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247章 生活品

俺はモンスターで、生き物を捕まえ吸収すれば、生きていける。

俺ひとりなら、とくに必要なものはなく、このまま森の中で生活ができるが、今はこどもふたりと一緒に暮らしているので、手に入れたいものが出てきた。


森の動物などの肉や草、魚などは手に入れることは出来るが、ただ焼いて食べるだけだと味気ない。

クーテンは、草を食べるからいいらしいが、人間のサブリナには、料理と呼べる程度ができるぐらいの道具を手に入れたほうがいいと思える。

ふたりの服も手に入れたい。


俺が生きていくために、遺跡に何度も行ったが、1階に出てくるモンスターのラタトクスの歯やコアが大量に集まったので、こどもたちと一緒に、これを売ってお金にし、ほしいものを買いそろえることにした。


奴隷商人がいた大きな街には、行けないので、違う村に、三人で向かった。


村の前には、門番がいた。


こどもたちは、まだ追いかけられているかもしれないので、俺の分身体の体の中に入って行動させることにした。


そして、俺は3人の兵士に、体を変化させた。


狼兵の顔はもう使えないので、今まで吸収した動物たちの顔にして、村に入り込むことにした。


門番が、声をかけてきた。


「見かけないが、村には何しに来た?」


「遺跡でモンスターのアイテムを集めたから、村で売ろうと思っている」


クーリナは、大きめの袋に詰めてあるアイテムを門番にみせた。


「沢山、集めたな」


「ああ。まだ1階しか行ってないけどな」


「武器は、ここで預からせてもらう」


「分かった」


体の細胞を硬質化して作った剣や斧の武器を門番に渡し、門番は、さらに体を触って、他の武器がないのかを確かめた後、門を通してくれた。


「入れて、よかったね。お父さん」


「そうだな。あそこまで、チェックされるとは思わなかったが、門番に渡した武器の分身が、門番たちの動きも把握してくれるから、何か動きがあれば、教えてくれるから、取られて丁度よかったな

二人とも苦しくないか?」


「「大丈夫」」


「指名手配されているかもしれないから、冒険者組合アドベンシエーションには、行きたくないと思ってるんだが、アイテムを買ってくれるお店は、どんな店がいいんだ?」


クーテンが、体の中から返答する。


「ポーションなどを売ってる道具屋などがいいと思うよ

でも、冒険者組合アドベンシエーションで売るよりも安く買い取られちゃうと思う」


「どれぐらいが相場なんだ?」


「ごめん・・・そこまでは、分からないよ・・・」


「まーそうだよな・・・高く売れるといいんだが・・・」


それにしても、大きな街に比べて、この村の建物は廃れているようにみえた。


「あそこ!道具屋っぽいよ」



その店には、ポーションやアイテムなどが並べられていた。

店主らしき獣人がポーションを手に持って、宣伝してきた。


「旦那。新製品のポーションは、どうですか?

