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265章 第三の手段

この世界の戦いの手段は、ロックやウオガウのようにスキルや身体能力を持ちいる剣士などの力とマナという魔法を使用した戦い方に分かれている。

俺もこの世界に来てから、スキルであるリトシスと高いマナ力で困難を乗り越えて、何とか生き残ることが出来ている。


しかし、サムエル・ダニョル・クライシスというS級レベルの相手には、一日の長があり、この2つの戦い方だけを強めたとしても、差は広がるばかりだと思い考えたのが、第三の手段である科学だ。


この科学のことは、ヨハネにも、サネル・カパ・デーレピュース上院議員にも話はしていない。


これら科学の技術は、レジェンドによる特許であり、守られることを条件に帝国側に参加している。

今のところ、レジェンド勢力の奥の手というのは、科学とリトシス+愛の恩恵だけだからだ。


ロー村で生まれ育ったニーナは、人種で、身体能力に優れているわけではないことを悔やんでいた。

幼い頃から龍王の意思を聞かされて育った彼女は、伝説の天使であるとされる俺の役に立ちたいと願っていた。

彼女には、科学の存在を教えたが、それからミカエルから得られる現世科学の知識を猛勉強して、今に至る。

寝る直前まで、勉強を続けるという彼女の行き過ぎたスタイルが、急成長を促していた。

この世界の誰よりも、現世科学を習得しているのがニーナだ。


帝国側の勢力に参加してからの敵側の種族は、人種だったことから、敵味方のどちらの被害も最小限にするために、殺傷力の高いショットは、極力使わないようにしてきたが、今回は、身体能力に優れている相手であり、非人権の正義を持つペルマゼ獣王国になるので、温存していた武器を解放する予定だ。


源は、ニーナ専用の地下研究室に向かった。


ニーナは、相変わらず、多くのモニターに囲まれながら、ミカエルと一緒に、研究を進めていた。


「ニーナ。ロングショットが形になってるそうだね」


「レジェンド兵士1500人には、男も女も関係なく、一度は試してもらったわ

ただ撃つということだけなら、誰にでも使えることが分かってる」


「俺はスナイパーライフルとしか説明しなかったけど、どの銃にしたんだ?」


ニーナは、部屋の中央にあるテーブルの上に手をかざすとミカエルが、スナイパーライフルをテーブルの上に瞬間移動させた。


「最強クラスのスナイパーライフルとされているバレットM82よ

セミオート式スナイパーライフル 対人、対物兵器 狙撃の名手でなくても扱えるように設計されながら、コンクリートや鉄板を打ち抜くほどの威力がある。女性でも扱うことができる武器ね

わたしでも撃つことが出来たわ

射程距離は2kmを超える。衝撃も緩和される作りで50口径の弾。焼夷弾(対象を燃やすナパーム弾など)、炸裂弾(爆発によって広範囲に破片が飛び散る)、徹甲弾の3種類を使用できるの。トラックとは別に生産しているレジェンドの装甲車にも傷をつけることが出来るほどの威力があるのよ。重量は13kgと重めだけど、今見せたように、スナイパーたちが、配置につけば、武器は、ミカエルが転送してくれるから女性スナイパーでも、問題ないと思う。装弾数5発よ」


「スナイパーライフルは、単発発射だけど、威力があると聞いたことがあるけど、そこまでの威力があるんだな・・・」


「それだけじゃないわ

このロングショットにマナ力を込めて使用すれば、平均1.5倍の威力に跳ね上がることも分かってるわ」


「ルシル・ピアゴがデッドショットで使用している方法か

それにしても1.5倍も・・・」


「ファイア系マナであっても使用可能よ

ショット事体にウォーター系マナの付加がほどこされているから、ファイア系のウェポンを使用した後、すぐに冷却してくれるの

もちろん、ファイア系を発動中にウォーターを発動してしまえば、相殺してしまう可能性もあるから撃ったあとすぐに冷却するようになってるわ

でも、限度があってソロのお兄さんのスミスさんの高温すぎるマナは、使用できないわ」


「あれは、触れただけでも、体を蒸発させるほどの威力があるからね・・・」


「あそこまでの高温じゃなければ、セルフィのマナも使えると思うわよ」


「一般的なファイア系マナならいいということだね」


「うん。ただ、ウォーター系で氷のマナは、ロングショットには、不向きだわ

弾丸事体が、氷で覆われるから空気抵抗がありすぎて、距離が開けば開けるほど、精度が落ちるの

逆にエアー系マナは、空気を切り裂いてくれるようで、平均1.7倍の威力を計測したわ

エアー系のマナが使える兵士には、ロングショットの適正があるともいえるかもしれない」


「なるほどね」


「サンダー系なども含めて、平均1.5倍ということね

ただ、射程距離は2kmと言ったけど、実践で精度を崩さずに、使用できる距離は、500mといったところね

相当な訓練を積まないと2kmからの狙撃はできないわ

訓練を積んで、エアー系のマナを付加したら、もしかしたら、2kmを超える人も現れるかもしれないけど・・・」


「500mあれば十分だよ

100m離れても使える武器なんて、この世界には存在しないんだから、使われたら何が起こっているのか相手には、分からないだろうしね

100mでも、狙撃している相手を見つけるのは、難しいのに、500mあれば、S級ランクの相手じゃなければ、見つけられないね」


「ロングショットは、アドバンスドヘビーマシンガン→ビッグショットと同じように、訓練されたクリスチャン兵士にしか認証されないようにされているから、奪われたとしても敵は使用できないわ

