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212章 トリアティー師団国の認可

【212章 トリアティー師団国の認可】


源は、首都ダリンに、教会を設置させて、すぐにゴルバフ・ダレーシア女王のところへとおもむいた。


トリアティー師団国は、アモラ事件が起こったために、今は警戒を強めて、トリアティー師団国全土に兵士を送り出している最中だった。


源の姿をみて、トリアティー師団国の兵士たちが叫んだ。


「セルフィ様だ!!セルフィ様がおいでになったぞ!伝説の天使様だ!!」


獣人の兵士たちは、素直そうな友好的な態度で源を囲み始めた。


少し前までは険悪な雰囲気で、みられていたはずなのに、もの凄く歓迎されていたことに、驚いて、戸惑う。


「あ。はい。皆さん。今回の遠征、ご苦労様でした。無事に、わたしたちの勝利になりましたね」


「「「わああああ!!」」」」という声がこだました。


獣人の盛り上がり方は、人間よりも凄いのかな・・・。


「女王様に謁見えっけんされに来られたのですね?」


「はい。そうです。今回の遠征についてお礼を女王陛下に伝えたいと思いまして」


「こちらこそ、トリアティー師団国の民を守り抜いたセルフィ様に感謝を送りたいほどです!」


「あ・・・ありがとうございます」


源は、猫族兵士に案内されて、女王に謁見した。


「セルフィ殿。今回の采配、お見事でした

ワグワナ法国軍の虐殺からトリアティー師団国の民を守り、さらには、人質をすべて助け出し、戦いにおいても、少人数の被害だけで見事、ワグワナ法国を倒しきり、やりとげられたあなたに、トリアティー師団国の民たちは、感謝の意を込めて、その武勇が広がっております」


「あー・・・そういうことですか・・・皆さんの歓迎ぶりに、少し驚かされました」


「心からの感謝を

ありがとう。セルフィ殿

さすがは、伝説の天使だけあると思わされました

時に、14体ほど、アモラを捕獲したのですが、元に戻してもらってもよろしいでしょうか?」


「もちろんです。女王様

話の後、すぐに、元の獣人の民に戻します


遠征に参加し、怒りがあるにも関わらず、わたしの願い通り、冷静に軍を動かしていただいたこと、こちらからも、心から感謝いたします」


「怒りのあまり、其方にも、怒りをぶつけてしまっていたことをゆるしてほしい」


「民のために感情を出される女王様をわたしは尊敬しています

お気になさらないでください

報告したいことがありまして、ワグワナ法国に援軍として南下していたペルマゼ獣王国軍は、追い返したのですが、その間に、ワグワナ法国の300人の政治家たちのうち114人が、牢で毒殺されてしまいました

それを防ぐことができませんでした

主犯格であったバッカス・トワ・オルドールもその中のひとりです

ワグワナ法国が、どうして、トリアティー師団国の民を虐殺に及んだのかという真相なども、生き残った政治家たちだけだと聞き出すのは難しくなる可能性があります」


「それを知らせるために、足を運んでくださったのですね

もともと、彼らから真相が分かるとは思ってはいませんでした

ですが、我々としては、これからのワグワナ法国の在りどころが重要なのです

以前のように平和的で、友好国としてやっていけるような国にしていただければ、それだけで、我々の想いの大半は、解消されるでしょう

ガマル・ルィール・チェクホン殿下のような考え方の国になるというのなら、わたしたちも聞く耳を持ちましょう」


「その件についてですが、トリアティー師団国からも数人で構いませんので、占領国の使節として、派遣してもらいたいのです

トリアティー師団国側が納得してもらえるような国作りをしているのかのチェックを被害を受けられたトリアティー師団国側からしていただきたいのです

そして、ワグワナ法国が行った行為による賠償金も決まり次第、提示させて、もらいます」


「御配慮ありがとうございます

使節は出しますし、賠償金額についても、セルフィ殿にお任せしまましょう」


「そして、ワグワナ法国にも攻撃が及んだように、トリアティー師団国でも毒殺などが行われないように注意を促してください

特に女王様は、毒味役を用意されますよう、お願いします」


「分かりました。そのようにしましょう

トリアティー師団国のことは、心配されず、ワグワナ法国の統治を進めてください

何かお役にたてることがあれば、いつでも言ってください

トリアティー師団国は、セルフィ殿、あなたの望みを叶えます」


「ありがとうございます」


源は、少し思い出して、質問した。


「そう言えば、わたしはトリアティー師団国で、シンの策略によって転移させられたのですが、なぜ、ゴルバフ・ダレーシア女王は、近くにいたのに、一緒に飛ばされなかったのでしょうか?」