これは体力を回復するだけじゃなく、魔力水で作られたものなので、魔法力も回復する逸品ですよ」


「ポーションもいいんだが、その前に、モンスターからドロップしたアイテムを売りたいんだが、見てもらえるか?」


「そうですか。どれどれ」


店主は、袋に入ったラタトクスの牙とコアを台の上に出して、確認しはじめる。


「少し時間をくださいな」


「分かった」


その間に、店の品をみてみる。


色々なモンスターの牙やら角やら骨もあったが、瓶の中に水のようなものにひたされた何かの生き物の心臓まであった。色々な形や色のコアも並べられている。


「こんなものを買う奴らがいるのか・・・」


「うん。モンスターのアイテムは、武器や道具だけじゃなく、普段の生活で使っている物にも使われたりするんだ

例えば、このスケルトンの骨なんかは、馬車の座席部分に使ったりするんだね

スケルトンの骨は、半分生きているようなものだから、長持ちするんだ

たとえ骨が削れても時間が経つとそれぐらいな再生するからね」


「そうなんだな・・・」


確かに、その骨は、カタカタと少し動いていた。


「一角うさぎの角には、魔力が少し宿っていて、その角と鉄を合わせて作られた包丁は、よく切れるみたいだね」


「なるほどな」


店主が奥から声をかけた。


「旦那いいですか?」


店主のほうへと歩いていく。


「ラタトクスは、Fランクモンスターですから、それほど高くは買い取れません

ですが、これだけの量ですから、銀貨5枚ほどで、どうでしょうか?」


クーテンが、店主に言い放つ。

「銀貨5枚は、安すぎるでしょ!他の店なら20枚で買い取ってくれるよ」


「さすがに20枚はありませんよ・・・せいぜい10枚が相場でしょう」


「俺たちは、まだ遺跡をさらに深くまで行くつもりだ。その時にもアイテムを手に入れるだろうが、今、良い値で買い取ってくれるのなら、またこの店に卸してやってもいい

どうだ店主?」


「分かりました。それでは、銀貨12枚ということで」


店主は、ジャリジャリと銀貨12枚をケースにいれて渡した。


「店主。さっきのポーションは、いくらなんだ?」


「さっきのは、新製品のポーションですからね

銀貨3枚で売っています」


「そうか。そっちのポーションは?」


「これは、ただの回復薬だけですから銀貨1枚です」


「それをひとつ買おう」


サブリナの縄でつけられた首回りの傷は、もう治ったが、またこどもたちが、怪我をした時のことを考えて、ポーションを買うことにした。


そのほか、植物の油や塩、コショウなども買った。


道具屋を出て、次は、金物屋を探す。


「相場を知らないのに、よく高く売ることができたな?クーテン」


「お店側からしたら、安く買おうとすると思ったんだ

だから、安すぎるみたいな言い方をすれば、少しは高く売れるかなって思ったの」


「銀貨5枚が、12枚になった。クーテンのおかげだ」


「えへへ」


金物屋には、鍋や包丁も売っていたが、そのほか、釘などの色々なものも置かれていた。


ナイフは、作れるからいらないが、鍋は買っておきたい。

調理板なども売っていたが、それは木で自分たちで作れるので買わなかった。


他のお店などもみていると買っておきたいものが目に入るが、所持金がそれほどないので、買うことはできない。


目的の服を買いに、衣服屋にいく。


大きな街の店ではないので、ドレスなどは数点しかなく、ほとんどが庶民的なものばかりが置かれていた。


いい服ではないが、銀貨1枚で、4セット分ぐらいのこどもたちの服を買いそろえることが出来た。


鍋も背中に持って、目的のものは手に入った。


「他に何か買ったほうがいいものとかないか?」


「芋とか買ったらどうかな?お父さん」


「イモ?」


「うん。芋をいくつか買って、芋の芽を地面に埋めておけば、芋はすぐに育って、また食べられるようになるかもしれないでしょ」


「そうか・・・畑を自分たちで作るということか。さすがクーテンだな」


大きそうな芋をいくつか選んで、ラタトクスのアイテムを入れていた袋に詰める。


「サブリナも、何か買っておいたほうがいいと思うものはないか?」


「お父さんの鎧とか買ったらどう?」


「鎧?」


「だって、お父さんは、遺跡でモンスターと戦ってるでしょ

鎧とかがないと危険だもの・・・」


「ありがとう。サブリナ。でも、俺は武器だけじゃなく、鎧も体で作れるから大丈夫だ」


「その鎧もお父さんの体なんでしょ

盾1つぐらいは、買って装備したらどう?」


「残りのお金は、銀貨4枚だからな・・・もったいない気がする・・・」


クーテンも、少し怒ったように言う。


「サブリナの言う通りだよ!