あとスコープを覗いて、精確に射撃するのは難しかったから、デッドショットと同じように、ミカエルと同期させて、脳内でロングショットのロックオンが出来るようにしたの

そうすることで精度をあげることができたわ

デッドショットのように銃身が動くわけじゃないから、自分で銃を動かす必要があるけどね」


「よく考えられてるね

関心するよ」


「ありがとう

あとデッドショットも改良したわ」


「そうなの!?」


「デッドショットは、ワルサーP99を改良したものだったけど、ルシルさんがいうには、大型のモンスターなどには、何発も攻撃しないと仕留められないらしかったの

だから、ルシルさんぐらいの兵士には、ハンドガンの中でも威力があるデザートイーグルを製造して、デッドショットに改良してみたの 

デザートイーグルは、マガジンを使用するので、装弾数8発と多く、最高の威力を持つ44マグナム弾を使用可能

ハンドガンながら、アサルトライフルと同等の威力を持つ。全長27cm 重量2kgの武器よ

だから、大型モンスターにもハンドガンで対応できるようになったわけ

ワルサーP99で象やバッファローを倒すのも難しかったのに、さらに大型モンスターとなったらショットだけでは頼りなかったしね」


「それだけ威力があがったのなら、撃つ方の衝撃も凄いんじゃない?」


「うん・・・。デッドショット改は、女性には使用は無理ね

ただのデザートイーグルなら訓練すれば使えるとは思うけど、デッドショットは、視認した情報から銃身が移動して、横に発射する場合もあるので、マナや身体強化しているルシルさんのような人にしか使えないわ

ルシルさんにしても、デッドショットと腕を固定させるハンドバンドをセットにしてもらってるの

そのハンドバンドは、衝撃を吸収してくれるようにしているわ

あと、一作目のデッドショットは、左右45度程度しか銃身が移動出来なかったけど、デッドショット改は、前方45度、上下の移動も出来るようになって、電脳測定器を積んでいるヘルメットをしていれば、ロックオンする時間が短縮されて精度も高くなる」


「ショットだけで大型モンスターも倒せるようになったということだね」


「使えるのは、今のところルシル・ピアゴさんだけだけどね・・・」


「あそこまで、飛び跳ねて、デッドショットを使えるルシルが凄すぎるんだろうな・・・

あの動き、むっちゃ恰好いいもんな

ショットの面は、実践でも使えそうだね」


「わたしたちレジェンドの一番の戦力といえば、1万のウオウルフ隊だと思うんだけど、彼らの攻撃方法は、近距離型しかなかったでしょ

だから、一作目のデッドショットを応用した鎧にショット2丁を取り付けてみたの

マナを使わないウオウルフだと威力が上がるわけじゃないから、どれだけ役に立つのか分からないけど、遠距離攻撃も多少あればいいと思うんだけど」


「うんうん。それはいいね!

あ・・・でも、デッドショットを1万のウオウルフたちに使用するのは、ミカエルの負担がありすぎるんじゃない?」


「そこも大丈夫よ。ミカエルには、4台のブレイン(スーパーコンピューター)をデッドショットだけに使用するようにするの

以前、セルフィが提案した方法ね」


「なるほどね

独立したブレインなら、もし、ミカエルがフリーズ状態になったとしても、精度は変わらないというわけだね」


「うん。同じように、近接型の兵士たちのミカエルの補助もまた別の4台を用意したから、使えると思うわ

遺跡などでも試してもらっているけど、今のところ支障はないし、ミカエルの処理能力による補助の高さは、兵士たちから好評よ」


愛ほどの処理能力はないにしても、今のミカエルなら相当な補助がもたらされていることだろう

1・2秒先の相手の動きさえも予想表示してあらゆる情報を与えることも出来るだろう

俺がこの世界にきてウオウルフと戦ったぐらいのことは、レジェンド兵士たちも出来るようになるかもしれない


「ショットは、大丈夫だとして、無理難題を押し付けた例の件は、進んでる?」


「ボディーアーマーのことね」


「うん」


ニーナは、両手両足を広げた。


「アーマーオン!」


そう言うと、ニーナの足元からソースが這い登っていき、体を覆いはじめ、あらゆる機材がソースによって瞬間移動して、アーマーに取り付けられた。


ニーナの体に合わせた黒いボディーアーマーが装着された。それはまるで、小型のロボットのようだった。


「凄い格好いい!!」


「わたしが、これを使用したとしても、レジェンド兵士をうわまる攻撃力を持つことが出来るわ」


「凄いじゃないか!」


「でも・・・」


ニーナの声は、あまり喜ばしいものではなかった。


「動きが、極端に遅くなるの・・・パワーや耐久力強度は、このボディーアーマーを付ければアップできるけど・・・人間の動きよりもかなり遅くなってしまうわ・・・

セルフィやスミスさんがこれを使用したら、逆に弱くなっちゃうでしょうね・・・

せっかくのスピードが殺されちゃうし、パワーもボディーアーマー以上に二人はあると思うから・・・

ミカエルの人型ソースは、今ではかなりのスピードで動けるようになってるけど、それも人間を超えるものではないのと同じね

それに動かすためのエネルギーがもの凄く使うの

今のところ、使用できる時間帯は1時間程度ね」


「1時間もあれば十分じゃない?

