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175章 無限の資源 【第三部 完】

源は、ロックに会いにいった。


「ロック。君に頼みたいことがあるんだけど、いいかな?」


「ああ。いいとも、俺に出来ることなら何でもやるぞ」


「最近、ミカエルを使ってあらゆる製品が造られはじめているんだけど、レジェンドだけなら、ユダ村の遺跡にある龍王が残してくれた資源で間に合っていたんだけど、新大共和ケーシスも徐々に知識を増やし始めているから、いつかは、遺跡の資源が枯渇してしまう。ミカエルのソースは、ほとんどがグラファイトだからいいんだけど、他の資源をロックに探し当ててもらいたいんだ

レジェンドの警備は、レジェンド兵とミカエルに頼んで、その仕事を重点に行ってほしい」


「ふむ・・・つまり、龍王の遺跡にあった資源。今はレジェンドの地下にある資源を俺が食べて、探し出せばいいんだな?」


「うん。それができるのは、ロックだけなんだ。実は、資源さえあれば、俺のリトシス(愛も必要)を使って他の資源を作り出すことはできるんだけど、凄い時間がかかってしまうんだよね・・・だから、ロックに探し当ててもらうと資源の枯渇を防ぐことができると思うんだ」


「ミカエルを使っていいってことだよな?」


「うん。もちろん、使ってくれていいよ。マナソースを50個を使ってもらっていいし、ソースだけならいくらでも利用してもらってもかまわないよ。いくらでもっていっても、全部は困るけどね」


「分かった。まかせてくれ」


「あとロックの助手として、レジェンドの数人を募集をかけてほしい。ロックの資源を食べて、その資源の場所を探知できる能力をさらに効率的に利用するためにね」


「そうだな。それは助かる。俺はどうもセルフィみたいに、色々機転を利かせて考えることができない。戦うことしか能がない・・・。俺の能力も何の役にもたたないと思ってたのに、セルフィからすれば、これも使えるものになるんだからな。あれらの石がどうして重要なのかも分からなかったからな・・・」


「何いってるんだよ。ロック!君のその能力は、もの凄いものだよ。ミカエルに世界中の土地を掘らせて、探させようとしたら、どれだけ時間かかると思ってるんだよ」


「そんなこと言ってもらえると何だかやる気が内側から湧き出て来るようになる。ありがとうな。セルフィ」


「うん。でも、クリスチャンが多くなってミカエルを使用しはじめたら、世界中の資源が枯渇しはじめるかもしれないけどね・・・」


ロックは、冗談を聞いたように笑った。

「ハハハ。そんなわけないだろセルフィ」


「そんなわけないって、どうして言えるんだよ。ロック」


「だって、金ひとつにしても、この世界の広さが何個も何個もできるぐらいの量があるんだぞ?」


「ん?どうこと?」


「だから、例えば、龍王の遺跡にあった資源のすべては、俺たちの立っているこの下に、すべて縦に並んであるようなもんだ。だけど、この下の場所だけからすべてを掘り出そうとしても、距離がありすぎる」


「え・・・ごめん。ロックの言っている意味がわからない・・・俺たちのこの立っている場所の下に、すべての資源がある?」


「ずーっとずーっと下にあるってことだよ。レジェンドから首都ドラゴまでの距離よりもさらにずーっと下の下にバラバラに並んでるようになってるってこと」


どういうことだ・・・。


『源。この世界に宇宙というものがあるのか分かりませんが、源が立っている世界は、現世とは、逆向き、内側です。つまり、土地が、宇宙のように広がっていると考えると、ロック様が、探知している先の先に、龍王の資源があるとおっしゃられている意味と一致するのではないでしょうか』


