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27章 コボルト対ウオウルフ

ウオウルフたちは、個々でも能力があるが、それをさらに集団になって、集まり、コボルトの大軍勢の中、暴れ回った。


コボルト軍団という大平原に、1つの竜巻が吹き荒れているような状況だ。竜巻の勢いが弱まりコボルトが勝つのか、それとも最後まで竜巻は荒れて、大地を破壊し、ウオウルフが勝利するのか。二つに一つだ。


コボルト一匹一匹は、ウオウルフの敵ではない。例え、3匹であっても、ウオウルフの能力があれば、ほとんど間をあけることなく、倒していく。


そのことは、もちろん、敵も想定内だ。一匹のウオウルフに集団で攻撃をはじめる。だが、別のウオウルフが、それをカバーするように集団攻撃しようとしたコボルトの隊に飛び込んで荒らしていく。


これを何度もローテーションするようにウオウルフたちは続けるが、決して無傷で倒せるわけではなかった。


離れたところから、弓を射られれば、体に何本もの矢を受けてしまう。ウオウルフの大きさなら、コボルトの矢は、耐えられなくもないが、ずっと受けつづけるわけにもいかない。体力も無限にあるわけではない。


最初こそ、ウオウルフが押していたが、徐々に、ウオウルフが押され始めた。




そこに、源、ロックそして、ウオガウが、湖にあるロックハウスの前に、降り立った。


コボルト4000以上もの大軍は、湖の両側を埋め尽くし、森の中にまで伸びている。見えているだけでもすごい数のコボルトだが、さらに多くのコボルトが、後ろには控えている。


ウオウルフは、124匹、こどもさえも含めて、全員が集結していた。

こどもも、戦おうというのだろうか・・・。


すでに傷ついているウオウルフたちもいて、このままでは、全滅するのも時間の問題だとさえ思えてくる。源がリーダーなら、ここは一旦引いて、新しい安全に暮らせる場所を探し、みんなの命を優先するところだが、それも提案し納得させる時間はない。


ウオガウの妻が、その子ガーウの亡骸を咥えていた。


本当にガーウは死んでしまったのだ・・・。こんな時にも、愛から情報が正確に源に伝えられる。ガーウの目の傷、おびただしい刺された痕・・・。何をされたのかその遺体の損傷から推測してしまう。


源は奥歯に力をいれてギリっと鳴らした。


俺でも込み上げて来るものがある。泣くことも出来るオウウルフなら、仲間の死は、当然それ以上だろう。ここまできたら、ウオウルフたちは止まることはない。



そして、何より、100対4000の戦いが、すでに火ぶたを切っていたのだ。


もう、この戦いの中に入って行くしかないと考え、源とロックは、走っていき、ウオウルフたちに加勢しはじめる。



源は、全身の感覚を研ぎ澄ませ。愛に周辺全体の情報を送る。半径25mの範囲の敵や味方の状況を把握して、ウオウルフとコボルトがぐちゃぐちゃになって戦っているところに入り込み、その両方に当たることなく、まるで空気のようにすり抜ける。


ウオウルフが、コボルトに飛びかかるとそれを源は、かい潜り飛びかかったウオウルフとは、対称の位置について、金剛剣グラファイソードを横一線に、なるべく長い距離を振りぬくと、その攻撃に、7匹のコボルトたちが、ダメージを負う。


一振りで7匹。相手の位置関係を把握して、どこに剣を振りぬけば、一番攻撃が多く与えられるのかを計算した。そして、コボルトの武器や防具ごと、もっていく。


源たちのグラファイドの装備に対応できる装備をコボルトたちは、一切持っていないので、防いだとしても、源に斬られてしまう。


一振りした後は、ウオウルフを狙った弓や攻撃をその振った勢いにあわせて、はじき返す。ウオウルフたちの防御までも行う。


源は、まったく無駄のない動き、最小限の労力で最大限の効果を狙う戦いをする。


まるで、ウオウルフたちと源は、あらかじめ連係プレイを練習していたかのように、ものすごく息があっているので、源がいる場所のウオウルフたちは、傷をもらうことがない。

源のいる場所のウオウルフによる竜巻のような攻撃は勢いが衰えるどころか増していく。



ロックは、ウオウルフたちがいないところに、わざとひとりだけで、突っ込みはじめた。


ロックは、パワーがあり、岩という防御力とグラファイト装備があるために、コボルトの攻撃をほとんど受けることがない。なので、防ごうとすることもせずに、金剛斧セカンドアックスと左手の盾を振り回し、まるでオモチャを吹き飛ばすように、コボルトの大軍を蹴散らしていく。


小さなコボルトたちは、空を飛ぶようにロックの爆風のような攻撃に散りじりにされていく。


コボルトは、矢を打っても、槍でついても、ロックにはダメージを与えられないが、次から次へとロックに飛びかかり、戦い続ける。あるコボルトは、ロックの足を掴んで重しになろうとしたり、あらゆる方法で、ロックに襲いかかった。



源は、ロックの状態も、他のウオウルフたちの状態も愛の能力で、把握していた。思った以上に、ウオウルフと源・ロックの連携はとれていて、次から次へと、コボルトたちを倒していった。


なんだか、行けるかもしれないと思いかけた時、相手側から角笛のような音が吹き鳴らされた。


すると、コボルトたちは、攻撃を一斉にしなくなったと思うと、道を開け始めた。


コボルトの攻撃が止まったことで、ウオウルフたちもその場で、止まる。


ウオウルフたちは、全力で戦っていただけに、息があがっている。


コボルトたちが、道をあけたところからは、ボルフ王国の兵たちが、前線へと歩いて移動してきた。その姿をみると、兵というよりもみすぼらしい農民だ。コボルトと同等か、それ以下の装備しかしていない民たちが、前線に並ばされはじめたのだ。その数、約1000人。


ウオウルフたちは、ボルフ王国の兵たちが、並び始めたのをみて、激しく吠え出した。


「ウオォォオオーン!!」


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