だって、数を揃えれば、一台目のバッテリーをソースで補充させればまた、1時間程度稼働できるようになるよね?」


「でも、戦いの最中に、数秒間、動かなくなるのは、危険じゃない?」


「まーそこは、ソロとかがうまく調整してくれるよ

45分経過したところで、ボディーアーマー隊は、一度下がって、準備を整えるとかね」


「でも、この動きでは、本当に戦えるのか分からないわ

一応、知的レベルFほどのモンスター相手には、負けなかったし、安全度もアップしたわ

知的レベルがDを超えるモンスターなどだとそうはいかないと思う

うまく避けられるだけかもしれない」


「ものは試しで、ロックの護衛を務めている猛虎隊50人の兵士に使用してみたら?

ロックは、パワーや耐久はあっても、スピードがないタイプだったから、ミカエルの人型タイプを盾として使用して、その50人がサポートしていたわけだから、その護衛もまたロックと同じように、スピード重視じゃなかったとしても、問題ないと思うけどね

研究を進めれば、スピードの面も改善していけるかもしれないよね」


「正直いってスピードの面は、行き詰ってるわ」


「そうなのか・・・」


「だから、人の戦い方とは離れた攻撃方法が出来ないかと思うの」


「どういうこと?」


「例えば、ウオウルフ隊にデッドショットを鎧に付けたように、動きが遅い分、パワーがあるから大量の武器をボディーアーマーに装着させるの

セルフィには、禁止されている例のものも積めれば、実践でも効果的だと思うんだけど・・・」


「ミサイルのことか」


「うん・・・」


ワグワナ法国と戦う以前から、ミカエルのソースによる中大型マシンを製造していた。

それらには、ビックショット、アドバンスドヘビーマシンガンやミサイルが搭載されていたが、強力すぎることから、ワグワナ法国では使用しなかった。

敵の被害も減らすために、使用したのは、小型のドローンだけで、しかも殺傷力がない麻酔銃を使用していた。

そして、レジェンドの地下には、実は隠れて、大型ミサイルを製造していた。


「それについては、あまり乗り気がしないんだよね

ミサイルは特にね

サムエル・ダニョル・クライシスのような俺たちには、どうしようもない相手にだけ使う奥の手として隠しておきたいと思ってるんだ

ワグワナ法国の時もそうだったけど、ペルマゼ獣王国との戦いには、帝国の軍隊が出動するからミサイルの存在は隠しておきたい」


「そうよね・・・

アドバンスドヘビーマシンガンも装備するのは、ダメかな?」


「いや、今回の戦いのおいては、アドバンスドヘビーマガジンは使用しようと思っていたから、問題ないよ」


「だったら、動きは遅くてもパワーがある分、積み込んで、戦力になると思うわ

あとこういった近距離武器も考えてみたの」


ニーナのボディーアーマーの両腕手首に、まるで電動のこぎりのような丸く回るものが出て、動き始めた。


「グラファイトで作った刃物よ

兵士のように剣を振り回すよりも、ボディーアーマー事体に武器を取り付けたほうが効果的だと思うの

また、小型ドローンと連動した中距離武器」


ボディーアーマーのまわりに、3体のドローンが飛び回り、そのドローンには、同じように電動のこぎりがまわっていた。


「頭の中で視認した敵をこれで攻撃できるの

鎧などを着ている相手には、どれほどの効果があるのか分からないけど、鎧がない場所への攻撃が出来れば、武器になるわ

まわりの味方の脅威にも成りかねないけど、ボディーアーマー隊でまわりを固めていたのなら、彼らには危険はないわ

ロックさんもミカエルの人型ソースも大丈夫だと思う」


「あとは、それらの武器や弾倉などの補給問題だけど、マナソースがあれば、ほとんど無尽蔵に転移して補充できるから、大丈夫だな」


「そうね

マナソース1体が一日に転移させられる体積は、成人男性と同じ程度、70kgだから、2体使用しても、140kgもの火薬を持っていることになるわね

アドバンスドヘビーマシンガンなどは、普通は守りに適した武器で、地面などに固定されるものだけど、マナソースがあるから、移動する攻撃側にも使用できるわ」


「ペルマゼ獣王国は、一日も早く滅ぼすべきだと思ってる

でも、獣人の国だから、今までの戦いのようには被害を少なくすることは出来ないと思う

無理難題ばかり押し付けてしまっているけど、頼むね」


「はい!」


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