149章 国の在り方
ボルフ王国が滅亡し、すべてを失った22万人の民だったが、レジェンドの助けがあって、すべての人に食事が配られた。新大共和ケーシスが国内で食をまかなえるようになるまで、レジェンドの支援は、続けられる。
源は、リリスの采配に驚いていた。リタ・ピューマ・モーゼスに、将来、王族となることを想定したうえで、育てられ、リリスは文字の読み書きなどもできていたことは知っていたが、それでも、まだ彼女は、若い少女だったからだ。フィアンセを目の前で奪われた出来事が、彼女を強くしているのかもしれないと思わされた。
リリスたちも、源も食事を取って、どのような国にするのかの会議をまた、リリス、リタ、バルト・ピレリリと共に、集まり、話し合う。
「セルフィに聞きたかったのは、お金を使わずに、国を運営していく方法を教えてほしかったの」
「うん。そう言ってたね。まず、お金というものは、それほど重要じゃないんだ。この世界は、お金がなくても、生きていける。動物たちは、お金を使わずに生きているのがその証拠だし、家族同士でお金のやり取りをしていないのも、その証拠だ。レジェンドは、つまり、大きな家族の組織だから、お金は必要ないということだね。みんなが家族だから、ある物を与えるし、お金でやり取りする必要もないというわけだ。家族だけで、自給自足、そして安全が確保出来ていれば、問題がないように、それをレジェンドや国になる新大共和ケーシスも、自給自足が出来れば、問題が無くなるというわけだね
お金というものは、物と物、またはサービスなどを提供する時に、便利だから使うだけで、それらが問題なく流通していれば、お金は必要ない。さらに、お金の便利さを越えた便利さがあれば、お金は逆に、邪魔なものになるんだ」
「便利さを越えた便利さ?」
「うん。僕たちレジェンドや新大共和ケーシスだけが利用できる。ミカエルだね。家も、机も、服も、食料も、ミカエルは生産できる。一日20時間、フルに動いても、人や生き物と違って、疲れもしなければ、休む必要もない。故障はするかもしれないけど、故障したソースは、またミカエルが修理できる」
「じゃーわたしたちは、仕事が無くなるということ?」
「いや、仕事は、無くならないね。仕事の質が変わるだけ」
「仕事の質が変わる?」
「うん。今までは、生きるために、農業をしなければいけなかったでしょ。それが、次は、ミカエルが農業をはじめて、みんなは、そのミカエルをどのように使うのか、どのように利用するのかという管理する仕事に、変わってもらうということだね」
「つまり、命令する側に、みんながなるということね」
「うん。そうだね。単純作業という仕事から、管理するリーダーとしての仕事をしてもらうことになる。しかも、単純作業ができるミカエルのソースは、まだまだ生産されて、増える一方なんだ。」
「そうみたいね」
「ミカエルのソースが増えれば増えるほど、みんながしなければいけない管理の時間も減ることが分かるかな?
1つのソースだけで農業をさせるよりも、100個のソースで農業をさせたほうが、早く作業が終わるから、管理する時間も減るというわけだね
こういう状態のことをRPA、オートメーションというんだ」
「オートメーション・・・」
「そうこうしていると、時間が余ってしまうでしょ?」
「うーん。そうかもしれないわね」
「時間が余ったらどうするか。次は、自分のアイディアを形にするという仕事をしてもらうことになる」
「え!1つだけじゃなく、複数の仕事をするようになるってこと?」
「うん。本人にとっては仕事だという認識はなくなるかもしれないけど、例えば、リリスは、動物が好きでしょ」
「うん」
「その動物と仲良くなれるような、【ふれあいの広場】というのをリリスが、ミカエルを使って作ったとして、安全にそれが運営できるように、またミカエルで管理するという仕事が1つ増えるんだ。すると、こどもたちは、動物と楽しめ、家族で動物と仲良くする時間を過ごせて、幸せになる人が増える。リリスも好きなことを仕事にしているわけだし、管理しているだけだから、それほど苦ではないはずだ。苦になるほどの仕事量になるなら改善していけばいいしね」
「それいいわね。わたしなら、動物たちを安全に管理できるから、本当にできるわよ」
