表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
236/269

236章 英雄たちの台頭4

なんだ・・・?


真っ暗だ・・・


あれ!しゃべれない!?


というよりも・・・何も聞こえない・・・?


体を動かそうとしても、うごけない・・・


体があるのは感じるが、腕や足などがない??


微妙に、本当に僅かだけだが、体が動くが、それ以上は、まったく体を動かすことができない!?


なんなんだ・・・なんで、こんなに暗いんだ?


何が起こった!?


何で俺はこんな状態になってるんだ・・・。まったく思い出せない・・・。


誰か!助けてくれ!真っ暗なんだ!動けないんだ!


叫ぼうとするが、声の振動が、体に響くこともないことから、まったく音が出せていないと気づく。


耳だけじゃない・・・。声が出せていない!?


口を開いている感覚もない・・・


どうすればいいんだ・・・



―――1時間、2時間経っても、その状態は変わらなかった。叫ぼうとするが叫べず、まったく身動きも取れない。

意識だけはしっかりしている。


毒でも盛られたのか?


そうだ・・・そうに違いない・・・体が動かせなくなるような毒物があってもおかしくはない。


俺は誰かから憎まれていたのか?何か悪いことでもして、刑罰でも受けているのか?


いや・・・崖とか高いところから落ちて、意識だけある状態とか・・・?そんなことも考えられる・・・

その場合・・・毒物よりタチが悪いぞ・・・


毒物ならいつかは効果が消えて動けるようになるかもしれないが・・・怪我をしてこうなっているのなら、死ぬまでこのまま・・・??


動かなくなった俺を誰かが看病している状態で、目や耳などが使えないから、看病している人を感じ取れないとか・・・?


マジか!頼む!やめてくれ!


これが死ぬまでずっと続くのなら、今すぐ殺してくれたほうがいいだろ


そう思っていると、体が突然、動き出した。


え・・・?動いた?


いや・・・違う、俺じゃない、運ばれてるんだ・・・


うおおおおー!!!


なんだ!凄く早く動いたかと思うと、突然、動きが止まる・・・


うおおおお!!


また、早く動いた!


そして、すぐに止まる!


なんなんだ・・・これは、乗り物か・・・?看病している奴が、俺の体を弄んでるのか?


もしかして、動かなくなった俺の体を無理やり動かして、体をほぐそうとしてくれてるとか?


刺激を外から与えているのかもしれない・・・。


俺が回復すると信じてくれているのか?


うおおおお!!


また、動いた!


それにしても、動きがランダムすぎる・・・もっと、リズムよく、刺激を与えてくれよッ!!


いつ動くのか、リズムに合わせられないから、毎回、動かれるたびに、驚くじゃないか!


バカなのか、こいつは!!


むちゃくちゃ、ストレスなんだけど・・・


うおおお!


でも、なんだろ、何度も動くのを体験すると慣れてきたのか、早く動かれても、死ぬようなことや痛みがないから・・・驚かなくなってきた。どうやら、危険なことをしているわけではないようだな・・・


あ!ああああ!???ああ??


なんだ・・・!?今度は、体を締め付けてきたぞ!


あ・あ・あ・あああ。なんだか、苦しい気が・・・このまま、押しつぶされる!?


やばい!やばいぞッ!!次は引っ張られる!!!


あれ・・・緩んだ!?


ふぅー・・・じわじわと、締め付けられるというか、体をひっぱられたというか・・・苦しかった・・・


ギャー―ッ!!


痛い!!痛い!!痛いぞぉぉ!!


もの凄い大きな物を、俺の体に押し付け、えぐろうとしているのか!!??


痛い!やめてくれ!


マジで!それ死ぬ!!


ダメだ・・・苦しい・・・これ以上、これを続けられたら・・・しぬ・・・


やば・・・い・・・


やめ・・・った・・・?と・・・止まったぞ?


こいつ・・・看病なんてもんじゃない!


俺を殺そうとしているぞ・・・


そうか・・・たぶん、こいつだ・・・こいつが俺に毒を盛ったんだ・・・

どういう、経緯いきさつかは、分からないが、俺が完全に死なずに、看病するはめになって、どうにかして、邪魔になった俺を自然に死んだようにみせながら、殺そうとしてるんだ!


