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192章 必死のテンドウ

「どうか。リリス様に面会をお願いします!!」


テンドウは、必死になって検閲官に頼む。


「何だか大変なご様子ですね・・・ですが、こちらとしても、確認を取らなければ、すぐに女王と面会させるわけにもいかないので、お待ちできますか?」


「はい!ありがとうございます。何とか少しでも早く面会できるようにお願いします!」


「分かりました」


検閲官は、テンドウという商人の入国許可をだしたテラス・プリムに確認を取る。


『テラスさん。今いいですか?』


『何かあった?』


『それが・・・ワグワナ法国、マット商会のテンドウという商人が、血相を変えて、リリス様に面会したいと申し出てるんですが、どうしようかと思いまして・・・』


『ああ。テンドウさんね。きちんとミカエルの審査にパスしているから、入国許可は出してるよ』


『まー。それは腕輪をみれば分かるんですけど、なんかただならぬ雰囲気なので、女王様に会わせていいものかと思いまして・・・』


『俺の方から、リリス様に伺ってみるよ』


『お願いします・・・』


「テンドウさん。今、テラス・プリム検問官に連絡して、リリス様に伝えてもらっていますので、もう少しお待ちください」


ミカエルは、テンドウの前に、熱い紅茶を出す。


「ありがとうございます」


「リリス様に変なことしないでくださいね」


「滅相もございません!そんなことするはずないじゃないですか?」


検問官は、ミカエルの方をみて、何か確認したようで、納得する。


「ですよね・・・すみません。少し聞いてみただけです。失礼しました」



『リリス様から許可を頂いたぞ』


『そうですか。一応、確認のために、リリス様に危害を加えるのかを質問しましたが、ミカエルには反応はありませんでした』


『だから、テンドウさんは、大丈夫っていっただろ?』


『そうですね・・・これも仕事ですし・・・』


「テンドウさん。許可がおりましたので、ミカエルと一緒に、リリス様のご自宅に向かってください」


「もう、会えるのですか!?ありがとうございます!!」


テンドウは、ミカエルに付いていくが、到着したところは、小屋のような小さな家だった。


「ここが、リリス様のご自宅ですか・・・?」


「はい。テンドウ様。まだ、新大共和ケーシスは、新しく建国されたばかりの国で、0からの建国だったために、きちんとした家を全員に提供できていないのです

リリス様は、新大共和ケーシスの一番下の環境をお望みなので、まだ仮設住宅で暮らされているのです」


「普通・・・逆じゃないのか・・・」


テンドウは、驚きながら、ドアに近づくと、開ける前に、リリスが、ドアを開いた。


「マット商会のテンドウ様ですね

新大共和ケーシスにまた来てくださり、ありがとうございます

お入りください」


テンドウは、地面に膝をついて、頭を下げた。

「女王様。突然の申し出。大変、申し訳ありませんでした。ワグワナ法国、マット商会のテンドウでございます

この度は、勝手ながら、わたしどもの都合を伝えさせていただきたいと・・・」


「あ・・・そんなにかしこまらなくてもいいですよ。他には人はいませんので、どうぞ入って、お話を聞かせてください」


「申し訳ございません」


テンドウは、頭をさげながら、申し訳なさそうに、家へと入った。


「ミカエル。何か飲み物をお出しして」


「分かりました。リリス様」


「テンドウさん。お座りください。テラス・プリムからは、テンドウさんの人格の高さを聞いていますので、こちらとしても、テンドウさんとの関係は、大切にしたいと思っています

お急ぎのようなので、まずどうされたのか聞いてもよろしいでしょうか?」


「はい。ありがとうございます・・・実は、マット商会の会長であるダフキン・マットとその娘であるエバー・マットが、今まさに危機に陥っているのです・・・」


「経済部の者からは、マット商会は、ワグワナ法国でも、指折りの信頼を得ていると聞いていたのですが、何かあったのですか?」


恐る恐るテンドウは、リリスに質問した。

「シンという組織のことをリリス様は、ご存知でしょうか?」


リリスは、少し驚いた顔をする。


「シンですか・・・シンという名前の組織は、聞いたことがないのですが、謎の組織のような者とは、少し関わりがありまして・・・」


テンドウは、首をひっこめた。


「関わり・・・ですか!?」


「あ。いえ・・・関わりといっても、良い方の関わりではなく、一方的に、こちらを攻撃してきた謎の者たちがいたんです

それが、シンと言われるものなのかどうかは、分からないのですが・・・」


テンドウは、その返答を聞いて、ほっとした雰囲気になる。

「そうですか・・・それならよかったです・・・」


「そのシンという組織は、どのような組織なのですか?」


「すべてお話したいとわたしは思うのですが、この話をするとリリス様、新大共和ケーシスのご迷惑になる可能性が出てきます・・・それでも、シンのことについて答えてもよろしいものでしょうか?」


