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162章 兵士の訓練

レジェンドと新大共和ケーシスの兵士たちの上達ぶりは、目を見張るものがあった。

生命数値レベルの枠を超えた力とスキルや魔法マナを手に入れた効果。さらに、ミカエルとの融合を果たしたことで、身体能力をあげていた。

ミカエルはまだまだ愛ほどの超越した演算処理能力はないが、その人の身体能力から得られる情報を解析してまわりの状況を把握し、身体能力以上の分析を行って、情報量を増幅し、逆に利用している人に大きくなったその情報を即時に送り返すことで、敵の攻撃をスローモーションのようにみせたり、少し後の相手の動きも仮想世界を脳内に作り出して表示させることさえできる。


しかし、そんなに上手くは事は運ばない。

ミカエルのその五感を強化して瞬時に送り返す処理はかなりの負担がミカエルのブレイン(スーパーコンピューター)にかかっていた。

ひとりだけが使う、または数十人が使う分には、余裕があるが、1000人も同時にそれらを使うと、ミカエルはフリーズ状態に陥ってしまう。

愛のように現世のすべてのコンピューターと繋がっているほどの演算処理には、まだまだミカエルは追いついてはいなかった。

毎日のように、地下施工工場で、ブレインは、生産され続けて、数を増やしている。ユダ村とレジェンド、そしてドラゴネル帝国の付近には、その施工工場が稼働している。

AIが、自分を修理することや製造、強化させるなどの作業は、現世では、プロトコル違反ぎりぎりのことで、今でも議論され続けていることなのだが、この世界は機械そのものがない世界で規制の強弱は、俺の個人の基準によって判断している。

独裁だといわれてもいたしかたがない。自分たちを守るための力になるものは、今は少しでも増やしていきたいからだ。

施工工場の数も増やして生産性もあげているが、それでも、愛には、遥かに及ばない。

なので、今は、危険度によってその能力を兵士たちに利用させるという限定付きの力になった。


とは言え、それらの能力を得たレジェンドと一部の新大共和ケーシスの兵士たちは、強くなった。

シンダラード森林の奥には、ウオウルフ並みのモンスターなども生息していたが、今ではそれらのモンスターであっても、兵士たちに単体で勝つことはできないだろう。

CからBにまで格上げした者が多く中には、B+にまでなったレジェンド兵士までいた。

ミカエルの強化を許可すれば、ほとんどの兵士が、B+になるだろう。


前回、海という遺跡のモンスターの暴走が起こったことで、兵士の強化訓練が、加速度的に行われた。

次に海が発生した時は、兵士たちも参加できるようにするためだ。


―――源とリリスが、その訓練の様子をみてまわっていると、源が与えたショットを巧みに使いこなす青年がいた。

ルシル・ピアゴという名の青年兵士だった。

彼は、ウェポン系マナを使ってショットをとても器用に使いこなしていた。


源は、ルシル・ピアゴに話しかけた。


「君は、剣よりもショットのほうが相性がいいみたいだね。本当なら、ローショット(アサルトライフル)は、防衛の時にだけ兵士たちに使えるようにしてあるけど、使ってみるかい?」