「うん。これは、リリスを想定したことだけど、人はそれぞれ神様から与えられた賜物を持っている。本を読むのが好きだとか、服を作るのが好きだとか、家を建てるのが好きだとか、色々な好きなことが、それぞれひとりひとり違うんだ。そして、その違いが、あればあるほど、色々なひとたちが幸せに感じられる社会を作り出していけるようになる。色々なニーズにあわせたサービスが提供できるようになるわけだね」
「理想の社会ね」
「そうすると、色々なアイディアや色々な物が、現れて、それを具体的にミカエルが、商品やサービスを生産していくというわけだ。そうすると、ミカエルに頼めば、ほしいものを運んで来てくれるようになる。そして、自分のアイディアは、他の人に、そのアイディアで作られた製品やサービスを与えてしまう。そこにわざわざ、お金をいれたら、邪魔だよね。お金がなければ、商品やサービスをただあげるだけでいい。あげたくても、製品が生産できていないのなら、そのほしい人を待たせればいい。お金をもらっていると、「どうして早く来ないんだ??」と偉そうになる人も出てくるけど、お金がないコミュニティなら、文句いうほうが間違っている。お互いに、与えあっているのだし、食べ物が供給されているという最低限の前提があるのなら、文句を言わずに、認めあって、お金なんてものを使わずに、与えあう社会にするんだ」
「お金は荷物になる邪魔なものになってしまうわけね」
「だから、何でもいい、好きなことを仕事にして、それをみんなに提供できるようになるまで、国は人を育てればいい。だから、教会で、毎日のように情報を開示していくわけだね。知識がないのに、アイディアを出せといっても難しい。知らないものは、考えられないのだから、脳に沢山の情報をまずは、国が、与えて、アイディアなどが出るように育ててあげる。
残念ながら、他の国は、この逆のことをする。支配層は、他人である民を怖がるから、なるべく人を支配しコントロールしようとして、読み書きや情報を制限させるんだけど、レジェンドは、ある枠をクリアすれば、怖がる必要がないから、その人は認められるようになる」
リリスは、その答えを言った。
「クリスチャンね」
「うん。正解。そう、クリスチャンであることがクリア条件になるんだ。もし、クリスチャンのように神様を基準にした価値観がない人たちに、これらを提供したとしたら、どうなるのか、一神教ではなく、多神教を信じるひとたちにこれらを提供したらどうなるのか、考えてごらん
本当の神様を基準にするから平和や争いなどがなく、スムーズに動かせるけど、好き勝手に神様を作り出してしまうような多神教では、深く考えれば、崩壊しているんだ。人がご都合主義で、正義を作り出すからだね
人には、愛や正義はない。ただ、脳に小さい頃から入れられた情報を正しいと思い込んでいるだけなんだ。犯罪者は、心から自分が正しいと思っているんだ。マルシュ・ギウも、そのひとりだった。貴族が正しいというご都合主義、人間を基準にした考え方だから、そうなる。その段階から抜け出すと、人には手出しできない偉大な自然の法則に気づきはじめる。それが本当の神様が造られた法則だと理解して、その神様に従おうとするようになるんだ。
人の考えや感情ではなく、現実をみてそれを認め従うことを教えないといけない。
人が自分勝手に、思い描いたものではなく、人が手出しできないのに、実際に存在している神様が造られた自然の法則などに従って、生きていくという【選択ができる】クリスチャンに、市民権を与え、ミカエルを使えるようにして、情報を与えるわけだね」
「つまり、何をするにしても、まずは、聖書を脳に教えこまなければ、安全で平和な国には、できないということね」
「うん。どれだけ技術が発展しても、人の内面を育てなければ、その技術は、悲劇にも武器にもなる。包丁は、便利だけど、悪人が人に向かって使えば、武器になってしまうんだ。だから、神を基準にしている者とそうではない者を選り分けないといけない。
神の基で、人はみなバラバラで、平等なんだ。誰が誇るわけでもない。でも、その神の基がなければ、人には、愛や正義がないから、俺は音楽!俺は歴史!俺は兵士!と傲慢に自分たちを主張して、結局、組織を乱していってしまう。何よりもまず、【唯一の神様を教えること】それがなければ、意味不明などうでもいい事ばかりが、世の中に広まって、何が正しいのかも分からない状態に苦しめられることになるんだ。ボルフ王国や帝国をみれば分かるようにね