「知らないと何もできませんしね・・・お聞かせください」


「はい。シンという巨大な組織が、裏に勢力を伸ばして、あらゆる国に潜伏していると思われます

彼らは、貿易や商会などと根が深く、数多くの国に入り込んでいるというのです

リリス様のご様子だと新大共和ケーシスには、まだ入り込んではいないようなので、安心しました」


「そのシンという組織は、どれぐらい大きなものなのですか?」


「申し訳ございません。わたしは、それほど詳しく知らないのです

ですが、実は、うちのマット商会のダフキン・マットは、幼い頃より、そのシンなる組織に育てられ、裏稼業を強いられてきた経緯があるのです」


リリスは、驚きながら聞き直す。

「それ、話してもいいのですか?」


「普通なら、話などできないことなのですが、ダフキン・マット会長は、そのシンのやり方に賛同できなく、家族のために、シンを裏切り、命を狙われて、ワグワナ法国から逃亡をはかっている最中なのです・・・」


リリスは、ミカエルに聞く。


『ミカエル。テンドウさんは、本当のことを言ってる?』


『はい。テンドウ様は、嘘をつかれてはいません。リリス様』


「大きな組織に命を狙われているということは、今、無事かどうかも分からないということですね?」


「はい・・・そうなのです・・・」


「ミカエル。ワグワナ法国に、いくつのソースが、待機されてるの?」


「はい。リリス様。ワグワナ法国には、500機待機されています」


「今すぐ、マット商会のダフキン・マットさんとエバー・マットさんの捜索をはじめて」


「申し訳ありません。リリス様。ダフキン・マット様とエバー・マット様の情報がいちじるしく欠如しているので、確認することができません」


「え・・・探せないの!?」


「申し訳ありません。リリス様。探すことは困難だと思われます」


「どうしよう・・・」


リリスは、考え込む。


「ミカエル。どんな情報があれば、探し出せるの?」


「体型、性別、服装、種族などありとあらゆる情報があるほど、精度を高めることができます。リリス様」


「会ったことが無い人は、探し出せないのね・・・」


「はい。リリス様」


「今、セルフィは、何をしてるの?」


「セルフィ様は、ドラゴネル帝国で、皇帝陛下などと打ち合わせをしております。リリス様」


「そう・・・。どうしよう・・・そうだ!ニーナさんは?ニーナさんは、何してるの?」


「ニーナ様は、レジェンドの研究施設で、勉強をされています。リリス様」


『ニーナさん。リリスですが、今よろしいですか?』


『はい。リリス様。何でしょうか?』


リリスは、ミカエルが会ったことが無い相手は探すことができないということと、一連の問題を説明した。


『でしたら、そちらにいるテンドウ様の記憶から情報を取り出せばいいですよ』


『そんなこと出来るの?』


『はい。ソロモン・ライ・ソロ総指揮官が、使われている電脳測定機器を頭に被ってもらい。ふたりの姿を思い浮かべてもらえば、ミカエルがその情報を解析してくれるはずです。すぐに準備しますね』


『ニーナさん。お願いします』


「テンドウさん。お二人の情報を得るために、今からテンドウさんの記憶を読み取らせてもらいますね」


「え・・え??え・・・一体どういうことですか?」


「すみません・・・わたしもあまり分かっていなくて・・・上手く説明できる人が、これから来ますので、お待ちください」


数分して、ニーナが、マナソースを使って、リリスの家に、到着した。


「はじめまして、テンドウ様。わたしは、レジェンドの科学部門の責任者をしているニーナというものです。今から、テンドウ様の頭の中にあるイメージをミカエルによって読み取らせてもらい。探し出したいお二人の情報を入手しようと思います」


テンドウは、訳が分からなくて、頭をかしげる。


「一体、わたしは何をすればいいのでしょうか?」


「ただ、無心になって、探し出したいお二人の姿を頭の中で、思い浮かべてくださればいいだけです」


「思い浮かべればいいのですね?」


「はい。それだけでいいです」


ニーナは、ソロから借りてきた電脳測定機器をテンドウにセットすると、そのイメージから、ダフキン・マットとエバー・マットの情報をミカエルへと伝えた。


ミカエルは、その情報を分析して、曖昧なところを加工修正して、リリスの部屋の壁にかけられたモニターで、画像を映し出した。


「あ!ダフキン様とエバーお嬢様です!!」


リリスは、ほっとした。

「そうですか・・・よかった・・・ミカエル。今すぐに、二人の捜索を開始して」


「分かりました。リリス様」


「テンドウさん。見つけ次第。お二人は、新大共和ケーシスが責任を持って、助け出しますので、安心してください」


テンドウは、何度も何度も頭をさげた。


「ありがとうございます!ありがとうございます!」


テンドウは、感謝しながらも、新大共和ケーシスのことを心配した。

「ですが・・・新大共和ケーシスが、シンに逆らうような行動を取ってしまえば・・・彼らは、リリス様たちに手を出し始めるかもしれません・・・大丈夫でしょうか?」


「そのシンという組織とわたしたちに攻撃をしかけてきた者たちが同じなのかは、分からないですが、どちらにしても、そういった者たちと敵対関係にあることは、前々からのことですから、今回関わったとしても、それほど立場は変わらないと思います」


「本当に何と言っていいのか・・・ダフキン・マット会長からは、新大共和ケーシスに相談して、出来れば亡命させてもらえないかを伺うようにと、わたしをここに向かわせたのですが、亡命は、難しいことでしょうか?」


「新大共和ケーシスの民になりたいということでしたら、毎週日曜日に、教会に通っていただけるようにしていただき、龍王の意思である聖書の教えをしっかりと守ってもらえれば、問題はないと思います

他の者たちにも相談させてもらいますが、私個人としては、前向きに考えさせてもらいますね」


「ありがとうございます!」


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