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266章 戦闘訓練

源は、ミカエルの通信で、ロックとウオガウ、ローグ・プレス、ダフキン、そしてスミスに連絡した。


『ロック。ウオガウ。ローグ。スミス。ダフキンさん

これから六人で、戦闘訓練をしないか?

この五人との訓練だから、場所は荒野のチフス湿地帯ね』


スミスは、帝国裁判を終えて、その身柄はレジェンドに預かることとなった。

数人の監視役がついてはいるが、スミスはソロと共にレジェンドの仲間となり、これからは帝国側の人間として受け入れられることとなる。


ダフキンの家族は、在籍は、新大共和ケーシスとなっている。

アナザーワールドにあるエバー村とワグワナ法国の3つの場所をマナソースを使って行ったり来たりしている。


各自が、ミカエルの瞬間移動を使って、チフス湿地帯に集まった。


「この五人には話しておくけど、ペルマゼ獣王国は、龍王の意思とは真逆の非人権の正義を掲げている国で、毎日のように被害者が出ている

ロックとウオガウやローグ・プレスは知っているけど、ボルフ王国の正義は酷いものだったんだ

でも、そのボルフ王国とは比較にならないぐらいペルマゼ獣王国は、危険すぎる思想を持ち、それを実行してしまっている」


源は、ペルマゼ獣王国にもぐりこませているソースからの映像をモニターでみせる。

ペルマゼ獣王国の国民は、女こども、老人すべてが、当たり前のように人間を牛や豚のように食べていた。


「一日も早く、あれを滅ぼさなければいけない

ペルマゼ獣王国との戦いは、間近に迫っているということだね

ダフキンさんは、新大共和ケーシスに所属しているんだけど、出来れば、今回の戦いに参加してもらえると助かると思っています」


ダフキンは、頷いた。


「セルフィ様たちのおかげで、わたしたち家族は、今までになかったほど幸せな時間を送れています

その平和を守るためにも、もちろん、わたしも協力させてください」


「本当は、ご家族と平穏な時間をもっと過ごしてほしかったのですが、ダフキンさんの力が必要となる気がするんです

闇の世界を知っているダフキンさんだからこそ、いてもらえると助かると思っています

命の危険があった場合は、すぐにでもマナソースで安全な場所に瞬間移動してくださってかまいません


そして、スミス

君の能力の高さも期待しているよ

まだ、正式なクリスチャンとなっているわけじゃないから、レジェンドの恩恵を与えてはいないけど、今の君でもレジェンド兵士の力を飛びぬけてしまっているほど持っている

君が拒むのなら参加しないことも考えるけど、どうだ?」


「セルフィ様

僕は、レジェンドに数えきれないほどの恩があります

ソロのことにしても、僕の暴走を止めてくれたことにしてもです

その恩を返せるのなら、どんなことでもします!」


「ありがとう」


その話をして、ロックが口をはさむ。


「俺には、拒否権はあるのか?」


「ロックにはないだろう・・・」


「ないのかい!」


「このチフス湿地帯は、荒野で、岩ばかりしかないところだから、生き物もいない

みんなが思いっきり戦ったとしても、問題ないはずだ

この6人で何度か特訓をしようと思う

俺とダフキンさん、ローグ・プレス対ロック、ウオガウとスミスで戦ってみよう

ローグ・プレスには一体、ミカエルの人型タイプを護衛として付けるからうまく利用してくれ

一応、スミスに言っておくけど、ソロの支援はなしね」


「分かってます」


「お互いのパートナーにだけ通信ができるようにミカエルの設定してあるから、それで戦いながら作戦を立ててくれていい

死なない程度の怪我なら俺が治せるから、それなりに本気でやってくれてもかまわない


デフォルメーション」


源がそうつぶやくと目の前に、黒くて丸い球体をマナソースが転移させた。

その球体は、源の体を覆い源の望む形の鎧となり、手には、デフォルメーションの剣が装備された。


その様子に、ロックが真剣な顔になる。


「本気だな・・・」


「ああ。本気だぞ。だから、そっちも本気で来ないと痛い目にあうぞ」


