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222章 妖精の里

数日をかけて、壮大な森の中を大きなユニコーンと怪鳥に乗って、リリスとリタは、走り抜ける。

木だけではなく、植物にしても、みな巨大化しているかのように、育っている。


巨木が多いからか、普通の森の木々の間隔よりも広い。その合間をかなりのスピードで進み続けるが、リリスは、どのようなモンスターと遭遇したとしても、すぐに対処できるように警戒していた。


『お母さん。前方方向に、モンスターの群れがいるわ』


『そうね。少し迂回しましょう』


ユニコーンは、向う方角を少し変えて、移動したが、モンスターは、気配に気づいたのか、大勢で追いかけてきた。


そのモンスターは、二本足でユニコーンにも負けないほどのスピードを出して、後ろに張り付いた。


リタがそのモンスターをみて、リリスに教える。


『コカトリスね』


『え!コカトリスにしては、大きすぎない?』


『この森は、豊かな実りがあるから一般的なモンスターであっても、大きくなるのよ

たぶん、縄張りを荒らされたと思ってるのね』


リリスは、手を後ろにかざして、叫んだ。


「それ以上、近づかないで、わたしたちは、ここを通ろうとしているだけで、あなたたちに危害を加えようとは思ってないわ

この子たちは、コアを3つも宿しているのよ

あなたたちでは勝てないわよ」


しかし、コカトリスは、真っ赤な顔になりながら、興奮して、止まることなく突っ込んでくる。


フィーネルは、その攻撃を右へと躱そうとするが、ミスリルの鎧を着ている状態では、機動力が少し落ちてしまっているので、コカトリスの口ばしが、羽に当たる。


それでもフィーネルは、問題なく飛行を続け回避した。ミスリルの鎧によってその攻撃はまったくフィーネルには通じていなかった。


「もう!落ち着きなさいよ!興奮しすぎ!

わたしは、あなたたちでも無暗に傷つけたくないのよ」


リリスの言葉はまったく通じていなかった。

仕方ないと思いながら、リリスは、意思を伝達させ、大型犬タークを乗せていたもう一匹のフィーネルによって、逆方向から小型ボーガンの矢を1本だけ放ち、コカトリスに撃ち込んだ。


グラファイト製の矢じりがついた矢は、鋭くコカトリスにささり、一匹が、その攻撃のために、バランスを崩して地面に転がる。


リリスの乗ったフィーネルも、参戦して、他の興奮しているコカトリスに矢を放ち、動きを止める。


2本脚で全速力で走るコカトリスは、一本の矢の攻撃を喰らって驚いて倒れていく。自分の速度による地面への衝撃でまたダメージを負う。

倒れたコカトリスに、つまづいて後続も倒れていく。

何羽かは、上手に飛びのいて、追いかけてこようとするが、リリスは、そのコカトリスに若干、影響を及ぼして、横に誘導して、巨木にぶつける。


「だから、言ったじゃないの・・・。小さい矢だからあなたたちなら、すぐに抜けるから安心して、わたしたちは、あなたたちのテリトリーから抜け出したいだけなの」


そういって、リリスは、リタに追いつく。


「コカトリスの攻撃もフィーネルには、通じないのね」


「セルフィからもらった装備のおかげね

あれぐらいの攻撃なら何ともないわ」


「セルフィの鎧は、凄いわね

リリス、もうすぐ妖精の村ピーチクに着くわ」


「ねー。妖精の村は、いくつもあるの?」


「そうよ。妖精族は、住んでいる村こそ違うけど、仲間で別れることがないから、村のことをすべてピーチクと言うの

シャウア森林には、ピーチク村が155村あって、一番中心となっている村があり、妖精の里と呼ばれているのよ

もうすぐ着くわ」


リリスは、上を見上げる。


遠くでも圧倒的な存在感があったが、巨大樹にこれだけ近づくとあまりにも大きすぎて、もう木にはみえない。


「ここを抜けると、妖精の里よ」


大量のツタと葉っぱが生い茂っている中に、リタが入っていく。

まるで葉っぱで出来たトンネルのようになっている。


「ターク。ここからは、あなたの背に乗せて」


リリスも、リタの後に続いてその中に入る。


葉っぱのトンネルを抜けると、もの凄い数の妖精族たちが、待ち構え、リリスたちの姿をみると、一斉に、地面に片膝をついて、頭を下げた。


「リリス・ピューマ・モーゼス女王様。リタ・ピューマ・モーゼス様、おかえりなさいませ」


数万はいるかと思われる妖精族たちは、リリスたちと同じように、小柄で、先頭にひとり立っていた12人の人たちの中で、中心にいる老人が挨拶をした。


「わたしは、12長老のひとりデネス・プッシーマでございませる」


12人の長老といっているが、その半数は、まだ老人ではない。


その後ろに控えていたのは、戦士たちのようだが、その中に、以前、リリスが猛毒でしにかけていた際に、助けてくれた3人、戦士の兄ポル・パラインと弟ライム・パライン、ジョゼフ・プリューレもいた。


