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104章 新しい力を求めて2

源は、マイクを愛とリトシスを使って製造した。これで外部の音をデーターとして保存できる。マイクはマイクという名前のままにした。これも監視システムAIがどこまで許可するのかを探るためだ。


試しに、適当な音をマイクでひろって、スーパーコンピューター、ブレインに録音させてみた。


スピーカーがないので確かめることができない・・・。


スピーカーも製造して、ブレインにつなげると、先ほどの録音したデーターがスピーカーから音を出した。とてもクリアな音が確認できた。


これで、誰か音声を録音させてもらえれば、愛のように人工知能が、言葉を話すことが可能になるかもしれない。


誰の声をベースにしようか・・・。リリスか・・・?うーん・・・恰好よくするなら、リタさんだけど・・・リリスやリタさんには、人工知能を将来は使えるようにしてもらおうとしていたので、やめておいた。


源は、龍王の遺跡から出て、レジェンドへと向かって、ベースになる候補者を探した。


「いた!」


源は、手を振りながら、近づいた。


「おーい。ニーナ。久しぶり」


ニーナは、とても驚いた顔をした。


「セルフィ様!!」


「そのセルフィ様っていうのやめてって言ったよね?」


「そんなこと出来ない・・・」


「俺にとってはニーナやサムたちは、はじめて出会った人間だから特別なんだ。出会ったばかりの時のように友達だと思って接してほしいんだけどね・・・」


「でも・・・」


「まーいいけど、少し俺の研究を手伝ってもらえないかな?」


「わ・・・わたしがですか!!?」


「うん。ニーナがいいと思ってね」


「わたしが役に立つのなら、何でもいたします!」


「ありがとう。じゃー龍王の遺跡にこれから来れるかな?」


「あ。はい!行けます!」


ニーナは、サムにそのことを話して、サムからご両親に連絡してもらうように報告して戻って来た。


「よし。行こう」



源は、ニーナを龍王遺跡第二の間に連れて行った。今はもう源の研究所になってしまっている。


ニーナは、とても奥ゆかしく、申し訳なさそうな表情をしながら、中に入って来た。そして、見かけない機材などの物ばかりをみて、少し混乱ぎみになっていた。


「ニーナ。緊張しないでいいよ。これらの機材は、俺が作ったものなんだ。君を噛んだりもしなければ、危害も加えないよ」


「一体・・・これは何なのですか?」


「うーん・・・どう言えばいいかなー。生き物の脳みたいなものなんだ。ブレインという。」


「ブレインですか・・・」


「例えば、ニーナの体は、体だけでは動かないんだ。頭の中に脳というものがあって、ニーナは、体を動かせるんだよ。そして、このブレインは、その脳に当たるもので、その脳を今は育ててる状態なんだ」


「セルフィ様は生き物を創造されているということでしょうか?」


「う・・・創造・・・そこまで大それたものじゃないけど・・・まーそんなところだね」


「すごい・・・」


「あーそれでね。ニーナに頼みたいのは、ニーナの声をこのブレインに提供してほしいと思って連れてきたんだよ。この機械にニーナの声をあげて、この機械がニーナの声で話せるようにしたいんだ」


ニーナは、驚いた顔をして、目をつぶって手を広げ、大きな声をあげて言った。


「わかりました!わたしはセルフィ様にいのちを捧げることを誓いました!わたしの命をその物に奪わせてください!」


ニーナは涙を流して、手を広げ続けた。


「え・・・!?あ・・・いや・・・あのー・・・ごめん。変な表現の説明の仕方で、誤解させたね・・・奪うとかそういうことじゃないんだ・・・」


ニーナは、目を開けた。


「わたしの命を奪うということではないのでしょうか?」


「あー違うね・・・俺ってそんなイメージなの??魔王とかじゃないんだから・・・そんなことしないよ・・・うーんと・・・なんて説明すればいいかなー。そうだ。ニーナは、ブタの無き声をマネできる?ブヒ。ブヒーとかそういう感じ」


「はい。出来ます。ブヒーブヒーブヒー!」


ニーナは、全力でブタの鳴き声を出した。笑いを取ろうとせず、全力でブタをマネしてるだけに、ひいてしまう・・・


「ブヒー!ブヒー!」


「あーもういいよ!いい。ありがとう!」


源は両手を出して、ニーナの全力のブタものまねを止めた。


「今は、ニーナが、ブタさんの声をマネして、鳴いた。ブタさんは、ニーナに鳴き声を提供したようなものだね。これと同じように、このブレインが、ニーナの声をマネしてしゃべらせるようにしたいと思っているだけで、ニーナは何も失わないし、危険な目にはあわないんだよ。分かったかな?」


