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206章 訴え

源は、通信マインドシグナルで連合軍全員に、報告する。


《ワグワナ法国をむしばんでいた政治家300人は、捕らえました

そして、議事堂も抑えた事で終わりのようにもみえますが、ここからが本番です

ワグワナ法国の厄介なところは、民が、国を信じているところです

その民から選出され、徴兵された兵士たちもまた、ワグワナ法国の正義を信じ込んでいます

ですから、連合軍が首都ダリンに入り制圧したとしても、兵士たちも民も、逆らい続ける可能性があります

安心はできません

現在、首都ダリンには、5000人の兵士が民を守ろうと武器を持ち潜伏しています

首都ダリンの北側の要塞2つにも、それぞれ7500人ずつ兵士が配備されています

ですから、まずは、これらを無力化することで、完全に首都ダリンを制圧し直す必要がありますが、時間をかけてはいられません

数日もすれば、九重門を防備していた4万人の兵士も首都ダリンに到着しますが、それよりも急を要するのは、九重門から逆に南下をはじめ、トリアティー師団国へと攻め上っている3万のワグワナ軍です

では、順次、行うことを伝えます

1、首都ダリンに潜伏している5000人の兵士を無力化、そして、民の反乱の制圧

2、北側要塞15000人を無力化

3、トリアティー師団国に攻め込んでいる3万の軍を無力化

4、九重門から北上してきているワグワナ軍4万を無力化


これらの順でワグワナ法国を完全に制圧させます

まずは、1から行いますが、レジェンド兵には、ワグワナ法国軍5000人が潜伏している表示がされているので、レジェンド兵の指示に従って、トリアティー師団国6万のうち4万は、首都ダリンの制圧を開始してください

トリアティー師団国の残り2万は、北要塞の地下道からワグワナ法国軍が首都ダリンに入り込まないように守備防衛のため、ここに残り、その他、異例の事態が起こった際のために、待機

首都ダリンは、ゴルバフ・ダレーシア女王陛下の指示に従うように


そして、2の北要塞2つは、わたしとともに、帝国軍8万を2つに割り、制圧を開始させます

北西は、ルピリート将軍に従い制圧

北東は、わたしに従い制圧します

ドローン2000機も北要塞

制圧開始は、ガマル・ルィール・チェクホン殿下による一斉、宣告の後になりますので、各自、配置につくように》


源の指示のもと、兵士たちが、動き出した。


5000人が潜伏している地域を丸く囲むように、トリアティー師団国とレジェンド軍が、丸く配置された。


首都ダリンの外、2つの要塞は、それぞれ4万の帝国軍が、ねずみ一匹、抜け出せないほどの包囲網を組んだ。


連合軍がそれぞれ配置についたと報告を受けるとガマル・ルィール・チェクホン殿下が、ミカエルを通して、すべてのワグワナ法国の民と兵士に伝えられる。


ミカエルのソースは、首都ダリンはもちろん、2つの要塞にも、九重門を北上している軍にも、また逆に南下している軍にも、すべての場所に声が届くようにされた。


『わたしは、ワグワナ法国第二王位継承者ガマル・ルィール・チェクホンである

すべてのワグワナ法国の民、またすべてのワグワナ法国軍の兵士たちに伝える

首都ダリンは、帝国連合軍15万によってすでに制圧された』


国民や兵士たちが、その話に戸惑う。

九重門の兵士たちは、早すぎる首都ダリンの制圧に驚きを隠せない。


「おい。ガマル・ルィール・チェクホン殿下は、死なれたのではなかったのか?」


「首都ダリンは、もう落ちたのか?」


ワグワナ法国の人々は、困惑を隠せない。


『ワグワナ全国民に、伝えたいことがある

ワグワナ法国は、王族貴族を排斥し、民による政治を10年前から行い、民は、独裁政権への懸念を植え付けられているが、どれだけ民主的な政治であっても、かならず独裁的な体制になるのが組織というものだ