今・・・俺は殺される寸前だった・・・


やばい・・・このままだと殺される・・・


これは・・・イジメなんて、生易しいものじゃないぞ!



―――数日経ったような気がする・・・目や耳が壊れているから、時間の感覚も分からない・・・


看病する奴が寝ていると思われる時間は、まったく俺を運ぶ奴はいない。


だが、2時間に1回ぐらいは、突然、動かされるが、奴が起きている時と比べると、格段にイジメの回数は減る。


奴が起きている時は、数分に一回どころか、数秒に一回といった具合で、飽きることなく、俺の体を運び続ける。


そして、日に数度、また俺を殺す限界まで痛めつける・・・もの凄い痛み・・・苦痛を与えてくる・・・


なんて陰険な野郎なんだ!


相当、嫌みな奴だぞ!


恨みで毒を盛ったのなら、また毒で殺せばいいだろうに・・・


でも、どうして、こいつは、俺に殺すほどの痛みを与えて、いつまでも、生かしておくんだ・・・??意味が分からないぞ・・・


あれ・・・もしかして・・・!毒じゃない・・・?


俺が怪我をして、この状態になって、優しさから看病するようになったが、何の変化も反応もない俺に疲れを感じはじめ、そのストレスから、俺を殺そうと考えだしたのかもしれない・・・


たぶん、そっちだ!


良い奴なんだ!こいつ・・・俺のために看病していたけど、疲れたんだ・・・


そうか・・・だから、俺をすぐに殺さないんだ・・・殺せないんだ!


すまない・・・俺のせいで・・・そこまで追い込んでしまったのか・・・


いっそのこと・・・俺を殺してくれ


お前には、何の罪もない・・・お前は、良い事をしてくれていたんだ



ォギャーーーアアア!!


痛い!痛すぎる!!


俺の意思が通じたのか・・・また、あのヒドイ痛みを・・痛い・・・痛い痛い・・・


体に何を押し付けてるんだ!!毎日その同じ物を使ってストレスを発散してくる・・・


また・・・やめた・・・?


やっぱり・・・お前は、俺を殺せないのか?


この苦痛を毎日味あわせるのは、殺すよりも苦痛だと分からないのか・・・?



俺には、お前の苦しみを解放してあげることが出来ない・・・自分で命を絶つことさえも出来ないんだ・・・

まったく体を動かせないんだから・・・


いや・・・まったくではない・・・微妙に、本当に微妙にだけ、体を動かすことができる。


ほんの少しだけだが・・・


でも、俺が動いて反応していることに気づいたら、こいつも喜ぶんじゃないのか?


まったく反応がないから、何をしているのか分からなくなってストレスになるけど、何か反応が見えるようになれば、小さな希望をこの男?女に与えることが出来るかもしれない。


無駄かもしれないけど、動かすぞ・・・こいつが、気づくまで、何度も何度も、体を動かすんだ!



―――俺は、何度も少しだけ動かせる体を頑張って動かし続けた。

だが、いつしか、俺が動くたびに、こいつは喜ぶどころか、逆にあれをやってきた!


そう・・・俺を痛めつける行為だ!


俺が動く度に、痛めつけてくる。


痛い!痛い!痛い!!


動かす回数とともに、痛みは増していくようだった。


ということは、こいつは、俺の反応に気づいている証拠だ。


だが、こいつは希望どころか、逆に俺を痛めつける・・・


もぞもぞと動いたところで・・・希望になど、ならないという無言の現れなんだろう・・・。


いや、こいつは、ストレスを発散させるために、俺に罵声をあびせかけているかもしれないが、俺の耳が壊れているから、気づけないだけなのか?