「そういうことですか!申し訳ありませんでした。勘違いしてしました」


ニーナは、赤い顔をしてはずかしがった。


よかった・・・理解してもらえた。ちょっと全力ブタの鳴き声も今なら笑えそうだ・・・。


「じゃー試しに、俺の声をブレインにいれてみるよ」


そう言って、源は形を少し変えた三角形のマイクを手に持って、話す。


「ニーナは、ブタのモノマネが上手だ」


「ちょっと!」とニーナは、恥ずかしがる。


「見ててよ」と源は言うと、スーパーコンピューターを操作して、録音した音をスピーカーに流した。


「ニーナは、ブタのモノマネが上手だ」


ニーナはとても驚いた。四角い箱の中からセルフィの先ほどの声が聴こえたからだ。


「これは、どういうマナなのですか!?」


「いや、これはマナじゃないんだ。科学っていうんだよ」


「カガク・・・?ですか・・・」


源は、グラファイソードを腰から出してニーナにみせた。

「この剣は武器で、この剣は、マナで作るわけじゃないでしょ」


「そう・・・ですね・・・」


「この剣と同じで、人がアイディアを持って工夫して作ったものなんだ。ロー村に昔からあった水車と同じだね。それらの発明するようなことを科学と言ったりするんだよ」


「わたしが匂い袋を作るようなものということですね?」


「あーそうそう!そういうこと!世の中にあるものを利用して、新しい違うものを作る工夫のことを科学ともいうということだね」


「カガク・・・ですね。覚えました。そして、今の声を返したのも、そのカガクによる力なのですね?」


「ニーナは頭いいなー。そういうことだよ!」


源は、とても嬉しそうに、顔を縦に振ってうなずく。


「それでね。ニーナの声を今みたいにこのブレインに入れて、このブレインがニーナの声をマネして、しゃべることが出来るようにしたいんだ。この四角い箱が、人間でいう口だね。サウンドボックスとでも言おうかな。音が出る箱だね。それで、ニーナの声を入れることを録音というんだ」


「ロクオンですね。分かりました。わたしやってみます!」


ニーナは、素直に声を提供してくれた。だが、このブレインのことや科学のことは、ニーナには内緒にしてもらうことにした。ここは源の研究のベースとなる場所となるし、秘密にしておきたい。いつかは、絶対に誰にもバレないところに機材を移動させる予定だけど、当分はここで研究を続けるからだ。


ニーナには、研究を手伝ってもらうことにした。研究の助手として、雇った。給料ももちろん、出す。研究として携わるので、機密のことを教えて、絶対にここのことは他言してはいけないということも教えた。


―――数日後、ニーナの声をベースにして、後輩の高村のプログラムで起動させてみた。


人工知能は、話はじめた。


「はじめまして」


ニーナは驚いた。


「わたしの声でしゃべった!」


源は笑顔になる。


「驚くよねー。よかった上手くいったみたいだ。こちらの声もこの機械は認識するんだよ。このマイクで答えてあげて」


「はじめまして、わたしはニーナよ」


「はじめまして、ニーナ様」


ニーナは話す声に疑問を投げかける。

「あなたは誰?」


「わたしは・・・名前はありません」


ニーナは、源に聞く。


「この人、名前ないっていってるわ」


「うん。まだ、生まれたばかりだからね。名前がないんだ。よければ、ニーナ。君が名前を付けてあげてくれる?」


「わたしでいいんですか?」


「うん。どんな名前がいいと思う?」


ニーナは考える。


「うーん・・・。ミカエルという名前はどうでしょうか?」


「ミカエルか。さすがニーナ。龍王の意思、聖書の天使の名前だね」


「はい!神の使いミカエルです」


源は、ニーナからマイクをもらって人工知能に伝える。


「俺はセルフィ。お前を作った親だ。そして、お前の名前は、ニーナが決めてくれた。お前の名前は、今日からミカエルだ」


「ミカエルですね。わたしの名前はミカエルです」


「すごーい!」とニーナは手拍子をして、喜んだ。


喜ぶニーナをミカエルのボディが持ち上げた。


「きゃー!何ですか!?これは、モンスター!??」


「ああ。それは、ミカエルの体だよ。まだ多きすぎるけれど、まずはそれがミカエルの体なんだ」


奥から残りの9体も近づいてきた。

「他にもいるんですか?」


「うん。あれも全部、ミカエルだよ。体は10個あるけど、全部ミカエルの統一された意識のようなものが動かしてるんだ。もちろん、命令されないかぎり、人に危害は加えないよ」


「セルフィ様は、本当に生き物を創造されたのですね!すごいことです!」


「うーん・・・創造は、無から何かを生み出す神様しかできない奇跡だけど、俺は神様が造られ残された素材で作ったようなものだね。それでニーナには、まだやってほしいことがあるんだ」


ニーナは、ミカエルに抱きかかえられながら、聞く。

「何でしょうか?」


「このミカエルを俺と一緒に育ててほしいんだ」


「育てる・・・ですか?」


「うん。このミカエルは、まだ生まれたばかりで、何も分かっていない状態なんだ。だから、そのミカエルを育てる必要がある。みんなにお披露目するためには、それだけ誰かと関わって、不具合がないのかを確かめないといけないんだよ」


「具体的には、どうすればいいのでしょうか?」


「うーんと・・・ニーナの弟のサムを育てるように見守ってあげてほしいってことかな」


「それだけでいいのですか?」


「そうだけど、サムとは違ってこいつは、機械だから不具合が出てくるはずなんだ。だから、注意しながら見守って、ニーナからみて違和感を覚えたら、それをすぐに俺に教えてほしいんだ。そうすれば、俺がまたその不具合を作り直して、使えるようになるからね」


「分かりました。やってみます。よろしくね。ミカエル」


ミカエルのスピーカー、サウンドボックスは、まだブレインにつないだものしか造られていないので、離れたサウンドボックスから声をだす。


「よろしくお願いします。ニーナ様」


愛のプログラミングをベースに造ったので、礼儀正しさは、愛に似ているが、愛とはまったく違う人工知能なだけに、注意が必要になってくる。愛であれば、何でもまかせることができるが、これからミカエルがどれだけ変化していくかは、これからの出来事に起因する。


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