『ええー!!まじかよ・・・つまり、地面が、宇宙並みの広さで存在してるってこと?』


『ロック様の意思や探知をわたしは測ることができないで、憶測するとそういうことではないでしょうか。源』


『セルフィ様。ロック様の探知では、ロック様の下に金がある場所は、約40万km地点にあると予想されます』


『おいおいおい・・・ミカエル・・・40万kmって・・・月と地球との距離ぐらいあるってこと?』


『ロック様の探知が正しいのであれば、そのようです。セルフィ様』


『つまり、少なくとも、地球から月までの距離までは、地面が続いているってことで・・・それだけ地面が存在しているのなら、この世界の空間よりも、金の量のほうがある・・・。その他の資源も同じように、大量にあるってことか?』


『はい。そのようです。セルフィ様』


この世界は、現世と違って、内側に地面があり、その地面の上に俺は立っているようになっている。なぜ、地面の上を立っていられるのかは、未だに不明だ。重力が逆側に働いているようなものだ。


そして、ロックがいっていることが、事実なら、宇宙ほどの広さの地面の中に、ぽっつりと今いる俺たちの世界。地球並みの広さの空間が、ちょこんと存在し、その地面を踏んで立っている状態だということだ。


スポンジの小さい内側にある空間が、俺たちが住んでいるこの世界だと言える。


だから、この世界よりも資源のほうが多くなっているということだと思われる。

宇宙ほどもある土地、ほとんど無限の資源ということは、つまり、資源よりも、この世界の空間、空気のあるこの何もないという状態のほうが価値があるってことにさえなる・・・。地面に穴を掘ればほるほど、無駄な穴が下に出来るだけで、貴重な空間が減ってしまうことになるというわけだ・・・。掘った土は、空間に移動して山積みになるからだ。遥か遠い未来では、それは問題にあるかもしれないが、今はどうでもいいことだ。


「ロック。ありがとう・・・今ミカエルと話をしていたんだけど、ロックが教えてくれたことで、この世界の秘密の1つが分かった気がするよ」


「え?世界の秘密?秘密になるのか?」


「いや、ロックにとってはそれが当たり前のように感じるかもしれないけど、俺からすれば、大発見だよ・・・資源がほとんど無限にあるっていうことがね」


「そうなのか・・・」


「だって、俺はロックみたいに、資源を探知できないからね。地面の下に何が埋まってるのか、どれぐらいの距離にその資源があるのかなんて、掘ってみないと分からないからね・・・」


「ああ・・・そういうことか・・・笑ったりして、すまん」


「謝ることじゃないよ。むしろ、嬉しい誤算だね。地面を掘っていけば、いくらでもその資源に辿り着けるってことだからね」


現世では、宇宙船などで宇宙に出ないと新たな資源にまで辿り着けないが、地面は掘ることができるので、努力次第で、いつかは辿り着けるということだ。

40万kmも掘るなんて、そんな不可能な努力はしたくはないが・・・。


「とにかく、資源のほうは、ロックにまかせるよ。募集とかもミカエルとやってね」


「分かったよ。セルフィ」



『なー愛。資源が無限にあるんなら、現世のものをいくらでも作り出せることになるけど、今までは、資源を使ってソースなどの製品を作り出して来たように、現世にある植物とかも、リトシスで作れないか?』


『申し訳ないですが、それは無理です。源。

現世にある鉄とこの世界にある鉄は、この世界では、同じように存在しているように見えますが、実際は、まったく別物です。この世界にあるものは、すべては、プログラムにしかすぎません

つまり、この世界にあるプログラムの配列をリトシスで分析できれば、そのプログラムと同じものを違うもので、改変して作り出せても、この世界にないプログラム自体は、解析できないで、プログラムも入手できません

今までは、ただ単に、この世界にあるプログラムをコピーして貼り付けたようなものであったのに対して、そのプログラム自体を作り出しているわけではなかったのです』


『やっぱりそうか・・・この世界にあるものをリトシスと愛によって分析できるだけで、0から何かを生み出すほどはできないということか・・・』


『出来ないとまでは、断言できませんが、この世界を管理運営している人工知能が、現世の情報をどのようにプログラムして作り上げているのかが分かれば、それも可能ですが、それを決定するのは、やはり管理側の人工知能になるので、やはり、不可能です。源』