クリスチャンは、物には依存しない。欲望ではなく、禁欲主義で、他人に与えることを喜びとするからだ。でも、クリスチャンではないひとたちに、特に神を信じない者たちに、同じように自由にしたら、ひどいことになる。多神教であっても、まだ神を信じているひとたちは、人を超えたものに基準を置くからいいけど、そうじゃなければ、犯罪者と実は変わらない趣味趣向で、善悪を判断しているだけなんだ」
「何をするにしても、まずは、クリスチャンであり、神様を信じていることが自由になるための権利にしなければ、最初がずれていれば、後も大変になるということね」
「うん。神様なしの政治や神様なしの組織なんて、不可能なことなんだ。犯罪者も同じ人だから、青色が好きなのか、赤色が好きなのかというのに、人間を基準にしたら、正義なんて存在しなくなるんだね。ただの趣味趣向になるんだ。どれだけ平和や愛を語って犯罪者を否定しても、人間を基準にすれば、それは差別になるんだね。犯罪者は、壊すことや悪をすることを心から正し楽しいと思ってやっているのだから、同じ人間だとしたら、お互いに好き嫌いを言い合っていることになる」
「だから、みんなが、クリスチャンになれば、家族となるから、お金は必要なくなるってことね」
「そうだね。でも、実際は、クリスチャンの組織になれそうなのは、レジェンドと新大共和ケーシスだけで、その外には、帝国もあれば、他の国々があるでしょ。だから、お金は必要になる」
「お金は必要なの?」
「レジェンドや新大共和ケーシスの中では、お金は必要ないね。でも、外に出れば、家族ではない人たちが、お金を使って生活している国があるから、お金が必要になってくる」
「そうね・・・。じゃーどうするの?」
「うん。旅に出たり、貿易のために、外に出るクリスチャンがいれば、その時は、その人に、必要なだけのお金を国から渡せばいいよね」
「そうすると、国のお金。5000枚の金貨が、無くなるんじゃないの?」
「うん。そうならないために、レジェンドの産業をミカエルを使って大きくしていくんだ。ミカエルは、増える一方で、レジェンドや新大共和ケーシスの民も、使えないぐらいの資産が増えていくことになる。それを他国に売るわけだね。現在、レジェンドやユダ村が新大共和ケーシスの人たちに復興支援として物資をあげているのを次は、普通に生活している人たちに、売ることになる」
「ああ。そういうことね!そうすれば、国にも、お金が貯まって、外に出ようとする人たちにも、お金を渡せるのね」
「うん。だからこそ、帝国には、レジェンドの技術は、レジェンドの物だと契約を結んだんだ。もちろん、帝国の人たちの仕事を無くさない程度の貿易にしないといけないけどね。例えば、レジェンドのものは、ブランド化して、高級で、高くわざと設定するとかね。そうすると、なかなかレジェンドの物は売れないけど、別に自国で、自給自足できるから、こっちは問題はない」
「なるほどね。お金儲けのために、売るわけではなく、外の国との関りもあるからそれも出来るように、品物を売っていくわけね」
「うん。あと問題なのは、他国から人が入って来る場合だね」
「そうね・・・。すべての人に無料で食べ物や品物をあげるわけにもいかないものね・・・」
「うん。だから、レジェンドや新大共和ケーシスの民には、みんな奴隷も含めて、左腕に、ミカエルのソースで作ったリングを付けたらどうかと思うんだ。そのリングを付けている人は、レジェンドと新大共和ケーシスの民で、無料で生活ができる。それを付けていない人は、普通の物価の2・3倍ぐらいの値段で、品物や食事を提供する。だから、面倒だけど、品物にも、値段設定をしてもらわないといけなくなるね」
「どうして、そんなに高くする必要があるの?」
「例えば、他国の人が、レジェンドに来て、安い品を買い占めて、その品物を他国で、高く売りつけ、儲けようとする人がいたら、他国に迷惑をかけてしまうことになる。ミカエルが作るものは品質がよすぎるからね。だから、簡単には、買えないように、高く設定する必要がある。あとは、レジェンドや新大共和ケーシスの民には、簡単には、成れないようにする必要がある。簡単に民にしてしまえば、無料で手に入れた品物を他国で売ろうとしたり出来るからね。それに、他国に出かけるといっては、新大共和ケーシスから出る金貨をもらい続けるという悪質な考えをする人も出てくるかもしれない。他国からの者たちが、簡単には、民になれないようにしておく必要があるんだ」
「他国から来た人たちは、クリスチャンにならないと民には、なれないということにしたらどう?」
