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248章 階層ボス

遺跡の1階のラタトクスのアイテムでさえ銀貨12枚になったのなら、さらに深層に行き、強いモンスターのアイテムを売れば、もっとお金になるだろう。

そうすれば、こどもたちに、ほしいものを買ってあげることができる。

お金が貯まれば、洞窟で住むのではなく、どこか遠くの街で家を手に入れられるかもしれない。

3人で今よりもいい暮らしが出来るかもしれないのだ。


クーリナは、ハリキリ、遺跡深くへと進んでいった。


遺跡内部は、真っ暗なので火などの明るさが必要だったが、クーテンが、木の箱を2つ作ってくれ、その中に石を敷き詰めて、木の枝をその中にいれて火を燃やし続ければ、ある程度の時間は明るさを保つことが出来る。


階層を潜れば潜るほど、モンスターの強さは少しずつ強くなっていくようだ。

クーリナは、地下10階まで進んでいた。

すでにここまでで倒したモンスターを消化して、エネルギーの確保は十分できたし、ドロップアイテムも体の中に沢山回収した。


この10階を調べたら、今日は戻ろう。


10階のモンスターは、どんなものが現れるのかと警戒しながら、進んでいく。


奥の方で、影が動いた。


近づき、火をかざして、そのモンスターを確認した。


なんだ・・・あのモンスター・・・。犬系モンスターのようだが、体が腐っりかけてるみたいだ・・・。

見た目が気持ち悪い。


腐った犬は、仲間を呼び寄せる習性があるのか、ぞろぞろと奥から犬たちが、集まって来た。


集まりきる前に、倒す!


クーリナは、分身体に火の確保をまかせ、腐った犬の方に、走り込んだ。


ロングソードを手に持って、犬の高さに横一線で、振りぬいた。

犬は、動きが鈍く、その攻撃をまともに受けて、数匹が切り裂かれた。

腐りかかっているからか斬った感触がよくない。


腐った犬は、痛みがないのか、斬られたという反応もなく、そのままクーリナの方へと向かってきた。

首をはねた犬の体も、進んでくる。


首をはねても死なないのか!?


よくみると、首が斬られた犬は、完全に斬られておらず、腐った肉が紐のように頭の部分と長くつながっていた。


試しに、その長く伸びた肉を切ると、体のほうが、バタリと地面に倒れ、動かくなる。


首のほうは、首だけで動こうとしていた。


どうやら、体は腐っているが、脳はそのまま生きているようだな。


クーリナは、体から無数の長い針を伸ばして、腐った犬の眉間に突き刺した。

そして、犬の脳をそのまま破壊した。


犬は、バタバタと地面に倒れ、動かくなる。


やっぱり、弱点は、頭か。


見た目で驚いたが、動きが鈍いのだから、考えようによっては弱いモンスターだな。


犬は、仲間を沢山、呼びつけるが、クーリナは、倒しながら、地下10階を進んでいった。

倒すごとに体にパワーが蓄えられていくのを感じる。


どの部分が売れるアイテムなのか分からない場合は、コアだけを回収して、体の中に保管していた。


この腐った犬も倒れたものの胸に針を刺して、コアだけ回収していった。


ん?


大きな・・・扉?。


扉を押すと、遺跡の入り口のように簡単に開くことができたので、中に入る。


地下10階の中心部には、今までにはなかった大広間があり、そのさらに中心に、丸いものが、石の台の上に置かれていた。


これが、たぶん封印の珠というやつだろう。


やっと手に入れることができた。


クーリナは、封印の珠に手を伸ばして、回収した。


もうそろそろ帰るとするか。今回のドロップ品を売れば相当な金額になるはずだ。

体が少し大きくなるほどのアイテムを体に収納することができていた。

ランプなどを買いそろえれば、さらに深いところにも行けそうだ。


村の付近にいる食べられそうなモンスターや動物を適当に狩って、持っていけばさらに金になるだろう。


あれ・・・


なんだ・・・扉が開かない?


広間に入った時は、簡単に開けられた扉が、まったく動かなくなった。


力づくで、扉を殴ってみたが、ビクともしない。それどころか、扉や壁に触ることもできなかった。


出られない・・・!?


どういうことだ・・・。


!!