「よろしければ、是非お願いします。ローショットを使わせてもらえば、さらに活躍してみせます!」


源は、時空空間ゲートを開いて、レジェンドの地下に閉まっていたアサルトライフルと弾倉を手に出して、ルシル・ピアゴに渡した。


「ありがとうございます!」

アサルトライフルをルシル・ピアゴだけに使用することを許可させた。


ルシルは、アサルトライフルを手にすると、離れた場所の10個の的に向かって、連射し、試し撃ちをするが、的は、炎で燃えたり、氷ついた。

彼はショットの弾に、炎や氷、風といったマナを付与することでさらに威力を増させるという効果的な戦い方をあみ出していった。

ウェポン系マナは、剣や槍、矢などに属性のマナを送り込んで、攻撃力をあげるものだ。


ルシル・ピアゴだけではなく、他の人間の兵士も強くなったが、さらに強さを増したのは、ウオウルフたちだった。

ウオウルフは、その身体能力だけでも強かったが、人工核アルティコアを使用するようになってマナやスキルも多彩に使いこなした。

もともと能力が高いところにさらにスキルで強化したあと、マナで攻撃や低下系マナを併合して使うことで、B+を超えてA級だとさえ言える強さになった。


人がマナを使う時は、てのひらからマナを出すような仕草になるが、ウオウルフたちは、まるでゴジラのように口から魔法マナを吐き出すように打ち放つので、格好いい。

ウオウルフをマネして、俺も口からマナを出してみたが、普通に使えた。

腕なら腕力によるマナのスピードが増すだけで、実際は体のどこからでもマナは、放つことができるということだ。

ただ、人が、口からマナを出して使うのは、まわりに人に引かれるので普通はやらない。


みんなの強化はできたが、まだまだみんなが戦争という集団の戦いで無事に生還できるとは言えない。


今までの敵は、運よくレジェンドを舐めて戦争をしかけてきたから助かったが、本来、国レベルの兵士たちは、連携をとって隊列を組む。

隊列を組むことは、強さにつながる。

例えひとりひとりが弱くても、隊列を組んで同時に力を集中させれば、威力は何倍にもなり、効果的に敵を倒すことができるようになる。


ひとりのB+の兵士は、隊列を組んだCマイナスの5人には、勝てないのだ。


B級に近づいたレジェンドの兵士が、さらに隊列を組めば、A級を倒すこともできれば、足止めも出来るようになるということだ。


現世の中世時代では、なぜこんなにゆっくりと行進しながら戦争をするのかと疑問に思う人がいるが、実は速さや個人の強さよりも、団体で集結した力のほうが優ることは多い。


長い槍を持つのもそうだし、銃でも、やたらと時間をかけて号令とともに打ち放つのもそのためだ。

銃の弾は、1つ1つは小さいので、バラバラで自分勝手に撃っても、戦争ではあまり効果がない。

一斉に全面に向けて大勢の兵士が銃を撃つと、その弾がまるで壁のようになって前面に攻撃するので、無駄弾を減らせるのだ。

単発だった銃の時代では織田信長ではないが、効率よく使用することが戦争に勝つためには必要なことだった。

技術が進んでマシンガンなどが登場してきてからは、その常識が覆され始めたが、単発での攻撃には、隊列や集団戦略がかかせないのだ。


現世の世界では、人間の能力の差はそれほどあるわけじゃない。漫画のように個人が大勢を倒すなどというのは現実ではありえない。


この異世界では、コアというものがあることで、魔法やスキルというものが存在して身体能力が強化されてから隊列だけでも勝てないが、それでも同じように、戦略による戦闘は有効なのだ。