1つぐらいは、防具を持っていたほうがいいよ!」


「そうか・・・?でも、銀貨4枚で買えるものなのかな・・・」


ふたりに言われて、防具屋に行ってみた。やっぱり、銀貨4枚では、盾は売っていなかった。


「銀貨4枚で、盾を売ってもらえないか?」


店主は、睨みつける。


「銀貨4枚だって?店に置いてあるものではないな

けど、倉庫にあるものなら、銀貨2枚でゆずってやってもいいぞ」


「本当か」


「ああ。ついてこい」


店の外の倉庫をあけて、ボロボロで汚い銅の盾をみせた。


「銀貨2枚で買えるのは、これぐらいだ」


「分かった。それをくれ」


サブリナが、倉庫の奥のものをみて聞いた。


「あの胸当ても銀貨2枚?」


「しょうがねーなー。あれも銀貨2枚で売ってやるよ」


「ありがとう。おじさん!」


「なんか、女の子みたいな声だな。あんた」


「え・・・生まれつき、こういう声で・・・」


「持ってけ!」


「ありがとう。おじさん!」


いかつい熊系モンスターから少女のような声が聞こえるので、店主は変な顔になる。


どうみてもお古の汚い盾と胸当てだったが、こどもたちが選んでくれたものだったので、少し嬉しく感じた。

本当なら、防具などがないほうが自由に体を変化させることができるので、ないほうがいいと思えるが、戦う時には、この2つは装備していこうと思った。


クーテンが、1つ提案した。


「ねー。お父さん。冒険者組合アドベンシエーション冒険者アドベンチャー登録してみたらどうかな?」


「それは危険じゃないのか?」


「お父さんは、姿を変えられるんだから、誰も気づけないと思うんだけど・・・」


冒険者アドベンチャーになると、どんな良いことがあるんだ?」


「ドロップ品を売ることもできるし、モンスターを持っていけば、それもお金になる

依頼を受ければ報酬ももらえるよ

冒険者アドベンチャーに伝えられる情報とかもあると思うから僕たちにはちょうどいいと思うんだけど・・・」


「情報か・・・確かに、いいかもしれないな」


村のお店の片隅に占い師のように、小さなテーブルに座った老婆が、声をかけてきた。


「クーリナ殿。其方の能力値のアドバイスをしてしんぜよう」


??


なんだ・・・どうして、あの老婆は、俺の名前が分かるんだ!?


「たぶん、鑑定スキル持ちのひとだ」


「鑑定?」


「うん。お父さんに鑑定スキルを使って、生命数値レベルをみたんだよ」


「そんなの見れるのか?」


「そうみたいだね」


「悪い事はいわない。怖がらないでこっちにお座り」


クーリナは、恐る恐る椅子に座った。


「鑑定というスキルでみたのか?」


「わたしの鑑定スキルは、熟練度が高い

例え、あんたが、鑑定拒否を心で念じたとしても、わたしにはみえるのさ」


「鑑定拒否?」


「鑑定スキルをただ持っていたとしても、相手が見られたくないと鑑定拒否を一度でも念じれば、あんたの内容は、名前すらみれないのさ

わたしの場合は、熟練度Bだからね

あんたが拒否しても、みえると言ったのさ

高い鑑定スキルを持っていたとしても、相手が隠匿スキルや恩寵、高い生命数値であるのなら、みることも出来なくなるがね」


「なるほど、俺の数値だかなんだかをみたから、俺を脅そうとでもいうのか?」


「そんなことはしないよ

こんな老婆がそんな商売をしていたら、こんな仕事は続けられないさ

初回だけは、無料さ

あんたの能力をみて、1つだけ助言を与えてやろうというわけさね

2回目からは、コレを取るよ」


老婆は、お金のサインを手で出しながら、薄気味悪く笑った。


「助言というのは、なんだ?」


「鑑定スキルの情報を1つすでに与えたが、もう1つ情報を与えてあげるさね

あんたの仲間には気をつけな

あんたからみれば、仲間のように見えるかもしれないが、油断するんじゃないよ」


「仲間?誰のことだ?」


「与える情報は1つだけだと言ったさね

これ以上のことを聞きたいなら、コレを出しな。コレを」


老婆はまたサインを出した。


お金は1銅貨もないので、椅子から立ちあがって、こどもたちと冒険者組合アドベンシエーションに向かった。


あの老婆は、後ろにいた、分身体に隠れた、こどもたちのことを信用するなと言ったのか?