上に何か気配を感じて、素早く移動した。

上側に目を増やして確認する。


分身体の右手が腐ったかのようにドロドロになり、クーテンが作ってくれたランプを落としてしまっていた。


上には、大きな犬のモンスターが高い天井を逆さまになって対峙していた。

体は、腐っている肉もない、骨だけのスケルトン系モンスターだ。


カコカコと顎を動かす音が響く。

ただの犬スケルトンではないのは、その大きさからも分かる。

5mはありそうなその巨大さに反して、高い天井を普通の犬が走るほどの速度で移動している。


どんな攻撃をされたのか分からなかった。


火は地面に広がっていて、もう一体の分身体も2つ目のランプを持っていたが、この火が消えてしまえば、危険極まりない。


出来れば、地面に燃え広がった火が消える前に、瞬殺したいが、どこを狙えばいいのか分からない。

スケルトンには目もなければ、脳もないので、腐った犬モンスターのように頭を攻撃して倒すこともできないだろう。


広場の奥からまた気配を感じた。


さきほど戦っていた腐った犬系モンスターが、この広場にも現れ、クーリナと分身体を囲もうとしはじめていた。

数は、20匹以上いる。


まずは、こいつらを倒したほうがいいのか


クーリナが、動こうとした時、右側の空間に違和感を覚えて視認すると、空間に緑色の気体のようなものが、右腕に当たった。その右腕がドロドロに垂れ落ちた。


なんだ!?


腕が腐ったかのように、ドロドロになり、右手が地面に落ちた。


すぐにその緑色の気体から離れる。


右腕といっても、体から生やした腕なのですぐに腕を戻せるが、よくみると、ドロドロになった部分が、ゆっくりと体のほうに登っていき、さらに体を腐らせていっていた。


すぐに、その部分を切り落とす。


腐った犬、数匹が、そのクーリナの後ろから襲い掛かり、背中にかみついた。


「ぐあ!」


新しく作った腕で、犬を掴んで、放り投げるが、噛みつかれた背中も腐り始めた。


また、体の一部を切り捨てる。


スケルトンをみると、まわりに先ほどの緑色の気体をいくつも作っていた。

これからあれ全部で、攻撃しようということだろう。


そうか・・・。こいつらの攻撃は、生き物の体を腐らせるというものなのか・・・。


だったら、ヤバイ・・・体全体が、生き物の体で作られているのだから、あれに俺の体で作り出した剣や斧で触れても、腐ってしまうだけだ・・・


クーリナの周りを腐った犬が、じりじりと間合いを詰めて、逃げられる範囲をせばめてきた。


油断した・・・。俺は今まで、自分よりも強い相手に出会わなかった。森でも遺跡内部でも、ほとんど無傷の状態で相手を倒していた。


俺に勝てる奴はいないとさえ思い始めていた・・・。


蓄えた体をすべてドロドロにされ、俺はここで死ぬのか・・・?

こいつらと俺は相性が悪すぎる・・・。


扉さえ開けられれば、傷つきながらでも、逃げることもできるが、まったく外に出る方法が分からない。


扉に向かっても、開けられなければ、さらに行き場を失うだけだ。


スケルトンドックは、緑色の気体を飛ばしてきた。


クーリナが避けられないように、四方八方から気体の攻撃がくる。


クーリナは、左腕を犠牲にして、そこから抜け出そうとしたが、左腕は、その気体に触れても腐らなかった。


どうして、腐らない?


盾か!


サブリナが買ったほうがいいといって、手に入れた銅の盾・・・。これは腐らないのか!


銅の盾を持つ腕をムチのようにして、他の気体も消し飛ばしていく。


銅の胸当てもある!


体から、胸当てを外して、それを武器として利用する。


銅を持つ2本の腕で、気体を吹き飛ばしながら、腐った犬へと前進していった。


腐った犬も襲い掛かる。


クーリナは、犬の牙に注意しながら、体からいくつもの長い槍を出して、犬たちの頭を粉砕していった。


5つほどの目は、常にスケルトンドックへと向けておいて、動きを見逃さない。


しかし、地面で燃えていた火が消えて、明かりが弱まると、スケルトンは、奥の天井の暗闇へと姿を消した。


見えなくなったが、まずは、腐った犬だ!


スケルトンと戦うために、今のうちに全部倒さなければ!


命の綱ともいえる明かりを守るために、分身体は戦わせず、本体の体だけで、腐った犬の頭を粉砕していき、倒しきるが、上から突然、スケルトンドックが、クーリナの体を羽交い絞めにするように押さえつけた。


クーリナは、地面に倒され、地面に押さえつけられたが、すぐに押し返そうとするが、思った以上にパワーがあり、簡単に抜け出せなかった。


スケルトンは、口からあの緑色気体を大量に出して、クーリナの胴体を攻撃すると、腹部分がドロドロになり、下と上に、体が分断された。


「ぐあああぁ!!」


すぐに、二つの体を這いつくばるように、移動させ、スケルトンから距離を置く。


そして、腐らせられた表面部分を切り落として、さらなる腐食を回避した。


スケルトンが、上の部分の体に襲い掛かる。


腕を剣にして、スケルトンの首を切裂き、頭蓋骨が地面に転がったが、すぐに頭蓋骨は、宙に浮かんで、また骨の首に戻って来た。


なんだと!