「なるほどね・・・。リリス。それはいいアイディアだね。ミカエルは、真意を見抜けるから、クリスチャンになったのなら、悪事を働かなくなる。悪意のある人間も、クリスチャンになろうとして、物価の高い俺たちのところに、長く留まろうとはしないだろうし、本当に心から民になりたいと願う人だけになるかもしれないね」
「でも、お金がなくて、困っているような人たちも、来る場合があるわよね?」
「うーん・・・。そういう人たちは、赤色のリングを左腕に付けてもらうことにしようか。一カ月は、無料で生活できるようにするとかね。もちろん、いくつか質問して、悪意があるのかどうかをミカエルに判別してもらうけどね」
「うん。それなら良いかもしれないわね。でも、この町に沢山の人が着過ぎたら、どうする?それに、他のボルフ王国が支配していた村々や士族なども、どうすればいいの?」
「なるほど・・・確かにそうだったね」
『ミカエル。ボルフ王国の領土内には、いくつの村が存在してるんだ?』
『112個の村や町があります。セルフィ様』
『ミカエル。奴隷にした貴族たちに領土の税収は何%なのかを聞いてくれ』
『分かりました。セルフィ様』
「この112個には、ボルフ王国が滅んだこと、そして、これからは、この領土は、新大共和ケーシスのリリス・ピューマ・モーゼスが、支配することとなったことをまずは伝えないといけないね」
「そうね」
「村々にそれを伝えるついでに、士族たちに、挨拶をさせるために、新大共和ケーシスにまで、各自、来てもらわないといけないね。忙しくなるよ。リリス」
「分かったわ。税とかは、どうするの?」
「22万人の民が落ち着くまでは、以前と同じ税収のままでいいと思うよ」
「土地を治めている士族たちも、奴隷にするの?」
「いや、なるべく時間を稼ごう。まずは、俺たちが安定するまで、同じ士族たちに、土地を治めさせておく。そして、外にも手を向けられるようになってから、新大共和ケーシスのルールを教えていくようにしよう。そして、土地を治めるのは、クリスチャンになるように6年間で、調整したほうがいいだろうね。その士族が、心からクリスチャンになる可能性もあるしね。でも、不穏な動きをしようとする士族も現れるかもしれないから、ソースは潜り込ませておくよ」
「分かったわ」
「こちらが安定するまでは、他の村から移転してくることがないようにしよう。そうすれば、ここに人が集めりすぎるようになることもなくなるだろうからね。ボルフ王国は、滅亡したけど、他の村々は、なるべく変わらない生活を続けるように伝えて、時間を稼ごう」
「そうね」
『セルフィ様。奴隷たちから聞いた結果、領土の税収は、45%です』
「え・・・・45%!??」
『はい。そうです。セルフィ様』
「どうしたの?セルフィ。45%ってどうなの?」
「異常に高いね・・・ありえないぐらい・・・高い・・・そんなので、民は暮らしていけてるのか・・・?」
「そんなに高いの?」
「うん。えとね、国の中央政府に、45%を献上しているのなら、民たちは、さらに領主たちから10%~20%の税収を求められて、55%~65%取られているかもしれない。税が6割を上回ったら、民は飢え死にする数値になるね」
「そういえば、帝国の連合に加盟することになれば、帝国に税を払わないといけなくなるわよね?」
「うん。レジェンドは村だからそういうのはないけど、新大共和ケーシスは、国だから税が発生する。帝国は、金貨を渡すようにと言っていたけど、別に、物資でもいいんだ。食料とか物でもね。そして、新大共和ケーシスは、お金を使わないから、もちろん、生産した物資を帝国に献上すればいいわけだね。新しく建国する新大共和ケーシスは、2年間は、免除されるらしいから、当分は大丈夫だよ。逆に帝国が、支援をしてくれる」
「分かったわ。2年の間に、何とか、自給自足できるようにして、さらに生産的になって、それを献上すれば問題はないってことね」
「うん。どうやるのかは分からないけど、取税人などが帝国から来て、その国の生産量を測るらしい。その国の生産された1割、10%を税として取るらしい。10分の1だね。まーそこに、スパイが入り込まないかとか、賄賂をねだってこないのかとか、そういうのを注意する必要はあるかもだけど、2年は、気にしなくてもいいね。だから、これからは、クリスチャンを増やして、そして、みんなの脳に沢山の情報を与え、アイディアが出るように育てていくことをするべきだろうね」
「そうね。分かったわ。なら、45%の税収も、低くしてあげればいいよね?」
「いや・・・そういうわけにもいかない・・・」