この子たちを信用せずに、誰を信用しろというのか・・・

鑑定で、人が裏切るとかそんなことまで読み取れるものなのか?

あの老婆は、意味不明だな・・・

ただ、こどもたちのことは、黙っていてくれるみたいだな


「クーテンの言う通り、冒険者組合アドベンシエーションで登録してみよう」


「うん」


こどもたちも、さっきの老婆のことを少し気にしていたみたいだが、俺が気にしないように振舞うと何も言わずについてきた。


老婆がいっていたことが、本当なのか分からないが、鑑定拒否を心で念じた。


大きな街の冒険者組合アドベンシエーションとは違い、こじんまりとした、小屋のような建物の冒険者組合アドベンシエーションをみつけた。


中には、獣人の男性が、テーブルに座って本を読んでいた。


「ここは冒険者組合アドベンシエーションでいいのか?」


「おうよ

冒険者アドベンチャー登録でもしにきたのか?」


「ああ。そうだ」


「3人か?」


「いや、俺だけだ」


「そこにある書類を読んで、納得したら、名前を記入してくれ」


書類は、普通に読むことができた。

冒険者アドベンチャーの心得のようなものが書かれ、ルール事項が並んでいる。

上の空欄に名前を書くところがあった。

念のため、本当の名前クーリナと書いておいた。


「これがお前のカードだ。紛失したら再発行には、金をもらう

以上だ」


「え・・・もう登録はいいのか?」


「ん?ランク越えでもしたいとでもいうのか?」


「ランク越え?」


冒険者アドベンチャーには、ランクがあって最初はFランクから始めてもらう

だが、自分が実力があるというものは、鑑定や試験を受けてもらって、高いランクからはじめることができる

それがランク越えだ

こんな村で、登録する冒険者アドベンチャーは、ランク越えしようなんて者は、ほとんどいないが?

お前も鑑定拒否してるみたいだから、するつもりもないんだろ?」


「そういうことか

ああ。俺はFランクからはじめられればいい」


「まー他の街の冒険者組合アドベンシエーションでもドロップ品を納入できるが、出来ればここで納めてくれるとありがたい」


「分かった」


「依頼は少ないかもしれないが、ドロップ品は正規の値段で組合が保証するからな。食べれるモンスターの肉は、逆に高く買うこともできる場合もあるからな」


「そうか。なるべく、ここにもってくることにしよう」


「おう。話が分かるな。えーっと・・・クーリナか

よろしくな」


「ああ」


名前は鑑定でみたのではなく、書類に書かれた文字をみて名前をつげていたので、どうやら鑑定拒否はうまくいっていたようだ。


クーリナは、手をあげてすぐに出て行った。


こんなに簡単に登録できるのなら、はじめから登録して、ここでラタトクスのアイテムを売っていればよかったと思った。


この村が特別なのかは分からないが、村人の多くが、ガリガリの体をしていたので、食料の肉を持ってきた場合は、重宝されるのかもしれないなと思った。


「あとは、この村でやることはあるか?」


「わたしは、ないと思う」


「よし、じゃーうちに帰ろう」


「「うん!」」


三人は、門番から武器を返してもらい、村を出て、遠くまで歩いていってから、空を飛んで、自分たちの洞窟に帰っていった。


途中、モンスターをみかけたら、エネルギー補給として、分身体に倒させて、消化させた。

自分たちの森のモンスターは、倒せないが、この村の付近のモンスターなら、倒してもいいと考えたからだ。


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