源が真ん中に立ち、左側にダフキン。そして、右側にローグ・プレスが立ち、ローグ・プレスの前には、護衛するかのようにミカエル1体が立ち塞がる。


相手方、中央にロックが立ち、右にスミス。左に四本足で立つウオガウが対峙する。


『ロックとウオガウは、俺とローグ・プレスで対応しよう

ダフキンさんには、スミスの相手をしてほしい

倒した後、こちらに加勢できたらお願いします』


『分かりました』


『愛。支援は20%程度だ』


『分かりました。源』


源は【速度強化魔法スピーダー】【強化魔法】を20%ほどの効果になるように付加して、誰よりも早く攻撃を開始した。


リトシスを乗せた源の攻撃は、早いスピードでロックめがけて、距離をつめて、デフォルメーションが打ち込まれた。


ロックは、両腕をグラファイトで固めて、その攻撃を受け止めた。

リトシスの効果がある源の攻撃さえもロックは、受け止めて見せたが、その地面は、衝撃のあまりひびが入る。


グガン!!


源は、すぐにデフォルメーションを左手で持ち、ぐるりと回転したかと思うと、デフォルメーションがムチのように長く振り回され、ウオガウに襲い掛かった。


もの凄いスピードの攻撃だったが、ウオガウは、その剣をジャンプして避けると、空中で、硬質化させた自分の毛を弾丸のように、源とローグ・プレスに向けて、放った。


源のデフォルメーションメイルは、いくつも枝分かれして、すべての攻撃を防いだ。


ローグ・プレスの前には、ミカエルが壁のように立ちはだかり、その攻撃を防ぐが、それをかいくぐるウオガウの弾丸は、またデフォルメーションメイルが弾き飛ばした。


ローグ・プレスは、まったく反応できなくて、遅れて、たじろぐ。


ロックは、源の攻撃を受け止めると同時に、体を変化させて、まるで巻き付くように、デフォルメーションを捕まえ、源の体も拘束しようとする。


そして、さらにスミスが、全速力で動き、源の背後から剣で攻撃しようと振りぬこうとしたが、それをダフキンが、蹴り飛ばして、防いだ。


スミスは、何が起こったのか把握できず、苦しい顔で地面に転がっていくが、すぐに立ちあがって、まわりを確認しながら、剣を構える。


しかし、ダフキンは、スミスの正面にはすでにおらず、後ろに回り込んで、スミスの右腕を短剣で斬りつけた。


「ぐあっ!」


攻撃を受けて、スピードを生かしてすぐに距離を開ける。


何だ!?ダフキンさんなのか・・・?


源は、ロックの体が自分の体に巻き付こうとする前に、デフォルメーションを細い形にして、すり抜けさせ、すぐに距離をあけながら、ロックのまわりを縦横無尽に動き回り、攻撃を繰り出す。


ロックは、始めの5撃ほどの攻撃をなんとか防いだが、徐々に源の動きを認識できなくなると、ロックは攻撃を受け始めた。


その様子をみて、ウオガウが咆哮をあげて、人狼へと変化した。


「ウオーーーーン!!」


ロックは、間近に迫る源の攻撃を把握できずダメージを受けていたが、ウオガウは、さらに精度のいいタンで、源の白い丹をみて、その動きを把握し、蹴り飛ばした。


ウオガウの攻撃を源は、把握できずに背中から受けてしまい吹き飛んだ。


しかし、それほどダメージはなかった。


デフォルメーションメイルは、硬いグラファイトで作られているが、まるで生き物のようにその形状を変化させて、敵の攻撃を吸収する性能があるからだ。


ミカエルを盾にして隠れているローグ・プレスが


「ビックショット」


と言うと、マナソースが、ローグの前に、アドバンスドヘビーマシンガンを目の前に出す。


ミカエルの盾から、ウオガウを狙い1分間に270発連射する弾丸を放つ。


ズガガガガガガガ


ウオガウは、連射された弾を素早い動きで左右に躱して、ターゲットをローグ・プレスに変えた。


ウオガウは、ビックショットでは捉えられなかったが、デフォルメーションが、後ろからウオガウの足首に巻き付き、動きを止めた。


縄を付けられた犬のようになったところをローグ・プレスが、ウオガウの足を狙って弾丸を打ち込む。


ロックは、セカンドアックスに大きな丹を乗せて、ウオガウを縛るデフォルメーションを攻撃して、切り離した。リトシスが発動しているデフォルメーションをもロックの攻撃で粉砕した。


ズガン!!