隊列や軍略が通じないのは、S級クラスの戦士たちなのだ。


なので、S級クラスを発見した場合は、速やかに退避する訓練も行われた。


S級レベルからは推し量ることができない存在となるので、A+に近いS級もいれば、サムエル・ダニョル・クライシスのように、次元が違うS級もいる。

とにかく、S級ではない者は、S級とまともに戦わないための動き方を覚えてもらわなければいけない。

だが、S級でない者、特にA級以下の敵ならグループで連携できるように練習させた。

5人1組になって、リーダーの判断により、隊の連携を考えてもらうことにしてある。

大きな戦略はソロモン・ライ・ソロが指示を出すが、どのようにその指示を遂行するかは、個々や隊の状況判断になる。

ソロの能力は海でも発揮され、特に驚くことは、100万を超える戦いにも、ソロは成果を出したということだ。

愛でも出来ないというほど、被害を減らした大局的な軍略ができるソロの指示を個々が考えてこなしていく。

事細かく指示をする人は、他人を成長させることはできない。

ソロは一見、何もしていなく、能力が低い様に思われるが、実際はその逆なのだ。

自分以外の人たちを適切な場所に配置させて個々の能力で対処させて成長させるという物凄く生産的に特化しているのだ。生産的な愛を超えるほどだ。


なので、そのソロの指示を臨機応変に動ける判断能力を現場を任された人たちが行う必要がある。


ひとりの強いものが組にいれば、残りの4人は防御にまわるのもいい。

平均した強さなら、守りと攻めに振り分けてもいい。


5人の隊には、さらにミカエルの5体が付き従うので、盾役もミカエルがしてくれる。ミカエルをどのように使うのかを主に隊長が決定する。


さらにその5人の隊が、大量にあるので、隊が隊を守ったり、隊と隊が強力して、攻撃したりとバリエーションを増やしていく。


ひとりひとりが、B級クラスに近いだけに、隊列がはまれば、その威力は強まるだろう。


その隊が、5つほどいれば、もしかしたら、天然の防具をまとったようなロックさえも倒してしまえるかもしれない。


武器攻撃・防御・隊の連動・マナ攻撃・退避・隊の入れ替え・ウオウルフとの連携などの訓練を毎日のように繰り返しながら、時間の半分は、個人の強化にあててもらっていた。


ミカエルの軍団 対 兵士+ドローンでの模擬練習も何度も行われた。


ミカエルは、ドローンや兵士から攻撃を受ければ、人間に合わせた能力という設定にしてあるので、倒れ動けなくなるようにされている。


また、兵士+ウオウルフ+ドローン+ミカエル 対 兵士+ウオウルフ+ドローン+ミカエルという同じ兵力での組み合わせや

リリス+ウオウルフ1万+騎馬5000+ビックボア500+小竜ドラゴネット3000 

ロック+新大共和ケーシス兵士1万+レジェンド兵士1500+ミカエル1000


といったように、リリスの動物連隊と兵士連合の模擬戦なども行った。


色々な組み合わせを試していくうちに、兵団や騎士団もそれぞれ作られていった。


【レジェンド・新大共和ケーシス 兵力と所属】


〇軍総指揮官:ソロモン・ライ・ソロ


〇アニマル兵団:リリス・ピューマ・モーゼス

(小竜ドラゴネット3000匹、騎馬5000匹、ビックボア500匹、フレイ他)


〇ウオウルフ団長:ウオガウ

(ウオウルフ1万匹 マナ使用可能)


〇新大共和ケーシス兵団長:エリーゼ・プル

副団長:バーボン・パスタボ

(新大共和ケーシス 兵士5000人 農民兵5000人 冒険者アドベンチャー、ドローン4000体、他)


〇奴隷兵団長:テェアリア・パラディン(元ボルフ王国使者)

(奴隷兵500人)


〇レジェンド兵団長:ローグプレス

(レジェンド男性兵1200人、女性兵300人)


〇支援団長:ボルア・ニールセン

(支援男女混合100人)


〇ドローン兵団長:サーシャ・クイス(女性戦争参加を訴えた)

(レジェンド ドローン2000体)


〇ソース兵士団、猛虎隊:ロック

(ミカエルソース999体分 マナソース1体分、50人のロックの護衛兵)

※1体に1mmのソースが15000個



新大共和ケーシスのすべての村の冒険者アドベンチャーを集めれば、4000人を超えるが、クリスチャンではないので兵力には加えない。

奴隷もまた同じで、冒険者アドベンチャー以上に信用ならないので戦力には数えないが、一応、奴隷にもなり、今はクリスチャンになって解放されたテェアリア・パラディンに、任せることとした。


リリスが使役していたビックボア軍団は、200匹だったが、新大共和ケーシス全体で、ビックボアを探し出して、今は500匹がリリスに従う。

もちろん、能力は向上させている。

ウオウルフのように自分で自分の能力を選別して予約させることがビックボアはできないので、身体的能力を増加させるスキルなどを与えている。


新大共和ケーシスが、騎馬やドラゴネットと同様に、食事の確保をして飼育もしている。

強くしておいて放し飼いなどをしたら、生態系を変えてしまうかもしれないからだ。

肉食ではないので、生き物に危害を加えることはない。ただサイやカバのように狂暴だ。

ビックボア専用の畑を作って芋類をミカエルに育てさせている。


ミカエルのマナソースには、瞬間移動が一日5回使える程度のマナ量を与えた。

瞬間移動は、その質量に比例して、マナ力を消費するので、1つのマナソースが一日に瞬間移動させられるのは、5人までだということだ。

所持しているマナソースは、1万を越えているので、5万人を転移させることもできる。

しかも、世界中にソースは、散らばって、その場所の安全確認が承認されているので、人が瞬間移動のマナを使うよりも安全だ。


この瞬間移動で怪しいと思われる人間が、レジェンドや新大共和ケーシスに、入り込んだら、例え、核爆発させるような相手で爆発させても大丈夫な場所に、隔離させるようにした。


ミカエルの人型ソースには、必ず1つ以上はマナソースも組み込まれるようにしてあるので、ミカエルの兵隊モードは、すべてマナが使えるということだ。


新大共和ケーシスとレジェンドの戦闘訓練は、毎日のように行われ、源がいなくても、特に問題はない。


能力追加珠アペンドボールでレジェンドの兵士たちから手に入れたマナやスキルを試してみることにして、誰もない大平原へと源は転移した。

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