独裁政治が、王族から政治家に移っただけにすぎない

王族は、お飾りのようになり、政治に口出し出来なくされ、民には、嘘の情報ばかりが10年間、流され続けている

奴らは王族であるわしであっても邪魔となれば命を狙い。わたしだけではなく、多くの者を暗殺してきた

わたしは死んだようにみせかけたが、このように生き残っている

ワグワナ法国の民は、知らない者が多いが、三国同盟で、今も援軍として向かっていると言われているボルフ王国は、すでに帝国によって滅ぼされている』


「ボルフ王国が滅んだ!?」


民は、どういうことなのかとその話に集中する。


『三国同盟が、帝国に勝利したという話も半分嘘だ

実際は、帝国の力に恐怖して、傘下に降ろうとしていたのだ


嘘はこれだけではない

14年前に起こされた911獣人暴動事件も、ワグワナ法国を牛耳ろうとしていた政治家たちによる自作自演だったのだ

彼ら政治家を支援している者たちは、人間をモンスターに変える技術を持っており、それを利用して、獣人が事件をわざと起こしたかのように演出したのだ

4年前にも、人間をモンスターに変える技術を使って帝国に攻め上った

今は、この謎のモンスターのことをアモラという名称がつけられている

実際は、911獣人暴動事件は、トリアティー師団国は、何も関与していなかったのだ

暴動を起こした獣人は、実はワグワナ法国の民であり人間だったのだ

何の関係もないトリアティー師団国のせいにして、ワグワナ法国は、何度もトリアティー師団国へと侵攻した

一カ月前には、ワグワナ法国は、トリアティー師団国に突如として攻め込み1万人にも及ぶ獣人を虐殺したのだ

ワグワナ法国では、獣人は野蛮で、人を食べるなどと言われているが、実際は、トリアティー師団国の獣人たちは、温厚で野蛮な存在ではない

これらも情報操作によって作られたイメージなのだ


ワグワナ法国は、10年前から彼ら政治家たちに乗っ取られ、戦争を起こしては、他国に迷惑をかけるような国にされてしまっているということだ


特に兵士たちは、よくこの話を聞け

ワグワナ法国をむしばんでいた悪は、すでに捕らえられた

帝国連合軍は、ワグワナ法国の兵士にも死者を出させずに、制圧してみせた

逆らわない者たちは、傷つけるつもりがないと約束をもらっている

国のためだと思うのなら、武器を捨て、本当のワグワナを取り戻そうではないか

もう抵抗する必要はない

これ以上、争う必要はないのだ

戦わない者たちは、武器をすて、両手をあげて、首都ダリンへと帰還せよ

その者たちの命は保証される』


その話を聞いて、多くの農民兵たちが、投降をはかろうとしたが、ワグワナ法国の指揮官たちは、それらを否定した。


「騙されるな!ガマル・ルィール・チェクホン殿下は、死なれた生きているはずがない!あれは偽物で、我々を騙そうとしているのだ

あの話を聞いただろボルフ王国が滅亡しているなどそんな話を本当に信じるのか?

陰謀論を口にするような奴の話を信じるな!

ワグワナ法国という国が、そんな嘘をつくわけがないだろ!

もし、お前たちがそれでも騙されて国を捨てるというのなら、お前たちも敵だ!

