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235章 変化

ダフキンさんによるとたんがもたらす力は、それぞれ違うということだが、ロックをみて、どういうことなのだろうと源は、驚く。


たんで作り出した気の球をロックが口にいれると橙色のようなオーラがロックの体を覆ったかと思うと、岩で固められた体のあちこちが、ぼこぼこと膨れ上がったり、逆に凹んだりしはじめた。


「おい・・・ロック・・・

それ何してるんだ!?」


「分からない・・・

だが・・・変な感覚だ・・・

体が何だか水のように感じる・・・」


「水?」


ロックの体があちこち、変化していることが異常だと思いダフキンに連絡した。


『ダフキンさん

ロックが気の球を口にしたとたん、岩の体がでこぼこに変化しはじめたんですが、これは普通じゃないですよね?』


源は、連絡と共に、ミカエルにモニターをダフキンに持って行かせ、ロックの様子を見せた。


『すみません

たんを使える者は限られていて、今まで、物質モンスターがたんを使い始めた時の変化は、わたしもみたことがないのです』


『源。物質モンスターの王であったとされる発明王セカンは、源が持つ武器デフォルメーションと同じように、体を変化させていたと軍王戦歴256ページに書かれています』


「そうか!」


源は、さやからデフォルメーションを抜いて、ダンベラの剣を変化させた。


「これはリトシスの力じゃなく、この剣、デフォルメーションの特長なんだ

この剣は、物質モンスターの王だったセカンによって造られたもので、帝国から俺がもらい受けた

もしかしたら、セカン王もたんを使って体を変化させていたかもしれない

そういった記載も帝国図書館の書物にはあるんだ」


ロックは、デフォルメーションの変化をみて、それに似せるように、右腕を意識を集中させた。


右腕の指がまとまり、鋭くとがり始めたと思うと、その腕が、剣のようになり、さらにデフォルメーションのように4本の剣に枝分かれした。


「そういうことか!俺の体は自由に体を変えることが出来るのか!」


ロックの背中がもぞもぞと、膨れ上がり、背中から2本のロックの腕が生えた。


「腕が増えた!?」


「おう!増やしてみたぜぅ」


興奮しているのか言葉も変になっているが、ロックは、あちこちの岩の体を色々な形に変化させはじめた。


「ロック。物質モンスターのたんは、俺たちとはまた、まったく違うようだな」


「イメージするとその箇所が自然とぐにゃぐにゃと動き始めちまうッ」



『ロックさん。たんは精神に大きく影響されるものです

ですから、心を落ち着かせて、冷静になってください

心を乱しながらたんを使い続けると余計なエネルギーを消費して、体を疲弊させてしまう場合もありますので、注意してください』


ダフキンが、ミカエルの通信を使ってワグワナ法国の首都ダリンから助言をする。


「冷静に・・・冷静に・・・」


ロックは、ダフキンの言葉を繰り返すように口にして、心を落ち着かせようとした。


「ロックはさー。興奮すると何しだすか分からないからなー。冷静になるんだ」


それを聞いて、ロックは源を睨みつけた。


「何だと!?」


ロックの胸の部分から巨大な腕のようなものが飛び出し、源の方へと伸びて行き、源の目の前で、ピタリと止まった。


「うお!!何するんだ!ロック!」


「お前が、変なこと言うからだ!体が勝手に・・・」


『セルフィ様。ロックさんを落ち着かせるような言葉を使いましょう』


『はい・・・。すみません・・・。ダフキンさん』


だって・・・俺が龍王の予言をはじめてロックと聞いた時も、ロック暴走したんだよ・・・と源は、心で言い訳した。


「それにしても、凄いなー。今、反射的に俺に襲いかかろうとしたんだろ?これを敵にも使えるようになったら、相当だぞ・・・」


「俺を何でも襲い掛かる化け物みたいに言うな!」


源は、口に手をやって塞いだ。


「分かった。呼吸法だ!ロック!」


「俺は呼吸してないって言ってるだろ!」


「そうだったな・・・」


うーん・・・。俺の言葉は、ロックには逆効果なようだ。少し冗談もはいっているけど・・・

どうやれば、冷静になれるだろうか・・・


落ち着かせる・・・か・・・。落ち着くもの・・・


源は、ゲートを開いて、気持ちよさそうに動物美容院で、マッサージを受けていたウォルを出した。


「ほら!ロック。可愛いフォルだよ。フォルをみて冷静になるんだ」


フォルの頭は泡だらけになっていた。1週間に1回と制限された至福の時間を邪魔されて、源の腕に噛みつく。

「グルルルル」


「うわ!痛いなー!フォル!何するんだ!可愛いところをみせてくれないと、ロックが冷静になれないだろ?」


フォルをみたからか、ロックの体は、まるで巨大な岩のフォルのような四本足のような姿になった。