その衝撃はすさまじく地面が大きくへこむ。


ウオガウは、何発か足に弾があてられたが、何とか脱出した。


ウオガウとロック。源とローグ・プレスの戦いの最中の間に、ダフキンは、スミスを追い込めていた。


身体的な速さは、圧倒的にスミスのほうが勝っていたが、丹を使いこなすダフキンの動きをまったく把握できないスミスは、体中をナイフで斬りつけられ続け、地面に膝をついていた。


しかし、何とか一矢報いたいと思うスミスは、ひそかに自分の体のまわりに、小さな透明な炎を配置させて、罠をはっていた。


ダフキンがそれに触れて動きを鈍らせたところを一気に攻撃を叩きこもうとしていたが、ダフキンは、それさえも読んでいて、ナイフを投げて、スミスに刺した。


ナイフは際限なくダフキンのスキルによって作られ続け、スミスは、攻撃を受けるばかりだった。


「もう降参しなさい」


腕も上げられないほどダメージを負って、スミスはそれを認めた。


「はい・・・降参します・・・」


ロックが、力任せのようにセカンドアックスを振り回し、源へと攻撃をしかけている間に、自由になったウオガウが、ミカエルの盾の裏を抜けて、ローグ・プレスへと襲いかかろうとしたが、それをダフキンが、阻止した。


野生の勘を持つウオガウは、独特な丹の操作を可能としていた。


本能的に、丹を感じ取り、ダフキンの動きをよんで、襲いかかるが、丹を極めたようなダフキンの計算された戦いには、一歩及ばず、少しずつダメージを負っていく。


さらに、先ほど、ウオガウにまきついたデフォルメーションの一部が、ウオガウの足を斬り飛ばした。


「ガァッ!?」


突然、足に痛みを感じて体勢を崩したウオガウをダフキンは、逃さず首元にナイフを突きつけた。


後ろにまわりこまれ、首元にナイフがあるのをみて、ウオガウは両手をあげた。


「こ・・・降参する・・・」


最後は、源とロックの一騎打ちのようになり、じわじわとロックにダメージを与えていく。


「もうロックだけだ

そろそろ降参してもいいだろ?」


「ああ。分かった。降参だ」


ロックは、セカンドアックスを地面に突き刺して、両手を挙げた。


「ダフキンが強すぎるだろ」


「そうだな。ロックの言うことは分るよ・・・明らかに俺たちより、戦い慣れしてるな」


戦いが終わったと知ると、ローグ・プレスは、地面に尻餅をついた。


「わたしから言わせてもらえば、皆さんが強すぎます・・・わたしはまったく反応できませんでしたよ・・・?」


「でも、ローグ・プレスの援護支援は助かったよ

あれがなければ、ロックとウオガウに俺は同時に攻撃を受けて、倒せたかどうか分からない」


「時間稼ぎにはなったかもしれませんね・・・」


源は、すぐにスミスとウオガウの体を愛によって分析し、怪我をリトシスで治した。


スミスが、ダフキンに質問する。


「ダフキンさんの動きがまったく掴めませんでした

どうやったらあのような戦い方が出来るのですか?」


ダフキンのかわりに、源が答える。

「戦う前に、話したけど、君はまだ正式なクリスチャンになっていない

クリスチャンになっていない者には、教えられないレジェンドの恩恵があるんだけど、その中の1つだと思ってくれればいいね」


「そう・・・ですか・・・」


「まだ、俺たちもダフキンさんほどのその力は持ち合わせてはいないんだ

今のところ、ウオガウが一番使いこなしてるのかもしれないね」


「僕の罠もすべて見破られ、何もさせてもらえませんでした

ロックさんやウオガウさんには申し訳ないです」


ロックがスミスをフォローする。


「いや・・・あれだけダフキンをひきつけられていたことが凄いことだ

お前は本当に強いよ

今回は、作戦負けかもしれないな

ダフキンは、タフな俺が相手していたほうがよかったのかもしれん

ダフキンのナイフが俺を傷つけられるとは思えないしな」


「それは違いますよ。ロックさん

わたしの武器も、あなたの鎧や体の強度と同じ程度ありますから、その防御を打ち抜くことはできます」


「そ・・・そうなんだな・・・」


「ですが、相性が悪いことは間違いありませんから、将来はどうかは分かりません」


「よし、今度はパートナーを変えてやってみよう」


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