「リリス・ピューマ・モーゼス女王様が、来られるということで、シャウア森林にいる妖精族総勢5万2067名すべてが、ここに集まっておりませる」


妖精族が全員が一斉に叫ぶ。


「「「偉大な女王陛下。万歳!!万歳!!万歳!!」」」


ドワーフよりは大きいが小柄な体から出ているとは思えないほどの大きな声が鳴り響く。


リリスは、タークから降りて、前に出る。


「皆さん。お出迎え、ありがとうございます

わたしは、ケイト・ピューマ・モーゼスの意思を受け継いで、ボルフ王国から大共和ケーシスを復活させました

ケイト・ピューマ・モーゼスのようなすべての生き物に優しい世界を目指していこうと考えています

ピーチクは、これからも今と変わらず、優しい事由な生活を送ってほしいと望んでいます

ですが、ケイト・ピューマ・モーゼスが信じた一神教の教えを復古させようともおもいますので、シャウア森林にも教会を建てたいとも思っています

今回、ここに来たのは、ケイト・ピューマ・モーゼスのように、2度目の誕生を成すためです

羽化について何か知っている方がいれば、わたしに教えてもらえると助かります

よろしくお願いします」



「「「リリス・ピューマ・モーゼス女王様。万歳!!万歳!!万歳!!」」」


長老デネス・プッシーマが、前に出て、リリスたちを誘導する。


「では、お話できる場所へ案内させてもらいませる

こちらへどうぞでございませ」


歩きながらも、妖精の村について長老は説明していく。


「妖精族は、ここにいる5万がすべての人数でございませる

それぞれが4匹、または5匹のモンスターを従えています」


「わたしたちを守るために、全員で来てくれた20万匹がそれね」


「そうでございまする

あらゆる生き物を従えておりますから、気に入ったものがおりましたら、女王陛下に献上させてもらいませる」


「わたしには、この子たちがいるので、大丈夫ですよ

でも、気にいった子がいれば、頼むかもしれません」


「妖精の村に教会を建てる計画はすでにセルフィ様とすすめています」


「え!?そうなの?」


リタが、答える。


「セルフィから聞いてたと思ってたわ

セルフィは、フルポーションの製造方法とその製造許可を得るために、ミカエルを提供することにもなっているわ

今はまだソースは、ここにはないけど、近いうちに用意されると思う

でも、そのためには、クリスチャンとなった妖精族しか利用できないわけだから、教会も建てて提供していこうとしているわけね」


「そうだったのね」


「もともと、ケイト・ピューマ・モーゼの意思を妖精族は受け継いでいるから一神教を信じているから、聖書の教えは、素直に受け入れてもらえるでしょうね」


巨木に、ドアが付いていて、そのドアを長老があけて、リリスを招く。


「どうぞ。お入りくださいませ」


中にはいり、言われるまま、席に座ると、長老は、話しを続ける。


「2度目の誕生。羽化のことでございませるが、わたしどもも、何も分からないのでございませる

申し訳ございませる」


「まったくですか?」


「ケイト・ピューマ・モーゼス様の時代では、50人ほどの妖精族が、羽化を果たしたと伝承では残ってはいるのでございませるが、なぜか、ケイト・ピューマ・モーゼス様は、ハッキリとは羽化の方法を伝えておりません

しかも、400年前のことでございませるからして・・・」


「リタお母さんも何か知らないの?」


「わたしも分からないわ

でも、妖精族が生まれるのは、特殊花のピラチよ

それと何か関係している気がするわ」


「ピラチってどこにあるの?」


「妖精族たちの接触による人工ピラチは、村の外にありませる。そして、自然ピラチは、巨大樹に面している地下遺跡の地下2階に、発生するのでございませる」


「来る途中に、赤や青、黄色などの大きなチューリップのような花をみなかった?」


「そういえば、あったわね

両腕で囲めるぐらいのチューリップね」


「あれが、人工ピラチよ

自然ピラチは、薔薇のようなもので、あなたは、その自然ピラチから生まれたの

デネス・プッシーマ長老が、あなたを抱き上げた方よ」


長老は、なつかしむかのように、うなずきながら話す


「リリス・ピューマ・モーゼス女王様は、それはそれは、可愛らしく、そのピラチは、白い光りが放っていたのでございませる」


「長老様は、わたしのおじいちゃんみたいな人なのね」


長老は、涙を流し始める

「おお。おうおおおう。そんなことを言っていただけるとは、嬉しいでございませる」


「泣かないで」


リリスは、手ぬぐいを差し出す


「うーん・・・。でも、羽化する方法が何も分からないのは、痛いわね

その自然ピラチがあるという地下遺跡に何かあるんじゃない?」


「そうかもしれないわね」


「その遺跡は、何階まである遺跡なの?」


「遺跡の最下層は、分かっておりませぬ

今いる妖精族で、15階層までは、行った者がおりませるが、それ以上は、わたしたちでは、無理でございませる」


「15階層ね

何かありそうなのは、地下遺跡しかないのなら、向かうしかありませんね」


「でしたら、村の戦士たちを護衛として連れて行きませる

優秀な戦士がおりませるからして」


「ありがとうございます

お言葉に甘えさせてもらいます」


「リリ。役に立てるかは分からないけど、わたしも一緒に行くわ」


「お母さんが一緒に来てくれれば、怪我をしても大丈夫ね」


「セルフィが作ったフルポーションもあるから、たぶん大丈夫よ」


「そうね。それに自然ピラチもみてみたいわ」


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