槍をスケルトンの目に刺して、攻撃するが何の手ごたえもない。

腐った犬のようにはいかない。


スケルトンは、また、口からあの気体を出そうと口を大きく開ける。


下の胴体が、長く触手を伸ばして、上半身を掴み、下へと引きずりながら、素早く移動させ、捕まっていた体の一部を捨てて、スケルトンから距離を置き、気体の攻撃を何とかかわした。


どうやって、倒せばいい・・・?


あいつには、脳のようなものもなければ、心臓もない・・・。


頭蓋骨を切り離しても、何かみえない力のようなものですぐに元に戻る・・・。


倒せないだろ・・・。魔法などの攻撃で倒すしかない相手なのか・・・?


魔法なんて俺は使えない・・・。


そういえば・・・確か封印の珠に息をかければとか言っていたな・・・。


クーリナは、体から封印の珠を取り出して、素早く肺を形成し、息を吹きかけた。


封印の珠は、目の前で崩れ去り、クーリナの体に吸い込まれるように消えて行った。


感覚的に分かる・・・何か手に入れた!


でも、何を手に入れたのかまったくわからない・・・。


俺は魔法を使えるようになったのか?


どうしていいのか、分からないが、手をかざして、スケルトンを攻撃するようなイメージをするが、何も手から出ることはなかった。


なんだ・・・


俺が手に入れたのは何だったんだ?


何を手に入れたのかと悩んでいる間にも、スケルトンが、天井にいた時よりも数段早い速さで、クーリナに突進してきた。


クーリナは、銅の盾がついた腕を伸ばして振り回すように、突進してきたスケルトンの頭に叩きつけると、巨大なスケルトンが横に吹き飛んだ。


なんだ!?


スケルトンの頭蓋骨は、ひび割れていた。


さっきは、スケルトンのパワーは、俺と同じかそれ以上だったはずだ。


俺のパワーが増している!?


さらに、体の細胞を動かし、左腕に、パワーを集めるようにして、近づくスケルトンを銅の盾で攻撃すると、スケルトンの体が、粉々に粉砕された。


スケルトンの散らばった骨は、またすぐに再生しようとするが、クーリナは、攻撃を緩めず、盾をぶつける攻撃を繰り返していった。


巨大なスケルトンの体が粉砕されると、中に青色のコアがあることに気づいた。


これか!


このコアを攻撃すればいいのか?


盾で体を粉砕しながら、胸当てで、スケルトンのコアを思いっきり、叩きつけると、コアが半分に割れて、体から離れ、地面に転がった。

スケルトンの骨は、一斉に、地面へとバラバラに崩れ、動かなくなった。


倒した・・・のか?


スケルトンが動かなくなると、部屋の雰囲気が何か変わったように感じて、扉に近づき、開けようとすると、簡単に扉が動いた。


クリアしたのか・・・。


危なかった・・・。もし、サブリナの盾がなかったら、俺はやられていたかもしれない・・・。


対処法が分かれば、敵じゃなかったかもしれないが、本当に危なかった・・・。


封印の珠の魔法は、パワーをアップさせるようなものだったのか?


これ以上、深くにいくのは、まだ危険だということだ。

今回で勉強になったのは、硬質化した武具を作れる俺でも、装備を揃える必要があるということだ。


今回は、これぐらいにして、ドロップ品をお金にかえて、装備を充実させよう・・・。



スケルトン系犬モンスターの割れたコアと腐った犬のコアを体に保管して、来た遺跡の道を戻ることにした。


帰りの道にもモンスターは、現れるので、それらを倒しながら、さらにドロップ品を増やしていった。

身体強化系だと思われる魔法を行使しながら戻るが、来た時と比べて、約2~3割増しほどの効果があるようだった。


クーテンに作ってもらった即席の明かりを1つ壊してしまったな・・・。謝らないと・・・


それに、ちゃんとしたランプも買い揃える必要もあるな。


地上に出てみると、すでに陽の光りは、赤くなり、夕方になっていた。


はじめて地下10階まで進んだから遅くなってしまった。すぐに帰らないとな。


クーリナは、空高く飛びあがり、ハヤブサの羽で、急降下してゴブリン洞窟へと向かったが、分身体との交信が取れる位置に来て、異変に気付いた。


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