「おおー!動物型!?物質モンスターか!」


「うるさい!黙れ、はじめぇ!」


「分かったよ・・・ただの冗談だろ・・・」


そこまで、怒ることないだろうに・・・


動物の形になったロックは、目をつぶり、自分が冷静になれるものをイメージした。


「ん?女性?女の子?」


ロックは、巨大な動物型の体から一変して、体積が縮まり、女の子のデコボコした彫刻のような姿になった。


ロックは、源と一緒に、はじめての人間として出会ったニーナたちのことを特別な存在として認識していた。

何年、暗闇の遺跡でひとりでいたのか分からないが、自分は人間であると認識していただけに、人間とやっと出会えたという喜びがニーナたちの印象を強めていたようだ。


ロックは、冷静になったのか、体が安定しはじめ、元のロックの体に戻った。


「ふぅー・・・何だか、疲れた」


「ふうーって・・・呼吸してないはずだろ?」


また、ロックは、源を睨みつける。


「分かったよ。今、何がしたい?ロックが望むものをあげるからさ

あまり怒るなよ」


「そうだな・・・岩が食べたいかな。何か、体がだるい・・・」


「岩か。待ってろ。すぐに用意する」


源は、岩が豊富にあるチフス湿地帯から、ロックの体の2倍程度の岩を転移させ、用意した。


「はじめて、邪魔しなかったな。源」


「はじめてって・・・、いつも役立ってるだろ!」


少しは言い返せたとロックは薄っすら笑った。

そして、ロックは、岩に手を伸ばすと、口ではなく、手を岩に触れただけで、岩を体に取り込んでいった。


腕のようなものを数本だして、パクパクと大きな岩を食べていく。


ロックの2倍はあるだろう岩をロックが食べるが、ロックの大きさは、なぜか変わらなかった。


「でも、源・・・。セルフィか・・・この力を使いこなしたら、強くなれる気がするぞ」


「うん・・・。かなり凄いと思う。それにしても、ロックが誰よりも早くたんを習得しはじめるとは思わなかったな」


「ん?どういうことだよ。その言い方・・・」


『セルフィ様。これは本当のことなのか分かりませんが、たんについて、教わっていた時、マナなどの魔法を使わず、体術やスキルなどを使うような者ほど、たんを扱いはすいと聞いたことがあります』


『そうなんですね・・・』


『すでに、セルフィ様は、それに当てはまってはいませんが・・・』


『割合的に、スキル側のタイプがたんを扱うのが得意だということかもしれませんよ?ダフキンさん』


『はい。そうかもしれませんね』



ウオオオオオーーーン!!!!


レジェンドの奥から物凄い大きな咆哮があがった。


「なんだ!?」


『敵か?ミカエル』


『いえ、あれは、ウオガウ様です。セルフィ様』


『ウオガウ?』


源は、様子をみに、ウオガウの元に、瞬間移動した。


「ええええーーー!!!」


ウオガウの姿をみて、源はとても驚いた!


「お前・・・本当にウオガウなのか?」


「はい・・・ダフキン殿から教わったたんを口にいれると、体がこのように変化してしまったのです」


ウオガウは、2本脚で立って、まるで人狼のような体になり、狼というよりは、人間に近づいたかのようになっていた。


体毛は、ぼーぼーで、顔はそのまま、どこからみても狼だが、背筋を猫背っぽくはあったが、ほどよく伸ばして、2本脚で立っていた。爪は鋭いが、指も人間のような形をしていた。


「人狼になって強そうに見えるのはいいとして、何だかウオガウ。大きくなってないか?」


「はい・・・。どうやらそのようです・・・セルフィ様」


ウオガウのオーラは、青色で、ウオガウの体を漂っていた。もともとウオウルフは、2mと大きいモンスターだが、さらにウオガウは大きさを増していた。


『源。以前、狼王の遺跡に入った際に、発見した壁画に、2本脚で立つ人狼のような絵も描かれていました

狼王だと思われる一匹の白い大きな狼を灰色の狼たちが囲むようでした

そして、傍らに描かれていた2本脚の狼もまた白色だったことから、もしかすると狼王の変化した姿なのかもしれませんね』


『そういえば、そんな壁画があったな』


「ウオガウ。狼王も、もしかしたら、たんを習得して、今のウオガウのような姿になったのかもしれない

狼王遺跡の壁画の絵にも、今のオウガウのような姿の狼が描かれているからね」


「まさか!わたしが!?狼王様と同じ・・・」


感極まったのか、ウオガウは、目から涙を流した。

ウオウルフにとって狼王とは、偉大な王であり、尊敬されるべき存在だったのだとウオガウの反応をみて、改めて認識する。


「ウオガウ。実はロックも、たんを体に取り入れて、凄いことになってるんだ

ウオガウもどれだけ力を増しているのか試してみないか?」


「はい。セルフィ様。是非、試してみたいです!」


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