もう・・・動くのは、やめだ。痛めつけられるだけだ・・・。痛いのは、いやだ・・・。


こいつは、相当、心が病んでいるな・・・

生かしたいという気持ちよりも、殺したいという気持ちのほうが、もう上回ってしまっているんだ・・・。


俺は数日前に、意識を取り戻したが、こいつにとっては、何カ月、何年という看病の日々だったのかもしれない・・・。


ちょっと動いただけで、それが希望になるなんて、俺の願望でしかなかったんだ・・・。


こいつが、俺を殺すまで、俺はずっとこのままなのか・・・?


動きが・・・止まった?


どうやら、寝る時間が来たんだろう・・・


俺はどうすれいい・・・このまま、この状態を続けなければいけないのか・・・


何も出来ないのは、苦しすぎる・・・


何か頭の中で、物語でも、作り、イメージして、時間を費やそう・・・。


うさぎと亀が競争するような物語を聞いたことがある気がする・・・。


なんだったっけ・・・、どうして、うさぎと亀が競争なんてはじめようとしたんだろう・・・


どう考えても、競争しないだろ・・・


何かの大会?


ハンデがありすぎて、どんな大会だよ・・・まったく・・・


でも・・・亀が勝ったんじゃなかったっけ・・・?


えーー!!どうやって亀が、うさぎに勝てたんだ・・・


不思議だ・・・あのノロマな亀が、あのうさぎに競争で勝つ!?凄すぎるだろ!


うーん・・・のろまな、亀でも競争に勝てた理由・・・なんだったっけ・・・


あーー!!ダメだ。思い出せない!!


ふぅー・・・でも・・・どうやって勝ったのか思い出せないけど、1つだけ確かなことがある。


それは、亀は、前に進んだということだ。


前に進まなければ、いくら亀でも競争に勝てるわけがない。

止まっていたら、空の鳥に捕まえられて、運んでくれたとかそういうオチじゃなかったはずだ。


そう・・・。亀は、あきらかに、ゆっくりとしか動けなかったが、それでも前に進んだんだ。


何か・・・勝手に頭で想像していた物語に、励まされた感じがする・・・俺はアホか・・・


アホでもなんでもいい。俺に出来ることは、思考することぐらいだ・・・。それしか、何もできない・・・。


俺を運ぶやつは、俺を看病している奴と同一人物なんだろうか・・・?


ひとりで、毎日、俺を動かしているのか?


俺の体重が70kgぐらいだったとして・・・それを早いスピードで一日中、動かし続けるとか、人間ひとりが抱えて、出来るわけが無い。


だから、何かに乗せている。


何に乗せてるんだろ・・・。上だけじゃない。横にも、下にも、円を描くような動きになることもあって、ランダムに動くようだ。


紐で、ぶら下げてるとか?


上に急激に、引っ張ったり、手を放して、突然、落としたりしているとか?


でも、紐とか、融通の利かない動きじゃないんだよな・・・もっと、自然というか・・・生き物か!!


牛とか、馬とか!!


いや、ジャンプするものだ!


急にジャンプする生き物に、俺を乗せてるんだ!


70kgぐらいの俺の体を軽々と抱えたまま、自由自在に疲れることなく、あいつが寝ている時間以外は、動き続けるタフな生き物!


時々、高い場所にジャンプしたと思ったら、すぐにヒョイっと飛び降りるような生き物だ


どんな生き物だよ!


飛び跳ねまくる馬でも、そんなこと出来ないだろう・・・。


俺が知っている生き物では、あの動きにピッタリのものは、思い浮かばない・・・。


観たい!!見てみたい!俺を乗せている動物を・・・どうせ死ぬなら、答えを観てから死にたいな・・・


見たい!見たい!見たい!


目でみるのじゃなく、心の目でみる?なんて、訳の分からないことでも、なんでもいいから、世界をみて、動物と看病してくれている奴も見たい。


目が見えていたのは、当たり前のことだったはずだ。まぶたを開いて、その目でみるだけだったんじゃないのか?


そんな簡単なことも出来ないのか?


そう・・・まぶた・・・まぶたをゆっくりと、開いて・・・深くイメージするんだ・・・自然にまぶたを開いていたことを心に響かせるんだ!!


まぶたがゆっくりと開いていった。


!!!!


みえ・・・た・・・!??たああああああ!!??


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