「どうして?ボルフ王国の税は高いんでしょ?」
「問題は、領主たちが、クリスチャンじゃないことが問題なんだ。もし、ボルフ王国が滅亡して、新しい国の新大共和ケーシスになり、税は、20%でいいですよと言ったとして、その領主たちは、民から取る税を下げると思うかい?」
「下げないの?」
「65%から45%に下げる領主は、たぶん、ほとんどいないだろうね。同じ65%のままにして、さらに自分たちの財産の肥やしにしていくはずだ。しめしめと思いながらね」
「でも、それじゃー民は苦しんだままじゃない?」
「しょうがないね・・・俺たちが安定するまでは、そのままで我慢してもらうしかない。こちらが安定したら、メスを入れていくことにしないと、各地で反乱を起こされたら大変だよ。だから、領主には、良くも悪くもない今までと変わらない流れのまま、提示して、俺たちは、時間を稼ぐしかないね」
「せっかく、ボルフ王国は、滅んだのに・・・まだ、ボルフ王国の負の連鎖は終わってないのね・・・」
「うん。残念だけど、これから徐々に変えていくしかないね」
「あと聞きたいことは、新大共和ケーシスには、3つのランクがあって、1つは、クリスチャン。1つは、ケーシスの民。もう1つは、奴隷ということになると思うけど、結局、何が違ってくるの?」
「生活する分には、ほとんど変わらないね。ケーシスの奴隷といっても、他の国の民よりも優遇されている。無料で食事はもらえるし、家ももらえる。畑も与えるし、品物も左腕のリングをつけているから、無料で手に入る。ランク的には、奴隷だけど、才能があれば、奴隷でも、教師になってもらったり、色々な仕事を自由にやってもらえばいい。でも、奴隷で、新大共和ケーシスに、1度は逆らったというレッテルが貼られるぐらいで、民と変わらないということだね。しかも、6年後には、問題を起こさなければ、民になれるわけだしね」
「それは、3つのランクには、違いがないってこと?」
「あきらかに違うのは、クリスチャンだね。クリスチャンだけが、ミカエルを使用できたり、政治や重要ポストに従事できる。なぜなら、家族だから、信用できる。新大共和ケーシスの政治家になれるのは、クリスチャンだけにする。そうじゃなければ、あらゆる誘惑に負けて、私利私欲に走るノンクリスチャンが、自分本位のご都合主義で、判断して、政治や組織を動かしていくことになるからね」
「なるほどね。それだけクリスチャンであることをハッキリさせるってことね」
「うん。もちろん、民も、奴隷も、心から信じれば、クリスチャンになる。これを蔑ろにすると後が大変になる。あらゆることに問題が出てきて、決められることも、決められなくなる。何度も言うけど、人を基準にすれば、善悪もなければ、愛も正義もなくなるから、神を基準にしないとどうしても、そうなるんだ」
現世では、資本主義が発展したのも、科学が自由にされたのも、クリスチャンたちのおかげだった。カトリックは、聖書を利用して、一部の人間だけが聖書を読めるようにしていた。聖書にも書かれていないことさえ、ご都合主義で利用して、崩壊したのだ。そして、彼らは人々を信用せず、科学も、聖職者だけにしか従事できないようにしていた。プロテスタントが、それをクリスチャンというステータスを訴えて、あらゆる分野を自由に解放してきた。それが、いつの間にか、悪魔宗教が、クリスチャンであることを飛ばして、ぐちゃぐちゃにしてしまったので、日本もアメリカも世界中が、それぞれの正義で、政治や資本主義を広げてしまったので、問題だらけになっていた。そうならないためにも、しっかりと抑えるところは、抑えなければいけないのだ。
ガリレオもコペルニクスも、みなクリスチャンであり、神を信じる科学者だったのに、宗教と科学の衝突だと歪曲された歴史観を植え付けられてしまっているほどだった。実際は、宗教と宗教の戦いであり、科学と科学の戦いだったのだ。
現世の学校では、嘘ばかりの歴史や学問が教えられ、どうでもいいことばかりを奴隷である民たちに教え込まれている。お猿さんが人間になるという、仮想世界のこの世界のような思想さえ心から信じ込む人もいるほどだ。この世界は、コンピューターのプログラムに作り出されているので、人間がアモラになったりはしても、現実の世界では、違う種族が違う種族に変わるようなことなど、1度も観測されたことなどない。
レジェンドや新大共和ケーシスは、現世のように、情報をぐちゃぐちゃにされるわけにはいかない。