命がないものと思え!」


ガマル・ルィール・チェクホンの訴えは、ワグワナ法国の人々に伝えられたが、多くの兵士たちは、投降せず、ワグワナ法国を信じた。


しかし、首都ダリンがすでに連合軍に入り込まれていることは、確かなので、命を惜しんだ農民兵たちは、6mの城壁から飛び降りて、投降をはかった。

そして、両手をあげて、姿を現した。

武器は持っていない。


その話を聞いても、姿を現さなかったのは、首都ダリンには、4000人。そして、2つの要塞にもそれぞれ7000人程度が、残って臨戦態勢を変えようとしなかった。


姿を現した兵士たちは、ソースによって手錠をされ、軍事広場に集められ座らされた。


九重門の兵士の中にも、多少、武器を捨てて、進軍することをやめはじめた農民兵が出たが、ワグワナ兵士に斬られて殺された。


士気を乱さないように総指揮官が怒鳴り続ける。


『これが最後の警告になる

10分後、武器を捨てずに姿を現さなかった者たちは、制圧されることとなる

ワグワナ法国は、獣人とも仲がよかった

戦争をしない平和な国でもあった

なのに、この数年は、戦争ばかりだ

多くの兵士たちが死んでいる

政治家を選ぶ投票も、八百長が行われている

民が選んでいるかのようにみせて、実は、数を操作して、自分たちの命令にしたがう政治家たちが選ばれているにすぎないのだ

王族などによる独裁政治は、王という分かりやすい対象なだけに、逃げ隠れができない

しかし、民主的な政治は、隠れてさえいれば、責任をうやむやにできるだけタチが悪いのだ

ワグワナ法国の民たち、そして兵士たちよ

目を覚ませ!!』


次に、トルパーズ将軍の声が聴こえた。


『ワグワナ法国兵士諸君。ガマル・ルィール・チェクホン殿下は、本物だ

閣下がおっしゃっていることも事実だ

バッカス・トワ・オルドールは、ワグワナ法国を乗っ取り、トリアティー師団国に多大な損害を与えた

わしの息子も奴らに冤罪をかけられ捕らえられている

バッカス・トワ・オルドール他、300名の政治家たちは捕らえられた

これ以上、犠牲者を出す必要はない

投降しろ』


ガマル・ルィール・チェクホン殿下とトルパーズ将軍の必死の訴えを聞いても、残っている兵士たちの中から出てくる者たちは、少なかった。


ガマル・ルィール・チェクホン殿下の話が終わり、10分が経過したところで、源は、号令をかけた。


『制圧開始!!』


北要塞2つを囲んだ4万の帝国軍と1000機のドローンが配備されていた。


ドローンの前に、時空空間ゲートが現れ、空間からみえる要塞兵に向かって麻酔針を打ち放った。

100%の確率で、兵士に当たり、2つの要塞、各1000人が、一斉にその場で倒れた。

要塞を防衛していたワグワナ法国兵士たちは、何が起こったのか分からず動揺する。


南部の村で行われた戦術だったが、それらの戦術は、伝えられる時間もなく、次々と兵士たちが、麻酔針で眠らされていく。


5分もしないうちに、7000人中、3000人が地面に倒れてしまう。


囲んでいた連合兵士たちも、時空空間ゲートに入り、要塞の中に侵入していく。

要塞の4つの箇所にゲートは用意され、そこから大量の帝国軍が現れ、喰い止めることなどできない。


要塞の壁を守ろうとしていたのに、3000人が倒れ、さらに壁の内側から帝国軍が現れたので、混乱が続き一方的な戦いとなった。


ほとんどが農民兵であり、混乱している状態なので、帝国兵士たちは、なるべく命を取らないように抑え込んでいく。


「「「逆らう者は、斬り捨てる!命がほしい者は、武器をすて、両手を頭の後ろにまわし地面に伏せろ!」」」


ワグワナ法国との開戦からはじめて犠牲者が出る。

帝国兵士にもマナを放たれ負傷者は出たが、死人は、ワグワナ法国軍だけだった。

農民兵は、マナを持っていないので簡単に拘束されていった。

多くの兵士たちは、降伏して、武器を捨てて地面に伏せた。

地下道から逃げようとする兵士たちもいたが、トリアティー師団国の2万の兵士たちが、閉鎖していたので、すぐに捕らえられた。


ルピリート将軍は、そのあまりにも呆気ない戦いに首を振った。


「何だこの一方的な戦いは・・・

まるで歯ごたえない

いや、これこそがレジェンドの凄さか・・・さすがは帝国連合80万を退けただけはある」



―――首都ダリンに潜伏していた5000人の兵士のうち1000人は、ガマル・ルィール・チェクホンの話を聞いて、武器をすて投降してきたが、4000人は、ワグワナ法国を信じて、今も隠れている。


源のリトシスによって兵士たちの動向は、把握され、ミカエルがその位置をレジェンド兵士たちに表示していた。


レジェンド兵たちは、その場所をトリアティー師団国兵士たちに伝え、兵士たちは、ミカエルとともに、家屋に乗り込み、潜伏した兵士を捕まえていく。

農民兵たちは、必死で、黒い物質モンスターに攻撃を加えるが、彼らの武器程度では、傷つけることもできなかった。


ミカエルは、ワグワナ法国兵士たちの両手を拘束して、自由を奪い、トリアティー師団国兵士が、首都ダリンに設置された軍事広場に連行していく。


4万のトリアティー師団国兵士に囲まれ、4000人の制圧は、時間の問題だった。


ここでの損害は、家具などの破壊はあったが、慎重に連合軍が動いたおかげか、負傷者を出すこともなく、無力化していった。


ゴルバフ・ダレーシアの采配は、とても冷静だった。

憎きワグワナ法国兵士たちに対しても、傷つけるなと必要以上の厳しい命令を下していた。

人質をひとりとして損なうことなく助け出してくれたセルフィに対しても、また、トリアティー師団国の信頼を得るためにも、そのような決断をくだしていた。


源は、ダレーシアの采配をみて、少し安心するのだった。


首都ダリンは、たった一日で、完全に連合軍に制圧された。

ワグワナ法国2万のほとんどが、拘束され、捕らえられている。

先に投降した者たちは、すぐに拘束を解くということを伝えられた。


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