「ミシェル・サラエラが助けてくださったのですよ」


「ミシェル・サラエラ?」


「ご存知ないようですね

東に帝国があれば、西に魔法国モーメントがあると言われるほどに、西側地帯には、悪魔族が建国した3つの国があるのです

その3つの国は、帝国に連盟せずに、堂々とその国を形成しているのですが、ミシェル・サラエラ様は、その3つのうちの1つ、魔法国モーメントの女王です」


「魔法国モーメントの女王が自ら、ゴルバフ・ダレーシア女王を助けに来られたということですか?」


「わたしたちトリアティー師団国は、帝国に連盟を長く続けている国ですが、もともと魔法国モーメントの女王であったエジプタス様によって助けられた弱い獣人たちが、エジプタス様の支援によって建国された国なのです

獣人にも色々な種類がいます

戦闘に適した獣人もいれば、聴覚や嗅覚などが優れてはいても、人間のようにそれほど戦闘に適さない獣人もいるのです

弱い獣人たちは、戦国時代では、人間以上に虐げられ、絶滅の危機にあったのですが、エジプタス様が我々の祖先を助けてくださったのです

そして、エジプタス様が亡くなられ、長らくトリアティー師団国を支援をして、守り続けてくださったのが、ミシェル・サラエラ様なのです

トリアティー師団国の女王に危険が及ぶ時には、不思議と現れて、助けてくださるのですよ」


「そうなんですか・・・。わたしは、悪魔族の者とは会ったことがないので、分からないのですが、イメージ的には、何というか・・・」


「悪?」


「そう・・・ですね・・・悪側と想像していたのですが、そうでもないのですね」


「まったく違います。ミシェル・サラエラ様は、とても優しく愛に溢れた方です

帝国とは縁を切られていますが、帝国から離れているだけで、魔法国モーメントから攻撃するようなこともしませんし、トリアティー師団国を守ってくださる方なのです」


「わたしも会ってみたいものです」


「是非、そうしてください。わたしの勝手な考えですが、ミシェル・サラエラ様とセルフィ殿は、どこかしら似ている気がします」


「似ている・・・?どのあたりが似ているのでしょうか?」


「正しいことのために、行動できる強い意思とでもいいましょうか・・・。分かりませんが、似ている気がするのです」


そうなのか・・・。

シンという組織と縁があると思われていたエジプタスだったので、魔法国モーメントの悪魔族も、悪い存在だと思っていたけど、どうやら違うようだ。


確かに、今まであった王族の中では、ゴルバフ・ダレーシア女王は、とてもまともな方のようにもみえる。

民に及んだ危害をあれほど真剣になって怒りを表すのは、民を大切に思っている証拠だからだ。

そのダレーシア女王がこれほど絶賛するぐらいの他国の女王・・・。


でも、帝国とは敵対?しているのか・・・。


トリアティー師団国を守り続けていながら、トリアティー師団国が、帝国に連盟していることもゆるしているようだし・・・。悪い側の独裁的な人間ではないのだろうな。


それにしても、シンの策略で転移に飛ばされるあの瞬間を危険だとして、助けたというのは・・・。

そんなことがあの一瞬で出来るのか・・・。

ダフキンさんは、気づいて、俺を助けようとしてくれたから、不可能ではないのか・・・。


あの時、近くにいたのか・・・?。うーん・・・。


「エジプタス様がおられなくなって1400年の間、ずっと何代にもわたってトリアティー師団国の女王たちは、ミシェル・サラエラ様に助けられ続けているのです」


「え・・・!?・・・・1400年?ですか・・・?」


「はい。とても、とても長い間、ミシェル・サラエラ様は、魔法国モーメントの守りとトリアティー師団国の守りを続けられているのです」


1400年って・・・むっちゃおばあちゃんじゃん!!