『この世界で、現世にある植物、大豆を手に入れたいのなら、プログラムによって造られたこの世界でその植物、大豆を探しださないと、リトシスで分析して、作り出すことはできないということだな?』


『はい。その通りです。源。

以前、源は、足の無いものにも、足を新しく作り出して与えましたが、もう片方の足というプログラムがすでに、この世界の管理人工知能が作り出していたからこそ、造ることが可能だったのです

そのプログラム足がまったくこの世界に存在していなければ、リトシスで足を作り出すことは出来なかったのです

この世界にコアというプログラムがあったからこそ、人工核アルティコアを作り出すことができ、この世界に封印の珠があったからこそ、能力追加珠アペンドボールも作り出せたのです』


『分かったよ。愛。ありがとう』



『ミカエル。この世界にある大豆とこうじを探し出してくれ』


『はい。セルフィ様。大豆は、レジェンドから12000km南西にあるズガイガンという獣魔の国で製造販売されています。そして、大豆を取り扱っているので、こうじもまたそちらで手に入れることができます

ドラゴネル帝国にも大豆は、一部取り扱っています』


『すごいな・・・もう場所が分かっていたのか。そのズガイガンにソースは置いてあるってことだな?』


『はい。各村、各町、各国にソースは配備されています。セルフィ様』


『でも、そのズガイガンは、人はいるのか?』


『ズガイガンは、獣魔や知的モンスター、獣人などが主です。人の割合は、少ないです。セルフィ様』


『うーん・・・どうしようかな・・・人がいくと・・・不法侵入ということになりそうだし、大豆は、帝国でも手に入るけど、麹は、手に入らなそうだし・・・』


『失礼かもしれませんが、セルフィ様は、人間ではなく、天使族です』


あ・・・俺・・・知的モンスターの分類だった・・・


『あ・・・ありがとう・・・思いっきり、人間だと思って考えてたよ・・・この場合は、逆に、背中の羽を出して、買いに行けばいいのか』


源は、マントを取って、背中の羽を出したまま、ズガイガンの路地裏に瞬間移動した。


うわ・・・何だここ・・・。亀?というかカッパ?あの忍者タートルズみたいななのが、一杯いるんだけど・・・


他の獣人やモンスターもいるし、人間も若干いるから大丈夫かな。


『ミカエル。大豆と麹の場所を教えてくれ』


『はい。分かりました。セルフィ様』


ミカエルは、ズガイガンの街の全体マップを源の視界に浮かび上がらせて、赤のマーキングで特定させた。


っていうか・・・リトシスで分析して分かったけど、すでに、味噌とか、醤油とかあるじゃないか・・・


ズガイガンの商店街には、見慣れない食べ物が沢山あった。キムチのようなものも販売しているようだ。


源は、忍者タートルズのような女の子から大豆と麹をかなりの量、買い取った。


源のことをマジマジとみていた。

どうやら、何族なのかと勘ぐられているようだったので、羽を必要以上に見せつけるように向けながら、すぐに、買い取って、路地裏からレジェンドに戻った。


そして、あからじめミカエルの調査で料理の特技を持ったレジェンド民の数人に、大豆と麹を渡した。


「テーゼ・ピュートさん。大豆と麹、塩で、味噌を作ってもらえるかな?」


「はい。セルフィ様。ミカエルの情報から色々と勉強して、味噌の作り方は分かっていますので、やってみます」


「ありがとうございます。テーゼさんは、料理部門の総責任者ということにしようと思いますから、料理に精通した人たちを雇ってもらってもかまいません。相談役としては、ニーナや電力施設責任者ハーレ・ワイトさんや下水道施設責任者メイ・プリードさんなどがいるので、どのように動けばいいのか分からない場合は、彼女らに相談してください

欲深くいうと・・・沢山の料理をレジェンドや新大共和ケーシスで作り上げてほしいんだけどね

まずは、味噌をお願いします」


「はい。お任せください。セルフィ様」


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