトなどがマナを使えていたら、負けていたかもしれないと悪寒が走った。


いや・・・まてよ・・・そういえば、ボルフ王国にいた余裕の顔で俺に光る矢を放って来た騎士がいたが、あれがもしかして、マナの能力だったのか・・・?何かそれっぽいことを言っていたが、忘れた・・・。何て言っていたかな・・・。まあいい。後で思い出そう。


「封印されているということは、封印を解かなければ使えないわけですよね。どうやって封印を解くのですか?」


「封印の珠を体のどこかで触れながら、その人の息を吹きかけるのです。ですが、他の者と一緒に吹きかけると、珠は粉々になって何も手に入りません。珠はひとりだけがその権利を持つことができるのです」


さすがは、長生きしている前長。あらゆることに知識があると感心する。


ウオガウが、源に言った。


「はハジメ様。封印の珠をててて手に持ち・・・まマナのけけ権利を受け取ってくくください・・・」


「いや、ここの封印の珠は、やめておこう」


「なな何故でしょうか?」


「俺もよくは分かっていないんだが、どうやらこの石を取ると、トラップのようなものが発動して、危険なモンスターが現れるようなんだ」


「ななな、、なんと・・・」


「これが同じなのかは、分からないけど、触らないことだ。危険だからな」


「わわわ・・わかりました・・・」


前長が源に質問した。

「確かに、遺跡には、強いモンスターが現れるといいます。ですが、ここは、狼王の洞窟遺跡です。危険だということは狼王が、子孫に危険なトラップを残したという意味でしょうか?」



「これがそのトラップの石と同じなのかは、分かりません。

わたしが、岩の仲間、ロックと一緒にさ迷った洞窟の中では、この石は危険なものでした。

その経験だけで言っているだけなので、これも同じように危険かは、分かりません。

これを手にするのなら、ロックなどにも来てもらって、万全の体制を整えてからにしましょう」



謎のウオウルフ洞窟の遺跡を簡単に、まわったが、このこと以外に気が付いたことは、今のところなかった。でも、とてもいいことを聞いたと源は思った。ロックハウスにある封印の珠の中には、何の効果が入っているのか分からないが、何かマナを発動させるものかもしれないと思ったからだ。


前長が、源に提案した。


「ここにある財宝は、源様がお使いください」


「どういうことですか?これはウオウルフが使うべきものでしょう?」


「どうやら源様は、ご自分が救世主であることを認められていないようですが、わたしたちは、あなたこそが、救世主だと確信しております。そして、狼王は、これらをあなたのために用意したと信じておるのです」


さすがは、前長。人を見る目、目は見えないようだから、洞察力があると思った。俺が、仮想世界の救世主になりたいと思っていないことをズバリ言い当てた。


「うーん・・・嬉しい申し出ですが・・・これはウオウルフのためにお使いください。わたしは、自分がそのような存在だとは本当に思えないのです。自分のことは、自分が良く知っているからですね」


「源様。自分のことは、他人のほうがよく知っているということもあることをお忘れないように。あなたは本心では、望まれていないのに、その道を歩んでいることにいつかは、ご理解していただければよろしいのです」


そう言われると、返す言葉も無くなってしまった。現実の世界なら不思議な神様の導きがあることは分かるが、人が作り出した、しかも、犯罪者のような人間が作り出した世界にもそれが当てはまるのかは、はなはだ疑問だから、今は素直に前長の話を受け入れられない。だが確かに、俺の本心は、避けているのに、何か導かれているかのようでもあることは感じる。


「それにわたしたちウオウルフは、財宝など無用です。自然とともに生き、生活する種族です。

人間の言葉が使えるものも極わずか、長であるウオガウは話せても、ほとんどの者は、話せません。

そんなウオウルフが、このような財宝を持っていたとして、何の役に立つのでしょうか」


宝の持ち腐れとは、このことだと言いたいのだろう・・・・でも、これだけの財宝をもらうということは、危険も伴う。ボルフ王国王子のような人間に知られでもしたら、厄介だ。


「分かりました。これはわたしが管理します。ですが、この財宝は、ウオウルフをを繁栄させるために、第一に使うことにします。ウオウルフを優先にして、使う時は、ウオガウに報告するということにしましょう」


「そのほうが使いやすいのでしたら、そのようにされてください。ですが、どのように使うのかは、源様のご自由です」


ありがたい申し出で、嬉しくも思うが、ウオウルフと同じで、今の源やロックは、自然界だけで生きていけている。そこに財宝があったとしても、使い道がすぐには考え出せないと思った。この世界の金融システムがどこまで進んでいるのかも分からないが、使うとしても、情報が少なすぎる。


「財宝を狙う輩もいるので、この財宝のことは、限られた仲間以外には、話さないようにしましょう。

とにもかくにも、明日は、コボルトとの決戦です。今日は、財宝や遺跡のことは、このぐらいにしておきましょう。まずは、ここで勝利して、生き残ることが優先されます。この財宝のことは、またその後に使い道を考えましょう」


ウオガウと前長は、頷いた。


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