ゴルバフ・ダレーシア女王の美しい身なりから、同じように連想してしまっていたから、ギャップが・・・。


「悪魔族は、長寿なのですね・・・」


「悪魔族の中でも、ミシェル・サラエラ様は、魔女系ですから、長生きなのでしょう」


魔女というと、他人の生命を吸い取ってなんて・・・想像しちゃうけど、そうじゃないことを祈ろう・・・。


「エジプタスとは、どのような人物だったのですか?」


「エジプタス様は、伝承ばかりが残されていますが、わたしが幼かった頃、ミシェル・サラエラ様から少し聞いたことがあります

彼女は、男のような心を持った強い女性で、それはそれは、絶大な力を持ち、世界が荒れ果てて、どうしようもなくなった時に現れ、秩序をもたらされたのです

世界を救った存在だということも伝承にも残されています

ミシェル・サラエラ様がいうには、優しい方だったらしいです」


どこかで、情報が、ちぐはぐになってるな・・・。どういうことだ・・・。確か、シンという組織を大きくしたのは、エジプタスだったような話だったよな・・・?


違ったかなー・・・。

どうして、こうもイメージがあわないんだ・・・。


「エジプタス様は、この世に魔法を生み出した方とも言われています」


「そういえば、そういう話も聞きました」


「それまでは、遺跡にも、封印の珠は、存在せず、魔法を使う者はいなかったのです

この世は、敵を倒せば、その力が手に入ることから、ありとあらゆる生き物たちが、こぞって殺し合いをしては、力を欲した時代に、エジプタス様は、魔法という手段と経済による団結を生み出して、戦乱の争いを無くしていかれたのです

そして、トリアティー師団国では、エジプタスを崇めて、一神教を教え続けているのです」


「ガマル・ルィール・チェクホン殿下から聞きました。トリアティー師団国は、一神教を信じる国だそうですね」


「はい。一神であられるエジプタス様を女神として崇拝し、平和をもたらすのが、その教えです」


一神教であっても、女神崇拝なのか・・・。


「一神教といっても、龍王の意思の一神教、聖書とは違うのですか?」


「聖書のことは、教えられてはいません

ですが、エジプタス様、ご自身が、一神教を教えられていたので、魔法国モーメントも一神教が伝えられていると言います

わたしたちは、エジプタス様あってのトリアティー師団国でしたから、エジプタス様を崇めているのです

ミシェル・サラエラ様は、その後継者として伝えられているので、昔から人気がある方ですね」


神ではなかった人物をその功績が多大だっただけに女神として崇拝してしまったというところか。

それは、どうなのかと思えるが、エジプタスも一神教を信じていたのか。

でも、聖書とは違う一神教なのだな。


「わたしは、そろそろワグワナ法国へと戻らさせてもらいます

くれぐれも、身を守るようにお願いします」


「分かりました。セルフィ殿も、御達者で」



源は、深く頭をさげて、ゆっくりと、部屋を出てから、転移して、首都ダリンへと戻った。

結局、エジプタスとは、どのような人物だったのか、ゴルバフ・ダレーシア女王の話を聞いて猶更、分からなくなった。

やたらと聖書に精通している龍王も謎だが、エジプタスも謎すぎる。

帝国にある情報からエジプタス目録などの情報や伝記があるが、エジプタスの活躍を誇張しすぎていたり、魔法なら魔法だけに特化したことしか書かれていないので、実際、どのような人物だったのか、把握できない。


ゴルバフ・ダレーシア女王の話を聞くと、悪い人間ではなかったように思えるが・・・。

それは、表向きであって、裏では、シンという組織を作ったり、経済などを利用して、上り詰めた存在にも思える。

1400年にも渡ってトリアティー師団国女王たちは、騙され続けてきた?なんてことはないか・・・。

良い結果ばかりで騙されているのなら、それはもうすでに騙しじゃない気もするし・・・。


ミシェル・サラエラには、会ってみたいとは思ったけど、1400年も生きているおばあちゃんって何だか怖い気がする。

しらゆき姫とかに出てくる魔女のおばあさんをさらに、よぼよぼにして・・・。


あー!こわい!こわい!


会いたくなくなった・・・。


今は、そんなこと考えている時ではない。

ワグワナ法国の統治の仕方について、トリアティー師団国側の許可をもらえたし、危機に関しても忠告できたので、これからは、ワグワナ法国の統治に集中しよう。


止血したとはいえ、14000体のアモラも直さなければいけないし・・・。


あ・・・。トリアティー師団国のアモラが先か・・・。


源は、またトリアティー師団国へと戻って、兵士たちにアモラの場所を聞き出して、元の獣人へと14人のアモラ化した獣人を元に戻した。


それを目の当たりにした獣人の兵士たちが、もの凄く驚いて騒いだが、あまり騒がないようにと言い伝えて、首都ダリンへとまた戻った。


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